17話『 迫り来る魔軍侵攻(スタンピード)の脅威! 』
「お、来たな」
セリ達が襲撃にあった次の日、ESISの本拠地に入るとニースが待っていた。セツナ達は突然ライゼに呼ばれてここに来たのだが、来いと言われた以外は何も知らされていない。
「お前達に手伝って欲しいことがあるんやが、ええか?」
「と、いうと?」
「チビスケは 魔軍侵攻は知ってるやろ?」
魔軍侵攻。時折魔物の軍勢が押し寄せてくることがある。その数は少なくても300以上はいて、その様子からその名がつけられた。
「何やら魔物が大量に押し寄せてきているっていう情報があってな?それを対処して欲しいんや
「もちろん他にもたくさんの冒険者が参加するやろうし、まあ背後霊がついてるとはいえ心配や。そこで、この依頼だけのチームを組んでもらうことにしたんや
「背後霊って」
ニースが手を叩くと数人の男女が入ってきた。だがその顔はセツナの知った顔だった。それも一番会いたくない顔。
「なんだよ、チームを組むって聞いて来てみればお前かよ!」
「こんなやつ役に立つの?」
「同感ですね。すぐに変えてもらいましょう」
「...アーレット、レレナ、ケーリッヒ」
「久しぶりだなセツナ」
それはかつてセツナをパーティから追放したあーレット達だったのだ。
「こいつら何で!?」
「なんや知り合いか?なら話は早い。じゃあ頼むで」
「待ってください!こんな役立たずを入れるんですか?お荷物はいりませんよ!」
「役立たず?それ本気で言っとるんか?」
「実際役に立たないからパーティから追い出したのにねえ」
それは嘘だ。なぜならまともに戦わせる気などなく、1人では勝てないような相手にセツナをぶつけて自分たちは何もせずやられる姿をまるで見せ物のように楽しんでいたではないか。
「こいつら!」
「師匠..」
「本当にそう思ってるなら余程無知なんやろうなあ?」
「ああ?」
「ま、ええで。これからそれを確かめればええんやからな。それともまだ不満でもあるんか?」
鋭いニースの睨みにアーレットは「しょうがない」とだけ言った。
「まあお前なんかに期待はしてねえけどな」
「ま、せいぜい頑張りなさい!まともに戦えるようにね!」
「ええ。期待はしていませんから足だけは引っ張らないでくださいね」
「そうそう、俺たちBランクに上がったんだ、お前は?まだCランクだろうなあ!お前みたいなよわっちい奴でもBランクぐらいは上がってくれないとなあ!いや無理か?
「ダメですよアーレットさん、事実を言ったら可哀想じゃないですかぁ」
「...っ」
「ちゅーことや。今参加する奴らは中央の広場に集まっとるお前らはそこへすぐに行ってくれ」
「...はい」
セツナが少し元気なさそうに返事をして話は終わ、り 魔軍侵攻に参加する者は中央の広場に集まることになっているのでそこへ移動した。そこにはたくさんの冒険者が集まっていた。
「おいおい竜鬼がいるぞ」
「うそおなんでいるの?」
「最悪。戦闘中はこっちに来ないで欲しい」
相変わらずガヤがうるさいが無視することにした。
「はーあ、お守りも大変だな」
「ええ、セツナなんかと行くなんてなんて罰ゲームですか」
「大丈夫、あなた達の邪魔にはならないから」
「言うわねえ」
その時、向こうに1人の人物が見えた。それを見てその者のいる方向へと向かう。
「あいつが...なんで!」
そう呟きながらその人物に声をかける。それはセリ達を襲撃した男だった。
「なんであんたが...!」
「チッ!またお前か」
「質問に答えて!」
「おいセツナ!」
「まー待て」
そこに割って入ってきたのはニースだった。その感じからおそらくニース...いやその上のリーゼエ辺りからよりにもよってこの男に協力関係を仰いだのだろう。
「こいつはラグナ。隊長少し交渉をしただけだ」
「交渉って...」
「まー色々あると思うんやけど今度ばかりは少し我慢してくれへんか?」
「...っ」
そこへ突然「セツナ!」と大きな声を出したのはライゼだった。
「今はそんなやつに構ってる場合じゃないだろう。相手は魔物だ」
「うん...」
「あ、やっぱセツナちゃんだ!」
そう言いながら向こうから誰かがセツナにかけ寄ってきた。それは昨日怪しい男にやられたナズナだ。
「セツナちゃん!セツナちゃんも参加するの?」
「ナズナちゃん!もう大丈夫なの?」
「うん」
「おかげさまでな」
そう言いながら隣にはセリの姿もある。あの男に襲われて心配していたが、大丈夫そうな姿を見て安心した。
「セリも元気そうでよかった」
「俺は呼び捨てかよ!」
「怖いけどお互い頑張ろうね」
「うん!」
そこに「おいおい」と言いながら口を挟んで来たのはアーレットだ。
「怖いなら参加しなくてもいいんだぞ?」
「そんな言い方ないでしょ?」
「なんだ?セツナ。歯向かうのかあれだけ散々バカにしてオモチャにしてやったのによお」
「ほっときましょうよセツナなんて。最初からいないものとして戦った方が効率が良いです」
「おお、ケーリッヒは良いこと言うじゃないか」
セツナとアーレットがそんな話をしていると、向こうから「うるせえなあ雑魚どもが」と言いながら銀髪の目つきの悪い男が近づいてきた。
「低級の雑魚共がピーピー喚いてんじゃねえ」
「なんだと?」
「アーレットやめといた方がいいわ。こいつAランクよ」
「お、雑魚のくせにわかってるじゃねーか」
「おい、ガウス。俺たちの相手は魔物だ。無駄な事はするな」
そう言いながら向こうからかなりベテランという感じの男が向かってくる。背中には大きく太い剣を刺している。
「だってよおリビア、雑魚同士でピーピー喚くんだぜ?」
「だってもクソもねえ。無駄に絡むなって言ってるだろ?」
「チッ、わかったよ」
「すまないなうちのモンが。この口悪いのはガウス。自分より上のやつしか興味ないんだ。そして俺はリビアだ。俺たちは魔の翼っていうチームでやってるAランクだ」
「どうも...」
そんな話をしていると広場に設置された台座にリーゼエが上がってきた。
「諸君!よく来てくれた!今魔物の進軍が進んでいる!力を合わせて打ち倒そうではないか!!」
「おおー!!」
「さあ行け!」
そのリーゼエの一声で一斉に魔物の軍勢が押し寄せている場所へと向かう。セツナも向かった。
アーレットと共に森をしばらく進むとかなりの魔物が姿を現した。20、いや30はいるだろうか。
「行くぞ!」
「ええ!」
「はい!」
そう言ってアーレット達は魔物をどんどんと倒していく。魔物自体はそこまで強くなく、簡単に倒せてしまうほどだ。アーレット達はセツナを無視してどんどんと先に進んで魔物を倒して行く。
「おいおいいいのか?」
「まあ大丈夫でしょ」
「うああああああああああああああ!!」
大丈夫と言う言葉のすぐ後に狙いすまし高
たかのようにアーレット達の悲鳴が聞こえる。そこにいたのはホワイトウルフだった。
「クソ!ふざけるな!こんなオオカミごときに!レレナ!」
「わかってるっつの!」
そう言ってレレナが攻撃を仕掛けるが全然効いている感じがしない。ケーリッヒも炎や風の魔法で戦うがこちらもノーダメージという感じだった。
「ホワイトウルフ...!」
その姿を見てかつての自分を思い出す。シュンギルの下っ端にホワイトウルフを倒せるかの賭けを持ち出され結局ライゼの協力があって倒せた。だが今はあの時とは違う。
「セツナ、1人でも行けるな?」
「うん。師匠見てて」
「ああ」
そう言うとセツナは2本の剣を抜いて勢いよくホワイトウルフに一撃を加えた。この攻撃はかなり効いたようだ。
「セツナお前!」
「下がってて」
「はあ?あなたが指図できる立場!?」
「足手まとい」
「...っ!まあいい。レレナ、アーレット見ててやろうじゃないかこいつが無様に負ける姿をな」
「そうですね」
「そうね」
そう言ってアーレット達は後ろに下がる。セツナのホワイトウルフのリベンジが始まるのだった。




