4話『 秘めたる竜の力 竜天魔装(ドラゴ・アーム) 』
「竜天魔装」
その姿にライゼはそう呟いた。竜天魔装...それは竜鬼の中でも限られたものしか使えないというか破壊の力。その凄まじい力は使いこなすことさえできれば最強とも言えるほどだ。
「はーーーーっ」
そう言ってセツナは何度か斬りつける。その威力は先ほどまでとは違いかなりのものだ。大蜘蛛ヴェノリジアの体を荒まじい勢いで斬りつける。攻撃をする度に悲鳴をあげていて先ほどより明らかに効いているようだ。
「はあっ!!」
勢いよく攻撃を続けるセツナ。攻撃が命中する度に今までビクともしなかった体に傷が入る。
「ギュオオオオオオオオ!!」
「すごい!!」
ヴェノジリアも負けじと攻撃を仕掛けるがセツナは攻撃を避けながらさらに何度も追撃をしていくが、セツナは攻撃を避けながら追撃をしていく。
そう言いながら一撃を決めていく。その度に剣がヴェノジリアを突き刺し悲鳴を上げている。
「決める...竜魔爆撃波!!」
そう言いながら放たれたセツナの斬撃は大きな轟音と共に爆発を起こし、目の前が煙で見えなくなった。その凄まじい爆発はライゼたちを爆風で吹き飛ばすほどだ。セツナの姿は元に戻りその場に倒れてしまった。
「やった...のか?」
「ギュオオオオオオオオオオオオ!」
煙が晴れるとヴェノジリアのけたたましい鳴き声が響き渡る。だがセツナの大技のおかげか体はボロボロで弱っている。口から放たれたビームは塞いでいた入り口の岩を簡単に消滅させる。
「入り口が!!でもこのまま逃げたらこいつが野放しに...っ!!」
その瞬間セツナの姿は元に戻り、その場に倒れた。ヴェノジリアは相変わらずおぞmっしいような雄叫びをあげながら襲いかかってくる。
「セツナ!!っ...このままじゃ!動け俺の足!もう少し耐えてくれ!!」
そう言いながらライぜは無理矢理立ち上がる。
「俺も...ここでやらないとセツナが!!」
血をぼたぼたと垂らしながら立ち上がり、「はあああああああああああ!!!」というような凄まじい声をあげながら拳をヴェノジリアに殴りかかる。
体が痛むが気合いでヴェノジリアの攻撃を避ける。セツナがある程度ダメージを与えてくれたおかげなのか動きは鈍く避けるだけならそんな難しいことはない。
「はっ!!はっ!!はーっ!!」
何度か拳を入れるとヴェノジリアは悲鳴をあげながらボロボロの体を動かして反撃する。
ライゼはそれを避けて勢いよく拳を振り上げてからヴェノジリアに向かってこれ以上のないと言うぐらいの一撃をお見舞いした。
「っ!」
やられてばかりのヴェノジリアも抵抗して攻撃を仕掛ける。だがセツナの攻撃もあってか明らかに動きが鈍くなっている。
「よし、今なら!!」
「うおおいああああああああああああああああああ!!」
そのすままじい一撃がヴェノジリアに命中する。すると奇声を上げながら倒れ、黒くなって消えていった。
「やった...!?」
消えたのを確認すると、ライゼは「セツナ!!」と叫んで傷だらけの体を引きずりながら倒れているセツナの方へと向かう。
「大丈夫か?」
「うん...」
「今回復を..」
「それならポケットに..」
セツナのポケットには透明な瓶があり中に入は緑の液体が入っていた。これは傷を癒す薬で飲むだけで傷を癒すと言う効果がある。それを何本か取り出して自分が飲み。セツナのにもそれを飲ませる。
「ん...」
「大丈夫か!?セツナ!!」
「うん...」
「すごいじゃないか!あんな力!」
「すごい...?」
なんだかその言葉にセツナは引っかかるような感じだ。
「すごくないよ、あんなのは...」
「いや、すごいさ!今までヴェノジリアにダメージすら与えられなかったのにあれだけ傷を負わせるなんてな!なんで今まで使ってこなかったんだ?」
「それは...」
その言葉にセツナは少し黙る。先ほどの竜天魔装はすごいと思ってないような素振りからあまり良く思ってない事情があるようだ。
「よし、この話はいいや!」
「え?いいの?」
「あまり話したくないだろうしな」
「うん...」
「さて、もう少し休んだら戻ろうか。この事を報告しないといけない」
「うん、そうだね」
ガチャと言う音と共にボロボロでセツナが集会場に入ってきたのを見て受付のお姉さんは驚いた顔をした。
「どうしたんですか!?」
「それが...」
セツナは事の顛末を話した。ヴェノジリアがいた事、襲われたがなんとか倒した事などライゼの事を隠して話した。
「そんなことが...」
「はあ?嘘つけ!!」
その時向こうからそんな声が飛んできた。
1人のガタイのいい大男が酒を煽りながら絡んできたのだ。
「お前があの厄災を倒せるわけねえだろ!!」
「まあ1人ではなかったけど...」
「はあ?じゃあ誰とって言うんだ?」
「それは...」
流石にライゼの事は言えず黙り込む。すると次々とヤジが飛んでくる。
「お前が倒したのはしょーもないちっこい蜘蛛なんじゃねえのか?」
「ああそうだな!!そうでもないとお前がヴェノジリアを倒したってのはおかしいからな!」
そんな事を言いたい放題言う連中に怒りもせずセツナは淡々と報告をする。
「おそらくそれは本体じゃないですね?」
「本体じゃない?」
「倒した後に黒くなって消えたのでしょい?おそらく幻影だと思います」
ヴェノジリアは本体とは別に黒い影で偽物をうみだす。偽物自体はさほど強くはないが、それでもかなりの強さだという。ライゼの攻撃が通らず竜天魔装でやっと通るほどの強さだったのでかなりのものだろう。
「師匠ですら傷つかなかったのに...本体はどれほど…」
「師匠?」
「ああなんでもないです」
「とりあえず報告はしておくのでゆっくり休んでください」
「はい」
その光景を見ていた2人はヒソヒソと話をしていた。
「おいおい、入り口塞いだのになんでいるんだよ!」
「しかも偽物の幻影とはいえヴェノジリアを倒したってどうする?」
「そりゃああの人に報告するしかないよな?」
「ああ、怒られるのは嫌だがしょうがない...」