ex01・要素戦隊エメレンジャー参上!
番外編その1。
飛ばしても何ら問題ありません。
きいちゃんがいない今、正統派レンジャーモノらしくエメレンジャーの構成員は五人だ。ひーちゃんを真ん中にして二人ずつ左右に分ける。そして決め台詞。
『一つ、人の世生き血を啜り。二つ、不埒な悪行三昧。三つ、醜い浮世の鬼を退治てくれようエメレンジャー!』
「うん、業界から文句が来そうな気がすんな」
まだハゲの替え歌のほうがマシかもしれない。桃太郎侍ごめんなさい。オマージュということにさせてください。
せっかく戦隊モノという副次的名称を付けたんだから、何かこれといったポーズと決め台詞が必要だろうと始めたこの企画、早くも頓挫しそうだ。
私が解散と言うと、エメレンジャーはそれぞれが恰好良いと思ってるらしいポーズを解いてバラバラと散った。
「決め台詞は諦めて、ひーちゃんが起こす爆発をバックに『要素戦隊エメレンジャー参上!』とか言う?」
『やーっ!』
「やー言われても」
思いつかないからパクリにしかならない。天呼ぶ地呼ぶ人が呼ぶもいかんだろ。
『金ちゃん恰好良いのが良い!』
「それが思いつかんから言っとるんだろ」
さっきからシロちゃんと金ちゃんがしつこい。どうしろと言うんだ。
『金うるさい』
金ちゃんがツッ君に頭を打たれた。
「もう高笑いと『エメレンジャー、参上!』で良いやん、これもパクリやけど」
ちなみに笑い方は『はっはっは、はーっはっはっはっは』だから。もし何か一言言い足すなら『ナカコ君、私が来たからにはもう大丈夫だ』だから。で、私は『来てくれたのね、エメレンジャー!』と言う、と。
『高笑いって言うと「ほっほっほ、ほーっほっほっほっほっほ!」かしらー?』
「ミズキちゃんそれは女王様ってかドSっぽくなるから止めよか」
『ひっひっひ、ひぃーっひっひっひ?』
「ひーちゃんそれやと悪役くさい」
いやらしい感じがする。
『ふっふっふ、ふーっふっふっふ』
「シロは黙っとれ」
『きっきっき、きーっきっきっき』
「それは果たして笑い声なんかどうかをも一回考えてみ、金ちゃん」
『つっつっつ……』
「それやと電報になるからなツッ君」
なんで高笑いがきっきだのつっつだのになるんだ。
「高笑い言うたら『はっはっは』やろ」
『えー、やだ、金ちゃんきっきっきが良いー!』
「聞こえようによっては某量産型の、上に『ゲル』だの『ネオ』だの『グラン』だのと付く悪の組織構成員の鳴き声に聞こえるから止め」
『白ちゃんもふっふっふが良いのー!』
「怪しげな研究者みたく聞こえるから却下」
結果。高笑いとポージングに決まった。
エメレンジャーとの他愛もない会話。ネタに走ったともいう。怒らないで、ああ、石投げないで!