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08・何を守るのか知らねども

 寝床がちょっとマシになった。何がマシになったかと言うと、葉っぱのベッドができたこと。固い石や土の上で丸くなって眠るのが辛くなってたところだから万歳三唱して天然ベッドを迎えた。有難う緑の!


 この世界にやってきて一週間が過ぎようとしていた。初日や二日目には棒のように重かった足もだいぶん慣れてきたらしい、疲れることは疲れるけど余裕が出てきた。



「そろそろ呼び名を考えた方がエエやんな」



 五人というよりは五匹とカウントした方が良い気がする精霊さんを呼ぶのに、赤いの白いのでは分かりやすいが安直過ぎる。それに呼びにくい。



『何の呼び名?』


「あんたらの」


『呼び名呼び名ー』



 さて、一から考えるのは面倒だ。それらしい名前で、呼びやすいのと言ったらどんなのがあるだろう?



「白いのはどんなんが良い?」


『んー、シャキーンってしてキラキラなの』


「良く分からん。もうシロちゃんでえっか」



 シロちゃん決定。文句は右から左。



「赤いのは何かリクエストある?」


『覚えやすいのが良いの』


「あんた自分の呼び名やねんで、もうちょっと頓着せえや」



 赤いのはひーちゃんに決まった。火だから。



「おねーちゃんはどんなんがエエの?」


『可愛いのが良いわー』


「了解」



 ミズキちゃんで。ただ『キ』を付けただけにしては一気に可愛らしくなったと思う。全国のミズキちゃんごめん。



「緑のはどんなん――」


『ひうっ!!』


「……こっちで決めるわ」



 木だからきいちゃん。照れ屋というより怖がりな気がする。まるで私が獰猛な野獣のようじゃないか。襲われるとでも思ってるんだろうか。



「黄色いの、名前は決めたか」


『木と同じのが良い!』


「そりゃ無理や」



 金ちゃんで断行。双子のご老人を思い出したのは仕方ないと思う。き「い」とき「ん」でお揃い――に思えなくもない。


 カラフルな精霊さんたちを見ながら思う。土が入ったら人数オーバーだけど、こいつらでレンジャーモノできるんじゃなかろうか?



「要素戦隊・エレメンジャー! 我ながら上手いな……」



 私の前を金ちゃんに引っ張られたきいちゃんが走り、ひーちゃんがショルダーバッグに座っている。シロちゃんは私の頭の上を占領し満足そうにこっちーだのあっちーだのと指示している。頭の上で指示されてもどっちを指してるのか分からん。



『よーそせんたいえれめんじゃー?』


「そう。弱きを助け悪しきを挫く正義の味方のことや」


『なる! 金ちゃん、よーそせんたいえれめんじゃーになる!』



 名前を与えた途端、一人称が呼び名に変わった赤青白黄緑。幼稚園児っぽい。



「はっはっは、要素戦隊は冠詞だから、エレメンジャーとだけ言やエエんやで」


『えれめんじゃー!』



 エレメンジャー作ったは良いけど、何を守るんやろ。世界平和なんて無理だろうし……とりあえず私の明日の命を守ってくれないだろうか。

要素戦隊エレメンジャー! とりあえず今のところは仲子の明日を守ります。とりあえずは。

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