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クララは煙草を揉み消し、時計を確かめると、化粧部屋からバックヤードの廊下へと向かった。
階段を上れば自分の事務所だ。
フロアはほぼ準備が整っていた。
衣装をまとった娘たち、低く流れる音楽、磨かれたテーブル。
そろそろ上へ行く時間だ。
事務所はクラブの真上、メザニンの奥に隠れるようにある。
向かう途中で、もう一本煙草に火をつけた。
ドアは半開きだった。
ノブに手を伸ばしかけたとき、背後の廊下にぬめるような声が響いた。
「クラ〜ラ〜」
ヴィカロ・ガロッポロ。
声の高さは、その価値の二倍もある。
彼女は振り向かない。
「ヴィック」
中へ入り、椅子に腰を下ろす。
まるで一度も席を立っていなかったかのように、背筋はまっすぐ、ペンは手元に、部屋は自分のもの。
ヴィックは、いつもの薄っぺらな笑みを浮かべて入ってきた。
自分が魅力的だと信じ込んでいるときの顔だ。
スーツは真夜中色のブルーで仕立ては悪くないが、肩がきつすぎる。
ネクタイには本物のダイヤのピン——だが趣味が悪い。
父親譲りの顎と名前だけは持っていたが、それ以上は何もない。
クララは正午から開いていた帳簿を落ち着いた手つきで広げ、横のペン立てからペンを取った。
「娘たち、今夜の準備はできてるか?」
ヴィックはもう、机横のリストに目を走らせている。
「できてるよ」クララは答える。
「フルメンバーだ」
ヴィックは爪先を一枚の紙にコツコツと当てた。
「思ったんだが——二階をもっと早く開けようぜ。二回目のセット前に、常連の財布をゆるめさせるんだ」
クララは口だけで笑った。
目は笑わない。
「先月それをやったろ。どうなったか覚えてるかい?
部屋の半分は酔い潰れてチップを落とさず、残り半分は踊り子を触り始めた。見栄えが悪い」
ヴィックは手をひらひらさせた。
「じゃあ二軍の娘を回せばいい。上玉は休ませる。
デーモンの娘をメインフロアにもっと出してもいい……ちょっとスパイスを効かせるんだ」
クララはまばたきもしない。
「前にそれをやった時、客が刺された」
「だから?」
ヴィックはにやりと笑う。
「その分、ショーの代金を上乗せすりゃいい」
「私たちには守るべき評判がある。
それに、あんたが思うほどベルベットから血は簡単に落ちない」
彼は舌打ちした。
「おいおい、警察が嗅ぎ回ることはないだろ。
俺たちがヤツらのポケットに突っ込んでる札束を見りゃな」
「そうだね」クララは淡々と返す。
「……その日までは」




