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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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42 執念

 俺はタクシーの中から友梨香さんのお母さん・梨子さんにメッセージを送った。


大樹『友梨香さんは大丈夫でしょうか?』


梨子『まだ部屋にいます。だけど、監視が厳しくて部屋からは出られないわ』


 やはりそうか。どうやって連れ出すか。それが問題だな。でも、友梨香さんとは今も連絡が取れない。おそらくスマホも取り上げられているのだろう。どうしたものか。


 何も思いつかないまま、家の前に着いてしまった。


「どうしたものか……」


 そのとき、庭を走ってくる足音がした。あれは……友梨香さんだ! 俺はすぐに車のドアを開けた。友梨香さんは走って車に飛び込んできた。


「出してください! グランメッセまで!」


 俺の声でタクシーはすぐに走り出した。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 友梨香さんは息が切れている。良く見ると靴も履いてない。普段着のままだ。


「脱走してきたのか?」


「はい。窓から逃げてきました」


「すごいな……」


「言ったはずです。絶対行くって」


 俺は友梨香さんのベアキャットにかける執念を感じた。

 こうなったら、あとはマネージャーである俺が何とかする番だ。


「わかった。あとはまかせてくれ」


「え?」


「お父さんはなんとかするよ」


「マスター……」


「でも、その前に靴を履いた方がいいな。コンビニにスリッパかサンダルか何かあったと思うからそれを買っていこう」


「はい」


◇◇◇


「「「「友梨香!」」」」


「みんな、遅れてごめんなさい!」


 俺たちはなんとかリハーサルの時間前にグランメッセに到着し、メンバー達に合流できた。


「バカマネ、よくやったわね」


 椿が俺のそばに来て言う


「俺は何もしてない。ただ迎えに行っただけだよ。友梨香さんが自分で脱出してきたんだ」


「だから、サンダルなのね」


「うん。靴は衣装のがあったよな」


「あるわよ。今日はそれを履いて帰ればいいわ」


「そうだな」


 そのとき、スミレの声が響いた。


「みんな、リハーサル行くよ!」


「時間ね。バカマネ、良く見ておきなさい」


 メンバー達はステージの方に向かった。俺はまだ関係者しかいない観客席に向かう。そこからベアキャットのリハーサルを見守った。そうしながら、これからどうするかを考える。


 お母さんには友梨香さんが合流したことを連絡してある。だから、大きな騒動にはならないはずだ。お父さんにはこれを伝えていないから、普通にここに見に来るだろう。ということはそこで説得するしかないか。


◇◇◇


「ありがとうございました!」


 満員の会場が沸いた。既に熊本ガールズコレクションは開演。滅多に熊本では見られない東京のモデルやアイドルの出演に会場は盛り上がっている。そんな中、俺は関係者席に急いだ。


 たくさんの席の中にようやく目的の人物を見つけた。県議会議員・篠原博。友梨香のお父さんだ。


「お邪魔します」


 俺は空いている隣の席に座った。


「君は……ベアキャットのマネージャーじゃないか」


「はい、覚えておいていただいてありがたいです」


「忘れるものかね。君には申し訳ないことをしたからね。すまない、急遽、娘が出れなくなってみんな大変だったんじゃないか?」


「いえ、それはいいんです。議員、今日の会場はどう思われますか?」


 俺はさりげなく父親から議員モードになるように会話を誘導した。


「うむ。盛り上がっていて素晴らしいな。でも、少し寂しい気がする」


「と言いますと?」


「みんな東京からのゲストをありがたがっているからね。地元の出演者も少しはいるが、盛り上がりは今ひとつだ。東京との格差を感じるよ」


「確かにそうですね。ですが、熊本にも会場を盛り上げられる出演者がいるはずです」


「ほう、誰かね?」


「次の出演者ですよ」


 そこで舞台が暗転した。スクリーンに映像が出る。



『 BEAR CAT

from Kumamoto』



 会場が大きく沸いた。


「なるほど。確かに盛り上がっているな」


「はい、良く見ていてください」


 ステージが明るくなり、曲が流れ出す。『私の一番可愛いところ』。曲がわかるとさらに観客は沸いた。


「大人気だな、君のグループは……ん? なんで友梨香がいるんだ!」


 ようやく議員は気がついた。


「今すぐ止めろ!」


「止められませんよ。それに会場の盛り上がりを見てください。熊本のパフォーマーがここまで盛り上げている。それが議員の望んだことなのでは?」


「それとこれとは――」


「それに良く見てください。娘さんのパフォーマンスを」


 友梨香さんは今日は気合いが入っていた。すごいキレだ。それに笑顔、楽しそうに踊っている。もちろん、他のメンバーも同じだ。楽しさが楽しさを誘発し、会場は爆発していた。


「ゆ、友梨香が……あんなに笑顔で……」


「議員は娘さんのあんな笑顔を見たことがありますか? 友梨香さんは何よりステージを楽しんでいます。それがみんなに伝わって、会場が盛り上がっているのです」


「……すごい歓声だ。こんなに人気があるのか」


「人気は確かにありますが、それだけではないでしょう。知名度は東京の有名グループには劣ります。ただ、自分たちのパフォーマンスで会場を盛り上げているのです」


「すごいな……」


「それに友梨香さんはベアキャットの活動をしながら学年トップクラスの成績を維持しています。それがどれだけ大変なことか。夜遅くまで友梨香さんが勉強していることを議員はご存じなはずです」


「そうだったのか……ワシの誇りだ。友梨香……」


 ベアキャットのステージがどこまで盛り上がるか、賭けだったが、どうやらそれに勝ったようだ。いや、メンバー達が頑張ってくれたおかげか。



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