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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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51 仲間

 昼休み。宮川紅葉が葵さんを部室に呼び出しているから俺は部室には行かない方がいいだろう。そう思い、部室に行かず、教室で弁当を食べた。


 だが、お昼休みが終わりに近づいた時、椿からの呼び出しがあった。なんだろう。俺は慌てて部室に行った。すると、そこには椿と宮川紅葉がいた。


「あれ? 葵さんは?」


「もう帰ったわ」


 椿が言う。


「ということは結果は……」


「ダメでした」


 宮川さんが泣きそうな顔で言う。


「そうなんだ」


「はい……好きな人がいるからって言われました。でも、『ありがとう』と言ってくれましたので。私はもう満足です」


「そうか……」


「すみません、坂崎マネージャーにお礼を言いたくて椿先輩に呼び出してもらいました」


「お礼? 俺は何もしてないし、そんなのいらないよ」


「いえ、ご迷惑をおかけしましたので。坂崎マネージャー、ありがとうございました!」


 宮川さんは頭を下げた。


「う、うん……でも、大丈夫?」


「はい、私は大丈夫です。ちゃんとレッスンには来ますし、ミーアキャットを辞めることもありませんので。ご心配ありがとうございます。では、失礼します」


 宮川紅葉は出て行った。


「……強い子だな」


 俺は思わず言った。


「そうね。想いがまっすぐな子だわ」


「でも、あまり自分の中に抱え込むと限界が来そうで恐いけどな。どこかではき出せるところがあればいいけど」


「大丈夫よ。彼女には仲間がいる」


「仲間か……」


 ミーアキャットの残りの二人か。確かにあの二人は宮川さんを支えてやれそうだ。


◇◇◇


 放課後のレッスンはいつも通りに進んだ。だが、昨日は終了後にベアキャットの部室に来た宮川紅葉は今日は来なかった。


 椿と友梨香さんが先に帰り、葵さんはスミレと一緒に帰っていった。部室には美桜が残っている。俺はこの機会に聞いてみることにした。


「美桜、ちょっといいか?」


「ん? 何? マネ君」


「葵さんのことでちょっと聞きたい。美桜が葵さんと付き合ってたってのは本当か?」


「え、なんで知ってるの? マネ君が入る前のことなのに」


「いろいろと聞いてね。でも、どうしてだろうと思って。美桜は男子が好きなんだろ?」


「まあ、そうなんやけどね。あのときは葵が何や知らんけど落ち込んでて、元気がなかったんよ。それをみんな気がついたんやろな。自然にみんなで葵をはげましたんよ」


「自然にか?」


「そうやね。スミレは一段と葵に寄り添うようになったし、椿はそれまで少し壁があった感じやったのに葵への個人レッスンもするようになった。友梨香はときどき二人で勉強会をしてるようやったね」


「なるほど……」


 それぞれ自分で出来る励まし方をしていたわけか。


「そうなるとウチに出来ることは何やろ、って考えるやろ? そうなったら、ウチにできることはやっぱり体の温もりかなあ、って思って」


「はあ?」


 やっぱり美桜の発想はぶっとんでいる。


「でも、女同士でもそういうことするからにはやっぱりちゃんと交際するべきだって思ったんよ。だから葵にちゃんと交際申し込んでからしたんやで」


 ……何をしたかは聞かないでおこう。


「美桜は女性と交際した経験はあったのか?」


「あるわけないやん。でも、葵はイケメンやし、あんまり女子同士っていう感じはせんやったなあ。普通に付き合ったよ」


「そ、そうなんだ……でも、別れたのか?」


「うん。最初から葵を元気づけることが目的やったし、ちょっとの間だけ交際しようか、ってあらかじめ言ってたから。だから葵が元気になったところで、『ウチの役割も終わりやね』って言って、お互い笑顔で別れることにしたんよ」


 そういう感じだったんだ。


「でも、葵とのことをわざわざ聞いてくるなんてどうしたん? ウチに嫉妬したん?」


「違うよ。葵さんがまた少し悩んでるみたいなんだ」


「そうなんや……」


「うん。だから、どうにかしたいと思って、何かヒントは無いかと思って美桜さんに聞いてみたんだけど……」


「ヒントになった?」


「分からない。でも、ベアキャットのみんなは絆が強いんだな、とは思ったよ。一人が元気がなくなったら、みんなで励ますって……」


「そりゃあね。お互いライバル意識もあるけど、それ以前に仲間だから」


「仲間、か……」


「そうやね。今でこそベアキャットはみんなに認められてるけど、最初は白い目で見られることも多かったし」


「そうなんだ……」


「うん。パンツ見せ集団とか媚び媚びダンスとかいろいろ言われたわ」


「それはひどいな」


「それに部活動でも無い、ただの私的な活動やし。それなのに文化祭のオープニングアクトとかやったやろ? 一部にはうらまれたから」


「そうだったのか」


 あの伝説的な文化祭でのダンスパフォーマンス。俺もベアキャットのダンスをちゃんと見たのはあのときが初めてだった。可愛くありながら激しく踊るスミレ、クールなダンスの椿、可愛さに全振りした美桜、かっこよさの権化の葵さん、普段の印象とは全く違う友梨香さん。あれで全校的な人気になったんだった。


 でも、目立つ活動は当然敵を生みやすい。俺がマネージャーになったときにはベアキャットは学校を越えた人気者になっていて、校内の敵はもういないような状態だったから分からなかったが、それまでには苦悩があったようだ。


「だからベアキャットのメンバーはみんなに認めてもらうために一緒に戦ってきた戦友みたいなもんやから。誰かが凹んでたらみんなで慰める。それは何も言わなくてもみんな分かってることなんよ」


「そうか……いい仲間だな」


「今頃気がついたん? ベアキャットのみんなはお互いにライバルであり、最高の仲間でもあるんよ」


 だから葵さんはスミレに振られても立ち直ることが出来たんだな。俺と違って。



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