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09・たんぱく源

 果物は諦めた。炭水化物は一応クッキーから摂ってるけど心もとないというか絶対に不足してる。塩分はきっと魚が含んでるから大丈夫――だと思いたい。







 さて質問です。現代日本では食生活の欧米化が進んでいると言われていますが、欧米化とは細かいこと言えばどこらへんを差すのでしょうか。


 答え、肉食。兎肉食ってたとか鳥肉食ってたとか言ってもほんの時々のことであって、現代みたいにほぼ毎日食べるなんてことはなかった。



「肉食べたい」



 塩コショウで味付けしたミディアムレアを、レタスに巻いて食べるんだ。思い出すだけでよだれが出るよ。



『肉?』



 ひーちゃんが首を傾げた。こっちには肉食文化がないんだろうか。ないとしたら――困る。もの凄く困る。私の食生活の彩りが減る。



「そう、肉。牛肉豚肉鳥肉牡丹に桜」



 口蹄疫が何だというんだ。ワクチン摂取した肉がどうだって言うんだ。宮崎牛がいつもより安く手に入るなら私はワクチンの一度や二度なんて気にしないぞ。どうせ合成着色料とか食品添加物で体の中は悲惨なことになってるんだ、今さらワクチンを食べても何が変わるわけじゃなし。



「ああ、肉が食べたい……」



 そんなことを考えていたからか。言ってたじゃないかミズキちゃんが。


 『望めば良いのよー』と。望めば解決するかどうかは別にして何かが起きるのだと。



 もりっ……



「もりっ?」



 もりもりもりもりっ



 土が盛り上がるような――下から押し上げられてるのか?――そんな音がした。音源を探せばすぐ横の森。森だからもりもり、とか考えた私は馬鹿だと思う。



『っしょ』



 盛り上がる土の端を見ると、茶色の精霊さんが地面に手を突っ込んで何かを持ち上げようとしていた。一気に引き抜かれる何か、転がる茶色いの。ちょ、土の精霊さんの登場の仕方微妙……。



「わ、わーお」



 引き抜かれたそれはとってもグロテスキュー。二メートルくらいあるだろうか、見るからにミミズ然とした巨大生物が地面の上をのたうちまわる。



『肉ー!』


「肉――?!」



 見るからにミミズじゃないか。そりゃあちょっとでなくサイズに首を傾げずにはいられないけど。



『仲子お肉食べたいって言った!』


『シロちゃんもお肉食べるの』


「さよか、あれがお肉か」



 一気に食欲が減退したんだけど。



『美味しいのよー』


『美食の極みなのよー』


「説明ありがとうミズキちゃんたち」



 アレがこの世界での高級食材なのか。……茶色いのが殴って気絶させたけど、うねうねと動く様子がグロいというかキモいというか。



『ナカコにプレゼント』



 茶色い子が頬を染めながらミミズもどきを差し出してきた。喜びたいのはやまやまなんだけど喜び難い。動きが蠕動運動っぽくて。



「うん……有難う」



 そのあと金ちゃんにナイフになってもらいミミズを切り分け、中に詰まってた肥料を掻き出し水洗いしてから焼いて食べた。ソーセージに似てパリッとした皮で、白身の多い部位は舌の上で溶けるようだったし、赤身は歯ごたえがしっかりしてて美味しかった。


 形がミミズだということさえ忘れられればもっと美味しかっただろうに。

友人が土の登場の仕方は絶対に巨大ミミズ! と言ったので、食用になってもらいました。土の話すシーンさっぱりないですね。

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