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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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58 多数決

 ミーアをデビューさせるかどうかを決めるための話し合い。美桜は多数決で決めようと言い出した。


「でも……」


 スミレがとまどいを見せた。


「何か問題ある?」


「だって私と大樹を除いたら4人でしょ。同数になったらどうするの?」


「それは問題ないわ。私は投票しないから」


 椿が言った。


「え、なんで?」


「私はミーアにダンスを教えてきたから冷静に彼女たちのダンスを判断できないわ。情も移ってるし。だから、みんなに判断は任せる」


「そ、そう……わかったわ」


 椿が投票しないとなると、残りは3人になる。葵さん、美桜、友梨香さんだ。


「じゃあ、デビューに賛成な人、手を上げて」


 椿の言葉に美桜がすぐに手を上げた。そして、友梨香さんも手を上げた。


「……賛成が2人、ということは反対が1人。デビュー決定ね」


 椿が言う。俺の勝ちだ。本来なら喜ぶところだろうが何かそういう気持ちにはなれなかった。


「……理由を聞いていいかな」


 俺は3人に聞いた。


「ウチはこういうのは本人がやりたいならさっさとやった方がいいって思う方やからね」


 美桜が言う。まあ、美桜はそういうタイプか。


「私は……マス、いえ、大樹マネがその方がいいと判断されるのであればそれに従います。大樹マネはいつも正しい判断をされてきたので」


 友梨香さんが言う。友梨香さん、マスターって言いかけてるし。それに、そんなに俺を信用してもらっているというのは嬉しくもあるが責任も感じるな。


「逆に葵はなんで反対なの?」


 椿が聞いた。


「正直言ってボクには判断が付きかねるよ。だから、リーダーに従うことにしたまでさ」


 葵さんが言った。

 スミレは唇を噛んでいて悔しそうだ。俺は思わず言った。


「スミレ、ごめん……」


「ううん、いいの。みんながそっちがいいというなら反対はしないわ。ただ、ちょっと心配なだけ」


「心配?」


「うん。ミーアのみんながね。でも私の思い過ごしなのかも。じゃあ、ミーアのデビュー決定と言うことで、いつにしようか?」


 スミレが笑顔になって言ったので、場の緊張も和らいだ。


「そうだね、ボクたちは終業式の日にライブをする予定だから、その前の週は?」


 葵さんが言う。


「いや、それは三週間後じゃないか。だいぶ先になってしまうよ」


 俺が言った。


「そうだけど、その前の週は期末試験だよ」


 確かに。七月の最初の週が期末試験だ。その直前に時間を取って練習はできない。


「じゃあ、その前の週は?」


「試験前の一週間は部活動も休みだし。うちらは部活動じゃないから活動できるけど、ライブをやってもみんな来づらいでしょうね」


 スミレが言う。それもそうか。


「……となると今週しか無い」


「告知に時間を取りたいし、やるなら金曜日になるかな」


「そうだな。みんなもそれでいいかな?」


 俺がみんなに確認を取る。全員が頷いた。


「よし、決定だ。椿、ミーアの3人に伝えてくれ」


「なんで私よ。今回はバカマネが主導権発揮して決めたんだから、あんたが伝えなさい」


「そ、そうか」


 俺は部室を出て隣の空き教室に行く。そこではミーアキャットの三人が練習中だ。俺が入ると三人は「START DASH」を踊っている途中だった。俺は終わるまでそれを見ていた。


 曲が終わると宮川紅葉が言う。


「坂崎マネージャー、どうでした?」


 上目遣いでおそるおそるといった感じ。三人とも不安そうだ。俺はわざとしかめっつらを浮かべて不安を煽った後に言った。


「金曜日、デビュー決定だ」


「「「「やったー!」」」


 三人が飛び跳ねて喜んでいる。うん、この表情を見れただけでもデビューに向けてスミレと対立した甲斐はあったな。


「坂崎マネージャー、ありがとうございます!」

「「ありがとうございます!」」


 三人が礼をする。


「いやいや、君たちが頑張った結果だよ」


「でも、坂崎マネージャーがみんなを説得してくれたんじゃないですか?」


「ま、まあ……そういう面はあったかも……」


「やっぱり……坂崎マネージャーってほんとに頼りになりますね」


「いやあ……」


 俺は頭をかく。きっと横に椿が居たならエルボーを脇腹に食らっていただろうな。


 三人の感謝の瞳に耐えきれなくなり、俺は言った。


「場所とかは今後決めるから。じゃあ、頑張って」


「「「はい!」」」


 俺は空き教室を出て隣の部室に戻った。


「マネ君、役得やったねえ」


 入るなり美桜が言ってくる。


「別に。ただ伝えただけだから」


「美少女に感謝されてデレデレしてたんやない?」


「してないから」


 ホントは少ししてたけど。


「バカマネ。場所の交渉はあんたがやってよ。あんたが言い出したんだからね」


「わかった」


「じゃあ、私たちは自分たちの練習始めようか。さっきも言ったように終業式まで時間無いよ。今回は難しいからね」


「そうだね」


 ベアキャットの現在の目標は終業式の日の放課後に披露するステージ。今回は高度なダンスに挑んでいる。曲はYOASOBIの「アイドル」。有名な曲だがオリジナルのダンスは無い。だから自分たちで創作したダンスだ。


 その創作のために椿はずっと早く帰っていた。以前に通っていたアイドルスクールの先生に相談しながらオリジナルダンスを仕上げたらしい。そのダンスはかなり難易度が高かった。


「ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー……」


 椿の声が響く。まだ振り入れの段階だ。


「ここ難しい!」


 スミレが言う。


「じゃあ、振りを変えようか?」


「大丈夫! やるから」


 スミレは何度も同じところを練習していた。


◇◇◇


 翌日の朝。今日は朝練でスミレと葵さんが部室を使う日だ。俺は路面電車の停留所でいつものようにスミレと遭遇した。


「大樹、おはよ」

「おはよう、スミレ」


 しばらく会話が無かったが、スミレが言う。


「やっぱり大樹はすごいね」


「何が?」


「昨日の話」


 ミーアキャットのデビューの話か。


「だって、ベアキャットでは私がリーダーなのに、みんな大樹の意見に賛成しちゃうんだもん」


「みんなじゃないだろ。葵さんはスミレに賛成したし、椿は棄権だったし」


「葵はいつも私の味方だし」


 まあ、そうだよな。葵さんはスミレのことが好きだし、それをスミレも知っている。


「椿だって本気で反対ならそう言ってくれたはずだよ。大樹の味方もしたかったから棄権したんでしょ」


 そうかもしれない。


「やっぱり大樹にはかなわないなあ……」


「はあ? やっぱりってなんだよ」


「ううん。なんでもない。でも決まったことには私も従うから。ミーアのデビューは全力で応援するよ」


 そう言ってスミレは笑顔を見せた。


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