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1-4-2

 クララは煙草を揉み消し、時計を確かめると、化粧部屋からバックヤードの廊下へと向かった。

 階段を上れば自分の事務所だ。


 フロアはほぼ準備が整っていた。

 衣装をまとった娘たち、低く流れる音楽、磨かれたテーブル。

 そろそろ上へ行く時間だ。


 事務所はクラブの真上、メザニンの奥に隠れるようにある。


 向かう途中で、もう一本煙草に火をつけた。


 ドアは半開きだった。

 ノブに手を伸ばしかけたとき、背後の廊下にぬめるような声が響いた。


「クラ〜ラ〜」


 ヴィカロ・ガロッポロ。

 声の高さは、その価値の二倍もある。


 彼女は振り向かない。


「ヴィック」


 中へ入り、椅子に腰を下ろす。

 まるで一度も席を立っていなかったかのように、背筋はまっすぐ、ペンは手元に、部屋は自分のもの。


 ヴィックは、いつもの薄っぺらな笑みを浮かべて入ってきた。

 自分が魅力的だと信じ込んでいるときの顔だ。

 スーツは真夜中色のブルーで仕立ては悪くないが、肩がきつすぎる。

 ネクタイには本物のダイヤのピン——だが趣味が悪い。

 父親譲りの顎と名前だけは持っていたが、それ以上は何もない。


 クララは正午から開いていた帳簿を落ち着いた手つきで広げ、横のペン立てからペンを取った。


「娘たち、今夜の準備はできてるか?」

 ヴィックはもう、机横のリストに目を走らせている。


「できてるよ」クララは答える。

「フルメンバーだ」


 ヴィックは爪先を一枚の紙にコツコツと当てた。

「思ったんだが——二階をもっと早く開けようぜ。二回目のセット前に、常連の財布をゆるめさせるんだ」


 クララは口だけで笑った。

 目は笑わない。


「先月それをやったろ。どうなったか覚えてるかい?

 部屋の半分は酔い潰れてチップを落とさず、残り半分は踊り子を触り始めた。見栄えが悪い」


 ヴィックは手をひらひらさせた。

「じゃあ二軍の娘を回せばいい。上玉は休ませる。

 デーモンの娘をメインフロアにもっと出してもいい……ちょっとスパイスを効かせるんだ」


 クララはまばたきもしない。

「前にそれをやった時、客が刺された」


「だから?」

 ヴィックはにやりと笑う。

「その分、ショーの代金を上乗せすりゃいい」


「私たちには守るべき評判がある。

 それに、あんたが思うほどベルベットから血は簡単に落ちない」


 彼は舌打ちした。

「おいおい、警察が嗅ぎ回ることはないだろ。

 俺たちがヤツらのポケットに突っ込んでる札束を見りゃな」


「そうだね」クララは淡々と返す。

「……その日までは」

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