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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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32 個別学習

 勉強会を続けていると時間はお昼になった。すると、扉が開いてお手伝いさんが言った。


「みなさま、そろそろお食事はいかがでしょうか」


「やったー! これが楽しみなのよねえ」


 美桜が正直に言った。


「美桜ったら……でも、毎回毎回いいんですか?」


 スミレが聞く。


「是非召し上がってください。シェフも張り切って作ってますので」


「ありがとうございます!」


 美桜が大声で言う。


「じゃあ、お持ちしますね」


 しばらくすると再び扉が開き俺たちの食事が運び込まれた。


「今日のランチは、季節の食材を使った懐石風です」


「うわー! 美味しそう!」


 プレートには刺身や野菜、いくつもの小鉢、そして天ぷらなどが少しずつ乗っている。これは美味しそうだ。それに見とれていると突然、大人の女性が現れた。すごい美人だ。


「みなさん、こんにちは。私もご一緒してよろしいかしら」


「お、お母様……どうしたのですか?」


 急に現れたこの女性は友梨香さんのお母さんか。


「はじめまして、友梨香の母の梨子です」


「どうして今日はここに……いつもは来ないのに……」


「すぐ帰るから。ちょっとだけよ」


 そう言って、友梨香さんのお母さんは俺の隣に座った。


「え?」


「坂崎大樹君、でしたっけ?」


「は、はい。そうです」


「友梨香とはお友達とお聞きしてますけど、それだけの関係ですの?」


「お、お母様!」


 友梨香さんが慌ててお母さんのところに来た。


「だって、友梨香が初めて連れてきた殿方だからどういう方か知っておく必要があるでしょ?」


「そういう関係じゃないって言ったはずです!」


「でも、これからお付き合いに発展するかもしれないし……」


「ち、違います! もう……出ていってください!」


 友梨香さんはお母さんの腕を強引に取って引っ張っていく。


「分かったわよ、友梨香。では、坂崎君、ごゆっくり。友梨香をお願いしますね」


「は、はい……」


 お母さんは部屋を出て行った。


「はぁ……大樹マネ、ごめんなさい。お母様、誤解してて……」


「俺はいいけど……」


「友梨香、バカマネのこと、なんて説明したの?」


 椿が友梨香さんに聞いた。


「……大事な友達だって」


「そんなこと言ったら誤解されるわよ」


「だって……他に何も思いつきませんでしたから」


 大事な友達か。ベアキャットを内緒にしている以上、マネージャーとは言えないし。本当にそう思っていてくれたら嬉しいな。


「困りましたね。明日、大樹マネに基礎から特別講義をしようかと思っていたのですが……私の家ではやめておいた方が良さそうです」


「そうみたいだね」


 さすがに俺と二人で勉強会なんてなったらお母さんの誤解がさらに進んでしまうだろう。


「じゃあ、大樹の家に来たら? 私も顔出せるし」


 スミレが言った。


「そ、そうですか……大樹マネの家に……でも、私、男子の家に行ったことなどありませんけど……」


「大丈夫よ。妹の瑠璃ちゃんもいるし」


「瑠璃ちゃん……あの可愛い子ですね。分かりました。そういうことなら……」


 じゃあ、明日は俺の家に友梨香さんが来るのか。すごいことになったな。


「えー! ずるい! ウチも行きたいのに!」


「ボクたちはクラスの集まりがあるだろ」


 葵さんが言う。明日はそっちのクラスはみんなで何かあるのか。


「うぅ……でも、スミレも一緒でしょ?」


「うん、でも、私は家が近くだから、朝は寄れるし」


「ずるいなあ」


「仕方ないでしょ。幼馴染みなんだから」


 スミレが何かマウントを取ったように美桜に言っていた。


◇◇◇


 結局、友梨香さんの家での勉強会で俺はたいした成果を得られず、翌日の個別レッスンに全てをかけることになった。


 翌日の朝10時。スミレと友梨香さんが俺の家に来た。


「いらっしゃい、スミレ、友梨香さん」


「大樹、おはよう」

「大樹マネ、お邪魔します」


 友梨香さんは白いブラウスに紺のロングスカート。すごく清楚な格好だ。もちろん眼鏡で髪は結んでいる委員長のスタイルだけど。


「ごめん、大樹。クラス会の予定が早まっちゃってもう行かなくちゃいけなくなったの」


 スミレが言う。ということは友梨香さんと二人かよ。


「そ、そうか」


「ということでまたね!」


 スミレは家を出て行った。


 友梨香さんを家に入れると妹の瑠璃が出てきた。


「いらっしゃーい!」


 あらかじめ友梨香さんが来ることを伝えていたので喜んで出迎えている。


「お久しぶり、瑠璃ちゃん」


「お久しぶりです、友梨香さん。それにしても、ほんとにベアキャットの時とは雰囲気違いますね」


「はい、普段はこうなんですよ」


「そうなんですね。それがダンスになった途端、すごく人が変わったようになるので、すごいです!」


「はい、ダンスの時は全てを忘れて楽しんでますので」


「今日はお兄ちゃんとお勉強と聞きましたけど」


「はい、そうですよ」


「お兄ちゃん、馬鹿なんでよろしくお願いします」


「まかせてください。大樹マネは頭が悪いわけではなくて、単に勉強をされてないだけだと思います。だから教えるのが楽しみなんです。では行きましょう」


「え? お兄ちゃんの部屋でやるんですか?」


「はい、そのつもりでしたが……やっぱりその方が集中できますし」


 そう言って友梨香さんは俺を見た。まあ、そうか。


「よし、じゃあ行こう」


「はい、お願いしますね」


 俺は友梨香さんを自分の部屋に入れた。


「それじゃあ、やろうか」


 だが、友梨香さんは座らずに俺の部屋を見回している。


「な、なんか変かな?」


 俺は焦って聞いた。


「いえ……男子の部屋は初めてですので、いろいろ珍しくて」


「そ、そうか。でも、普通だと思うよ、まあ座って」


「はい。いろいろ参考資料は持ってきましたので」


 友梨香はようやく座り、テーブルにたくさん本を並べた。


「こんなに持ってきてくれたの?」


「はい、基礎からやるなら1年生からの教科書が必要ですし。では、まずこれから」


 数学Iの教科書を友梨香さんは広げた。


 そこからは友梨香さんの特訓が続く。基礎からやり直していくことはとても勉強になったが、頭が疲れて大変だ。


 お昼には友梨香さんはお弁当を持ってきていた。俺はカップヌードルを食べて、そこからも休む間もなく勉強は続いた。くたくたになったが、なんとか最低限のラインまでは届いた気がする。


「これなら少なくとも半分以上は取れるでしょうね」


「ありがとう、友梨香さん」


「どういたしまして」


「でも……ほんと、ごめん。俺のために……」


「いえいえ」


 考えてみたら確かに俺はベアキャットのマネージャーになるかわりに勉強を友梨香に教えてもらう約束をした。だけど、それは勉強会へ参加する、というものだったはずだ。それなのに今日は個別で教えてもらっている。友梨香さんに申し訳ない。


「……何かお礼するよ。欲しいものとか、やってもらいたいこととかないかな」


「お礼なんてそんな……でも、そうですね。一つあります」


「え? 何?」


「私に恋愛を教えてもらえませんか?」


「は?」



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