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5話『 仮面を被った悪魔 』 

「よし、行くぞセツナ!」

「うん!」


草原で両手に剣を持ったセツナと拳を構えたライゼが向き合う。セツナが攻撃を仕掛け、ライぜがそれを避ける。そして拳での攻撃をするがセツナは剣で防ぐ。


「はーっ!!」


セツナの一撃がライゼに襲いかかるがそれを簡単にいなして少し弱めに拳を放った。セツナは「ぐっ..」とうめく声を出してその場に倒れる。



「とりあえずこの辺にしておこうか」

「やっぱり師匠は強いや」

「セツナもそのうちこのぐらい強くなるさ」


そんな話をしながら街に戻る。街は相変わらず多くの人が賑わって右往左往が激しく歩いている。



「おい聞いたか?竜鬼(ドルム)の集団にまた冒険者が襲われたらしいぞ!」

「またか...どうなってんだ?早く竜鬼(ドルム)を駆除して欲しいものだ」


そんな話が耳に入る。だがセツナは特に気にしている様子はない。


少し歩いていると向こうで何やら人だかりができていた。「なんだ?」と言いながらその人集りの方をよく見ると、そこには金髪の男が立っていた。その男は女性に集られ歓声が上がっていてとてつもない人気な感じが遠くからでも伺えるほどだ。


「なんだかすごい人気のようだな」

「そうだね」


「おいあいつこっちくるぞ」


その女の人に集られている金髪の男はこちらのに気づくと近づいてきた。背は高く金髪でイケメンといった感じだ。そいつは「やあ、こんにちは」と言いながら髪をかきあげ、にっこりと笑った。



「はあ...」

「なんだ?こいつ」

「あれ?僕が話しかけたのにその反応は何だい?」

「ええっと...?」

「まさか疾風のシュンギルを知らないのかーい?」


疾風のシュンギル。名前は聞いたことある。Aランクの冒険者で男女問わず絶大な人気がある。そして実力も相当なもので1人で厄災を退けたんだとか何とか。そんな人物がセツナに用だなんて...と思いながらライゼは会話を聞いていた。



「やあやあ竜鬼(ドルム)のお嬢さん。元気かーい?」

「あはあ..」


ノリについていけず困惑するセツナに髪をくしで整えながらにこやかに笑っている。


「うーん、この疾風のシュンギルと会ってその反応は困るなあ」

「あの疾風のシュンギルか?」

「ああ、本物だ!!」

「すげえ!!サイン貰おうかな?」


道ゆく人はそう言いながらシュンギルを見ている。ライゼはこの何だかめんどくさそうなやつを見て明らかに嫌そうな顔をしながらセツナに囁いた。


「おい、もう行こうセツナ。

「え、うん...」

「おいお前!竜鬼(ドルム)のくせに話しかけられるなんていいご身分だなあ?」


1人の男がセツナにそう酷いほどの言いがかりをつけるが、シュンギルが「辞めたまえ」と言ってその男を引き離す。


「何を言ってるんだい?僕はみんなに愛されている疾風のシュンギルだからねえ!みんなを愛さないと!」

「なんだ?こいつは...」

「さあ行こう、ちょっと付き合って欲しいんだ」

「はあ..?」


そう言われたセツナは引っ張られるがままどこかに連れて行かれ、ライゼもそれについていった。



シュンギルと共にやってきたのは集会場だった。そこから地下へ向かうと、地下には丸い闘技場があり、そこで戦うことができるのだ。


「君を鍛えてあげるよ。この疾風のシュンギルがねぇ!!」

「あ...はあ?」

「おいおい、絶対何かあるって」

「でもあったとしてもこんな機会あまりないと思うから...何かあったら師匠がとめてくれるだろうし」

「まあ、そうだな」

「でもできるところまでやりたいから」

「なにブツブツ言ってるんだい?」

「いえ!」


闘技場の端に立ちシュンギルは準備はいいかと尋ねる。セツナは剣を出し「はーっ!と言いながらシュンギルの方へと向かった。


「よしいいぞ!セツナ!」

「なんだか師匠より戦いやすい...」


少しいい勝負をしながらシュンギルの剣を弾き顔の横に剣を振る。するとシュンギルの頬に傷がついた。


「すごい!セツナ!」

「あまり調子に乗るなよ... 竜鬼(ドルム)のくせに!」


そう言ってセツナの手を蹴り上げて蹴りを一発入れる。そして首を掴んで地面に叩きつけた。


「ぐっ...」

「クク、なんで呼んだかわかるか?そりゃあもちろんお前に冒険者を辞めてもらうためだ」

「はあ?セツナに冒険者を!?一体どういう事だ?」


ふふふと笑いながら首を絞めていく。


「君みたいな危険人物はここにいてはいけないからねえ?」

「危険人物?」

「僕知ってるんだよ?君が原因で街が一つ吹き飛んだことをさあ」


おそらくこの前セツナが言っていた師匠を失ったあの事件のことだろう。だがセツナがやったという証拠はないはずだ。 竜鬼(ドルム)のセツナがやったと勝手に決めつけているだけだろう。


「そんな...こと...」

「知ってるんだよ?君がまるで本物の竜のような姿になって大暴れしたって」

「っ...!」

「こいつ適当なこと言いやがって!」


セツナは首を絞められて喋れないのか図星なのか何も言おうとしない。


「この疫病神が!」

「くっ!」


そう言ってセツナを投げ飛ばし、シュンギルはジリジリと近づいていく。


「セツナ!違うとでも言ってやれ!」

「だから手下を消しかけて洞窟の入り口塞いだりしたってのに」

「あれはこいつの差金で!」

「この!」


セツナは剣を振るが後ろに避けられ服を掠っただで終わった。


「否定はしないんだね化け物。ここで粛清してあげるから覚悟しなよ?」

「うるさい...うるさい!」


そう言いながら両手の剣を振るう。剣同士が混じり合う音と共にシュンギルを少し押していく。


「この化け物如きが調子に乗るなよ!お前の師匠とやらも無能なお前のせいで死んだんだからな!!」」

「このぁっ!!」


よほどこの話には触れられたくないのだろう。勢いよくセツナが剣を振り、2つの剣がもう一度混じり会おうとした時、手の鳴る音がした。




その手を叩いたのは黒い髪の銀色の制服を纏ったなんだか怪しげな男。それを見てシュンギルは手を止めた。


「ニースさん...どうしてここに?」

「初心者いびりか?Aランクも良いご身分やなあ?」


その言葉にシュンギルは「いや、その...」と唐突にしどろもどろになる。


「上に報告してもええんyで?」

「いや、その..」

「とっととここから消えた方が身のためやと思うで?」

「っー!?」


その言葉にシュンギルは急足で出ていった。そしてそのニースと呼ばれた男はセツナに近づいてくる。


「いやあほんとすまんなあ。竜鬼(ドルム)ってだけで差別的な目を向ける連中ばかりで」

「いえ...」

「おい、こいつもきっと危険だぞ!怪しい感じがする」

「あいつはAランクの中でも色々と素行とかが怪しくてなあ?」

「...っ」


じーっと懐疑的な目を向けるセツナに「あー大丈夫やて!と言う。


「大丈夫なわけない」

「うん、わかってる」

「お、やっぱそこにおるんやな?」

「っ!?」


その言葉にギョッとしてその男を見る。ライゼが見えている...にしては言い方が少し不自然だ。


「あー俺は見えてないで。君の隣にずっと何かがいるのにみんなスルーしてるって隊長が言うもんやからな?最初は何言ってるのかとおもたけどいわゆる透明人間ってやつなんやな」



なんだかベラベラと喋るその男は本来の目的を思い出したのか「そうや」とだけ言う。


「おいなんだこいつ?」

「おっと、用件伝えるのがまだやったな」

「用件...?」

「ちょっと来てもらうで」

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