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「おれは5人の悪党に両親を殺された」
ラーセンが語りだす。
「まずは、その1人目に復讐するために、このアジトに乗り込んだ。しかし、逆に捕まってしまった。そいつはサディストで、さっきの器械でおれの首と胴を永遠にお別れさせようとしたわけさ」
「なるほど」
ガヤオは頷いた。
彼を助っ人に呼ぶ相手は、絶対に悪人ではない。
それだけは確かなのだ。
「この先に、奴が居る」
「どうして分かる?」
「潜入する時、この施設の構造は調べた。ただ、奴の部屋までに手下たちが居るだろう」
「それは、俺に任せろ」
ガヤオは剣を抜いた。
「ずいぶんクラシカルな武器だな。さっき、手からビームを出したのも驚いた」
「ああ、ビリビリンだ。雷の呪文」
「魔法ってやつか? 便利だな」
2人が先ほどの部屋と同じ、両開きのドアに辿り着く。
「開けたら、突入だ」
ラーセンの指示に、ガヤオは頷いた。
壁のボタンを押し、ドアを開いたラーセンが中に飛び込んだ。
ガヤオも続く。
2人を8人の敵が出迎えた。
ラーセンのレーザーガンが、恐るべき早技で左の4人を倒す。
右の4人が撃ったレーザーは、ガヤオのビリビリンが跳ね返した。
続けて、剣で斬りつけようとするが、その前にラーセンのレーザーガンと格闘術が、あっという間に敵を片付けてしまう。
「すごいな」
ガヤオは感心した。
「ずいぶん修行したのさ」
ラーセンが笑った。
奥のドアを開け、2人は進んだ。
痩せた、目付きの悪い男が待っている。
「覚悟しろ」
仇に、ラーセンが告げた。
「まさか、こんなことになるとはな」
男が絶望に表情を歪める。
「お前は、おれの両親を憶えちゃいまい。だが、地獄に行っても、おれの顔は忘れるな」
「死ぬのは、お前だ!」
ヒステリックに叫んだ男が、右手のレーザーガンを上げた。
しかし、彼が引き金を引くより早く、ラーセンのレーザーガンが男の身体を撃ち貫く。
仇はドッと倒れ、動かなくなった。
ラーセンが彼の首に手を当て、死を確認する。
「まずは1人」
復讐者の瞳は暗い。
「あと4人だ」
ガヤオの身体が半透明になってきた。
「お! やっと帰れそうだ」
ミョーン感覚に、ガヤオがホッとする。
「ガヤオ、本当に助かったよ」
「ああ。役に立てて良かった」
2人は握手した。
「先は長いだろうけど、気を付けてな」
ガヤオの言葉に、ラーセンが頷く。
景色が、元の世界に戻った。
「そうだ! かわいい娘に、お酌してもらってたんだ!」
思い出した。
しかし、広間には人が居らず、静まり返っている。
「ガヤオさん、お帰りッス」
ネココが、眠そうな声をかけた。
「宴会は終わって、もう皆、帰ったッスよ」
「そんなー!」
ガヤオは落胆した。
「あれ!? 誰か残ってるぞ!」
ネココ以外に、人影があった。
「あれは掃除係のミツコさんッス」
ネココが紹介する。
30代後半の女性が振り返った。
「ミツコです」
彼女が、ペコッと頭を下げる。
「あっ、ガヤオです」
こちらも頭を下げた。
「いや、ミツコさんって言われても!」
こうしてガヤオとネココは、今日もカルナディアの平和を守っている。
おわり
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大感謝でございます\(^o^)/