19・十七歳は幼女に含まれますか
なんというタイトル……。
復活しました、長らくお待たせして申し訳ありません。構想もまだ霞にような状態ですが、手探りで進んでいきます。
そんな生活を送り始めてはや二カ月が過ぎた。誰も迎えに来ないし、探してるだなんて噂も聞かないし、私は一体何のためにここに来たのかさっぱり分からない。誰か説明して欲しい。――と思ってたら。
「へー、都から」
魔王討伐隊だとか言う、仰々しい名前の数人組がこの町に寄るらしい。てかこの世界に魔王っていたんだ、知らなかった。森の奥深くで運命的な出会いをした鋭い牙のお友達は人里にまでは降りて来ないと聞いた時には物凄く安心したけど、魔王なんて言ったら『人族よ滅びるが良い』とか素面で言える痛々しい厨二病患者というイメージがあるからなぁ。
「そうなのよ、あの北にいるって言う魔族を倒しに行くんだってさ」
店番を任されるようになってから仲良くなったミエコおばちゃんが、内緒話のようにこそこそと手を口に当てる。
「それでね、その人たちはニホンジンを探してるんだって」
「――はぁ?」
「あれ、知らないのかい。ニホンジンってのは何百年も前に魔王を倒した救世主のことだよ。黒目に黒髪の――ナカコみたいな容姿の娘なんだってさ」
まああんたがニホンジンだとは思わないけどね! と豪快に笑ったミエコおばちゃんに対し、私は内心色んなものが渦巻いていた。今頃か。今頃やってきて『助けてください』って言うのは虫が良い話じゃないか? 私がどんだけ苦労してここまで降りて来たと思ってるんだ、素人に山歩きさせるな。エメレンジャーがいなかったら死んでたぞ、私!
「へー、凄いね! そのニホンジンって!」
「だろう? 早くニホンジンが見つかると良いんだけどね」
それにしてもニホンジンだなんて変な名前だね、としゃべりたいだけしゃべって帰って行ったミエコおばちゃんはちゃっかりピザパンを三枚買ってった。おばちゃんの最近のお気に入りらしく、前に私が作ってるって言ったら作り方を強請られた。言葉は悪いけどあれはもう犯罪だよ。
「ミエコさんはもう帰ったかい?」
店に隣接された休憩スペースから顔を出したのは隣ん家の二階の一室を間借りしてる自称『流浪の物書き』ことコウイチさんだ。緑がかった茶髪に青い瞳の好青年で、聞けば年齢は十七――私と一緒。
十七と聞いた時にはつい聞き返してしまった。二回も三回も同じことを聞いちゃってコウイチさんには申し訳ないけど、そのおかげで日本人を基準に考えたら駄目だと分った。だって二十代半ばにしか見えない。ちょっと幼い顔の三十代前半って言っても通じると思う。外国で日本人が実年齢以下に見られる理由が良く分るってもんだよ。
「うん。コウイチさんもここで暇潰してないで色々まわりゃエエのに」
コウイチさんは実年齢が近いからかつい元の口調になってしまう。気楽で良いんだけど他の人に聞かれたら変に思われるだろうことは間違いないっ。
「いいや、僕はこのパン屋から人の様子を見るのが気に入ってるんだよ」
焼き立ての美味しいパンが食べられるし、パンを買いに来る人を観察できるしとコウイチさんは満足そうだ。それで良いのか物書き。
そしてコウイチさんは綺麗にウィンクして人差し指を立てた。
「最後に、可愛い店番の女の子とおしゃべりできるからね」
「幼女を口説いてどないすんねん」
まさかこの年齢になって自分を幼女ということになるとは数か月前までは思いもしなかった……。
あとがきから失礼しますが、PV十八万越え有難うございます! あごが外れるかと思いました!
あと、誤字脱字ありましたらこっそり教えてくださると物凄く有り難いです。