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1-4-1

 クララは傷跡を隠そうともしなかった。


 背中の開いたドレスは、優雅さのためでも、虚栄のためでもない。

 女には、勲章のように身につけるべきものがある。

 肩甲骨を縦に走る二本の深い線は、刺青でも事故でもなかった。

 そこにはかつて翼があった。焼き切られ、引き剥がされた。

 人々がどんな噂をしていようと、誰も本人には訊かない。


 長いマッチで煙草に火をつけ、化粧部屋の鏡のそばに立つ。

 視線の先では、女たちが支度の仕上げにかかっていた。


 ヒューマンの娘たちは、先のきらめく偽物のエンジェルの翼を、裸の背中にきつく固定していた。


 デーモンの娘たちはもっと手間がかかる。

 革の翼を羽根飾りの袖の下に隠さなければならない。


 今夜、フロアに出る本物のエンジェルは二人だけだ。


 スパンコール、ベルベットの手袋、ガーターの鈴。いつもの鎧だ。


 空気は香水の匂いで濃く満ちていた。

 それは汗も、緊張も、恐怖も覆い隠す。


 クララはこの店のすべてを回す女だった。

 マネージャーでもあり、教師でもあり、時には用心棒。

 この場所の心臓そのものだ。


 《コート・ダジュール》はまだ開店前だったが、店はすでにざわめいていた。


 ダンスフロアは磨き上げられ、完璧な光沢を放っている。

 テーブルは琥珀色の灯りに艶めき、二階のメザニン——本当の商売が行われる場所——には新しいクロスと冷えたグラスが並んでいた。

 隅の蓄音機からは、ショーの前の静かな予熱のように、かすかな音楽が流れていた。


 二度ノックがあり、ジョリーが入ってきた。

 店の使い走りの一人だ。


「ミス・クララ」

 唇紅の跡がついたクリップボードを抱えている。

「二人欠勤です。タリアは肋骨を打って、ピアはまた吐いてます」


 クララは横に煙を吐いた。


「ピアに言っときな。妊娠してたら、そのガキを売ってでも代わりを雇うって」


 ジョリーは瞬きひとつしない。

「はい、ミス」


「ヴィータをタリアの穴に入れな。それと三回目のショーではリアをフロアから外す。客が見てると調子に乗るし、今夜は拾い集める気分じゃない」


「はい、ミス」


 彼が踵を返しかけたとき、クララは目で止めた。


「それとジョリー……シャンパンをもう一度確かめな。まだぬるかったら、あんたの舌を引っこ抜いて氷で冷やすよ」


 彼は黙って出て行った。


 クララは再び鏡へ向き直る。

 ドレスのラインを整え、灰色が混じり始めた髪を撫でつけた。

 老いてはいたが、敬意を払われる種類の老いだ。

 このカルドレダムの一角で、いまだに「ミス」と呼ばれる数少ないエンジェルの一人。


 二度目のノック。


 今度はマレクだった。

 広い肩と樽のような胸、潰れた鼻に、濡れた砂利のような声を持つフロア係。


「新顔が一人、列に並んでます」


 クララは視線を上げない。

「グループかい?」


「一人です。

 まるで昔から通ってるみたいな口ぶりで」


 クララは白鳥型の灰皿に灰を落とした。

 化粧部屋の奥に並ぶ化粧台のひとつ。粉や口紅、香水で散らかっている。


「名前は?」


「誰かがダグラス・マーサーって呼んでるのを聞きました。政府筋らしい……外交官か何かと」


 そこで初めて彼女は顔を上げた。


 外交官は一人で来ない。

 ここには来ない。

 そして、常連のように話すなら、誰かに仕込まれているはずだ。


「見張っときな。近づきすぎず、目だけだ」


 少し間を置いて付け加える。

「それと、私が二階から見下ろせる席に通しな。フロアがよく見える場所だ」


 マレクはうなずき、部屋を出て行った。

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