1-4-3
ヴィックはドアのそばに立ち、クララの机の上に掛けられた古い絵へと視線を移した。
ネフィリムの踊り子が舞の途中に描かれている。
翼と光と、現実離れした優雅さ。
だが彼は本気で見てはいなかった。
ただ、これから口にする本題の前に、視線の置き場が欲しかっただけだ。
「そうだ——新しいネフィリムは見つかったか? できれば男だ。ジュゼッペに、もっと選択肢をやりたい」
「気長に待ちな」クララは言った。
「働くネフィリムの女を探すだけでも一苦労だ。男で、なおかつ口の堅いのを見つけるなんて……奇跡だよ」
「じゃあ、もし俺のかわいい坊やを指名してくる客がいたら——」
ヴィックはすでに完璧なカフリンクスを直しながら言った。
「——ジュゼッペのいつもの料金より高くしろ。あいつの好みが相場の天井だと思われたくない」
クララは長い視線を送ると、煙草に火をつけた。
「ジュゼッペは、生涯分の財産を払ってまで、尻を突き出して処女の娘みたいに声を上げたがる男だ。
あれだけの度胸と財布を、あからさまに捨てられる奴なんざ、他にはいない」
ヴィックは上機嫌にくすくす笑った。
「でもさ、最近は指名が増えてるって聞いたぞ?」
クララは煙を半分吐きながら、ため息を混ぜた。
「ただの好奇心さ。でも安心しな。もし誰かがあいつを指名したら、値はしっかり吊り上げる」
ヴィックは金星をもらったガキみたいな笑みを浮かべ、階段へ向かった。
「そいつはいい」
クララは帳簿のページをめくり、指先にグラスのジンを少し付けた。
名前、料金、「贈り物」の欄が、見慣れた模様のように目の前でぼやけていく。
「ヴィック……あんたはこの街区を受け継いだが——」
ペンの音が静かに走る。
「——守る頭までは受け継がなかった」
階下では、バンドがだらけた和音を合わせていた。
足音が響き、グラスの触れ合う音がした。
顔を上げず、彼女は帳簿を閉じ、煙草を灰皿に置く。
ショータイムは静かに訪れる。
ベルもアナウンスもなく、ただ空気が変わるだけだ。
正面の扉が開き、毛皮のコートと磨かれた靴と共に、この街の罪が流れ込んでくる。
クララは二階の端まで歩き、下を見下ろした。
クラブはすでに生きていた。
金色の光の下、音楽が膨らみ、給仕たちは時計仕掛けのように動く。
娘たちはテーブルの間を滑るように行き交い、下の男たちは誰もが「選ばれたい」と思っている。
場内は埋まっていた。
ベルベットのジャケット、細いシガレットホルダー、絹の手袋、そして本当に面白くもないのに大きすぎる笑い声。
「見られるため」に来る客たち。
顔見知りの政治家、胡散臭い実業家、そして首元の硬さが違法滞在を物語る奴が一人二人。
クララはメザニンに留まり、視線を漂わせ、部屋を帳簿のように読み取っていく。
そして、彼を見つけた。
先ほどの男——ダグラス・マーサー。
一人席に座り、背筋は完璧。
連れも、指輪も、隣の椅子にコートもない。
酒をゆっくり飲み、首を動かさずにクラブ全体を見ている。
そこへジュゼッペ・ペルラが現れた。
外国仕立てのスーツに身を包んだ二人の目ざとい男を従えて。
ダグラスはまばたき一つしなかった。
ただ、グラスの角度をわずかに変え、まるで正面ではなく、その反射で相手を見ているように。
クララは見逃さなかった。
彼女はもう一本煙草に火をつけ、目を細める。
「……あんた、新参じゃないね」
煙草を揉み消し、ドレスのラインを直す。
そして階段を降りていった。
ゆっくりと、構えた姿勢で、獲物から視線を外さずに。




