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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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23 デート

「お待たせ」


 土曜日。デートの待ち合わせ場所に現れた椿の格好は思っていたものと違った。白いワンピースで清純な少女のような姿。なのにサングラスをしている。


「どう? 可愛い?」


「可愛いけど……なんでサングラス?」


「私ってバレたら困るでしょ。だからイメージと違う白いワンピースでさらにサングラスしてきたの」


「そうなんだ。でも白いワンピースってイメージと違うとは思わないけど……」


「はあ? 私はこんな清純な少女じゃ無いでしょ? 大樹は私のことどんなイメージなのよ」


「……いつも強がってるけど本当は甘えたがりの繊細な子って感じだけど」


「なっ! ……バカ」


 椿はまた顔を赤くしていた。


「もういいわ。行きましょう」


 椿はアーケードを歩き出した。そして、気になる店があるとすぐに入っていく。


「あー、この服もいいわね。着てみようかしら。大樹、ちょっと待ってて」


「わかった」


 椿は気に入った服を試着した。デニムのロングスカートのワンピースだ。


「どう?


 この服、椿にはすごく似合っている。


「こっちのほうが椿のイメージだな」


「でしょ? 私は白いワンピースって感じじゃないから」


「そうだけど、でもそれも可愛いよ」


「……口説いてる?」


「まさか。だって、彼氏なのに口説く必要ある?」


「そうだけど。でも、もうすぐ別れるからね」


「分かってるよ」


「まあ、いいわ。これ買うから」


「買うの?」


「うん。大樹とのデートの思い出の服にする」


「そっか……」


 椿はその服を買って満足したようだ。それからはちょっと気になったものを見るぐらいで、やがて「そろそろお昼にしない?」と言い出した。


「そうだね。どこ行こうか」


「大樹は決めてないわけ?」


「え、決めてないけど。椿が行きたいところに行こうと思って」


「休日だと人気店は予約しないとすごく待つわよ」


「そ、そうか……」


 しまった。行くべき店を選んで予約しておくべきだったか。


「やっぱりバカマネね」


「ごめん……」


「別にいいわ。次はちゃんとしなさい……って、次は無かったわね」


 椿が言った。


「そうだな……でも、お互いフリーならデートはしてもいいんじゃないか?」


「大樹はスミレと付き合うんでしょ。私とはデートできないじゃない」


「そうなればいいと思ってるけど、無理だよ」


「でもあきらめてないんでしょ?」


「……」


「まあ、いいわ。とにかくお腹減ったから何か食べましょう」


「そ、そうだね」


 俺は目に付いたカフェに入った。老舗の店みたいだし、ハズレでは無いだろう。幸いにもテーブルは1つだけ空いていた。


「よかった……」


「運はあるわね、大樹は」


「そうかな」


「そうよ。私の彼氏役してるんだし」


「確かに」


 たまたま泣いていた椿を見つけて彼氏役をやることになったんだった。確かに運はあるのかも知れないな。


◇◇◇


 ランチのあとは映画だ。俺たちはバスセンターの映画館に向かった。


「何見るか決めてるの?」


「……ごめん、映画も決めてない」


「それはまあいいわ。私も選びたいし」


「そうなんだ」


「うん。今だったら……『366日』ね」


「なんか失恋ソングから生まれた映画って書いてあるけど……」


 椿は失恋したばかり。大丈夫だろうか。


「だから見たいのよ。私の失恋を過去のものにしたいし」


「そ、そうか。だったら見よう」


 俺たちは映画館に入った。中はカップルだらけだ。そんなにカップルで失恋ソングの映画が見たいのかよ。


 映画が始まるとすぐに夢中になった。結構つらい話が続く。すると、椿は俺の方に手を伸ばしてきた。よくわからず椿を見る。


(手、出しなさい)


 小声で言われ、俺はよく分からず手を出した。すると、その手をぎゅっと椿が握ってきた。マジかよ……


 その後は感動の展開が続く。そのたびに椿の手はぎゅっと俺の手を握ってきた。本当は感動しなければならないんだろうけど、俺の意識は椿の手に入ってしまい、話がなかなか頭に入ってこない。やがて映画が終わり、俺が椿の方を見ると、椿は目に涙を一杯ためている。


「か、感動したよな」


 俺はよく分からないながら言ってみた。


「感動とかそんなありきたりな言葉じゃ表現できないわ」


 椿が言う。


「そ、そうだな。とりあえず、これ」


 俺は椿にハンカチを渡した。


「ありがと。洗って返す」


「別にいいよ」


「だめよ。別れるまでには返すから」


「わ、わかった」


「じゃあ、出ましょうか」


 俺たちは映画館を出た。


「これからどうする?」


「映画を見たんだから感想を言いたいに決まってるでしょ」


「そ、そうか。じゃあ、カフェとか?」


「そうね。下にいいカフェがあるわ」


 椿はそう言って俺を2階の洋菓子店が経営するカフェに連れて行った。


「ここはよく来るのか?」


「たまにね。あ、メンバーと一緒によ。元カレと来たことは無いから安心して」


「そ、そうか……」


 そういう意味じゃ無かったんだけどな。俺たちはケーキセットを頼んで席に着いた。そこからは椿が映画の感想をひたすら語る。俺は聴いているだけになった。


「あー、でも面白かった」


「そ、そうだね……」


「……ねえ、大樹。彼氏役が終わる日、要するに別れる日をちゃんと決めておこうか」


 椿が言った。


「一週間後じゃ無いのか?」


「そうだけど、あの日は水曜だったでしょ。だから一週間後って来週の水曜なのか、それとも火曜までなのか、微妙でしょ?」


「そうだな……」


「ちょうど来週の水曜が新入生歓迎会だから。その前日にしましょうか」


 つまり火曜か。


「……いいのか? 歓迎会の前日で」


「あなたと別れるショックで影響無いかって? 大丈夫よ。この間は不意打ちだったからショックだっただけ。今回はあらかじめ分かってるから。それに……すっきりした気持ちで歓迎会に出たいし」


「それもそうか」


「火曜の放課後。歓迎会前の最後のレッスンのあとでこの関係は終わりにしましょう」


「わ、わかった……」


 具体的に時間が決まると、途端に寂しくなってきた。そういう顔を俺がしてしまったのか、椿が言ってくる。


「もしかして……この関係、続けたいって思ってる?」


「……それはダメだ」


 俺は言った。


「うん、そうよね。だって、私が好きな大樹はスミレを絶対あきらめない一途な大樹なんだから。もし、スミレをあきらめて私を選ぶって事になったら幻滅するわ」


「そ、そうか……」


「だから私と別れたあとにまたちゃんとスミレに立ち向かってよ。それで、どうしてもダメだったら、私のところに戻ってきてもいいから」


「……そのとき、椿に彼氏がいたらどうするんだよ」


「そのときはごめんなさい」


「マジかよ……」


「フフッ、でもたぶん大丈夫よ。あなたはスミレと付き合える。私が保証するわ」


「それならいいけどな」


 ほんとにそんな日が来るとは今の俺にはなかなか想像できないけどな……


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