14・六年=赤子が小学生になる期間
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こんなグダグダ小説ですが、楽しんでいただければ幸いです。
刺激臭というかなんというか、ぶっちゃけて言えば『これ以上嗅いでいたくない類の臭い』に鼻水が大量生産され、刺激で涙がぼろぼろ流れてもう大変。こういうお涙頂戴なシーンでは人に縋りついて泣きじゃくるのが常なんだろうけど、今すぐ離れたい場合はどうすれば良いんだろう。
「怖かったね、もう大丈夫だよ」
おばちゃんの中でどんなストーリーが展開されてるんだろうか。私はどんな怖い思いをしたことになるんだか……聞いたら笑いそうだ。食糧以外で苦労することはほぼなかったもんなぁ。お風呂と服は命に関わることでもないし、ノーカウントでしょ。
「ううっ……」
私はしゃくり上げる。おばちゃんが腕の力を強めたせいでおばちゃんの服に顔を埋めることになって、更に強烈な悪臭を肺いっぱいに吸い込むことになったから。苦しい。もうヤバい。
「だいじょぶ、です。ありがと……ございます」
どうやら関東系のようだから「ですます」で話す。関西弁を話すのは敵国だとか言われたらデッドオアアライブじゃなくてデッドオアダイングだ。
「そう? 良かった」
おばちゃんが体を離す。刺激臭が離れてほっとする。目も鼻も洪水だから、おばちゃんに渡された濡れ布巾で顔を拭った。
「落ち着いた?」
顔を拭いてはふーと溜息を吐けば、おばちゃんが優しい目をして聞いてきた。臭いさえどうにかなれば抱きついて甘えたいくらい素敵なおば様なんだけどな。
「はい」
「おばちゃんはマリっていうのよ、貴女は?」
「ナカコです」
「ナカコちゃんのお母さんかお父さんは?」
「……いないです」
元の世界に置いてきた。もう二度と会える気がしない。
「そう……。住むところは――ないわよねぇ」
「はい」
あったら驚きだ。
「うん、ナカコちゃん、貴女この家に住むと良いわ」
「へ?」
「まだ小さいのに辛かったわね、これららはおばちゃんが守ってあげるからね!」
小さい……幼いってことか。私は十七なんだけど、このヨーロッパっぽいお国では十七歳は児童なんだろうか。はっと気づいて自分の顔を触る。そうだ。
「あの、私、いくつに見えますか」
「十歳くらいでしょう?」
「…………は、十な――一歳です」
そりゃ無条件で受け入れられるわ。なんか子供扱いされてるなと思ってたんだ。働ける年齢とは言え十一歳はまだ子供、何らかの要因によって親と離れ離れになった可哀想な女の子と思われたんだろう。もしくは死別したとでも思われたか。
「今日からナカコちゃんは私の娘よ、良いわね?」
親と生き別れか死に別れかしたっぽい子に向かってその言葉を吐くのは酷だと思うよおばちゃん。もう二度と会えないとはいえ私はもう思春期を過ぎて大人に片足突っ込んでるから気にしないけど、本当の十一歳にそれを言ったらきっと泣かれるよ。
「うん、小母さん」
鼻水がさっきから止まらないから鼻声になった。
鼻の穴にミントを詰めると良いみたいな事を聞いたことがあるけど、したらかなりみっともないから止めよう。
香水を広めるか入浴の習慣を広めるか……私が慣れるのは違う意味で涙が出そうだから却下。
香水ってどうやって作るんだろうなぁ。
サバを読む話。なんてこったい。
香水の作り方なぁ……ウィキウィキに頼ります。