⭕ いない
──*──*──*── 1階・職員室
厳蒔眞勇
「 えっ?
キギナ、来てないんですか? 」
担任教師
「 貴方達3人が[ 職員室 ]から出て行く姿を見たきりよ。
それ以降、生徒は1人も来てないわね 」
厳蒔眞勇
「 そんな……。
おかしいな… 」
担任教師
「 それより、遲野先生を見なかったかしら?
これから会議が始まるのに来ないのよね 」
厳蒔眞勇
「 オレ達もホッチ先生を探してる途中だったんです。
『[ 部室 ]の鍵を掛け終わったら[ 職員室 ]に戻るから待っててほしい 』って言われていたんです。
でも結局── 」
担任教師
「 それで最後に会った[ 部室 ]が在る4階へ戻って探していたのね 」
厳蒔眞勇
「 はい……。
別の部活の[ 部室 ]の戸が開いていたから、ホッチ先生が居るのかと思って中へ入ったんです。
そしたら…………女子生徒が血塗れの状態で床に倒れていて──。
頭が無くて……身体が変な方向に折れ曲がっている状態で…………。
先生達に知らせる為にキギナが[ 職員室 ]へ向かった筈なんです…… 」
担任教師
「 じ…事情は分かったわ。
校長先生と教頭先生へ報告してから、警察に通報してもらうからね。
──円基先生、厳蒔君と一緒に4階の[ 部室 ]へ向かってくれませんか 」
円基先生
「 よし来た!
任せろ、名央先生!
会議どころでは無くなったな!
厳蒔君、問題の[ 部室 ]へ案内してくれるかい 」
厳蒔眞勇
「 分かりました。
案内します 」
オレは赤ジャージ先生もとい円基先生と一緒に[ 職員室 ]を出た後、緊急事態って事で廊下を走って移動した。
──*──*──*── 4階・廊下
[ 部室 ]─→[ 職員室 ]─→[ 部室 ]と行って戻って来たけど、途中の廊下や階段でキギナとは出くわさなかった。
キギナは何処で何してるんだか──。
円基先生を戸が開いていた[ 部室 ]の前へ案内した。
厳蒔眞勇
「 円基先生、この[ 部室 ]です 」
円基先生
「 この[ 部室 ]は【 地域ボランティア部 】の[ 部室 ]だ。
おかしいな。
今日は鍵が開いてる筈ないんだが── 」
厳蒔眞勇
「 そうなんですか? 」
円基先生
「 今日の【 地域ボランティア部 】の予定は、放課後は校外で花壇清掃のボランティア活動をする為、[ 部室 ]は使わない事になっているんだ。
顧問先生も生徒達と校外ボランティアへ出ているから、本来は此処の[ 部室 ]が開いている筈がないんだ 」
厳蒔眞勇
「 そ…そうなんだ……。
じゃあ、他の先生か生徒が【 地域ボランティア部 】の鍵を勝手に持ち出したとか── 」
円基先生
「 [ 職員室 ]に残っている先生に確認してもらおうか。
[ 職員室 ]に電話を掛けるから待っていてくれ 」
円基先生はスマホを取り出すと、[ 職員室 ]へ電話を掛け始めた。
【 地域ボランティア部 】の[ 部室 ]の戸が開いている事──、誰かが[ 部室 ]の鍵を勝手に持ち出していないか──、鍵を返し忘れている教師は居ないか──、校外でボランティア活動をしている顧問への連絡をして確認する事──、色んな事を伝えている。
今は[ 部室 ]の前に居て、これから[ 部室 ]の中へ入る事も伝えている。
円基先生
「 よし、入るか。
厳蒔君は此処で待っていても良いんだぞ 」
厳蒔眞勇
「 大丈夫です。
死体は見慣れてますから 」
円基先生
「 死体を見慣れている?
まぁ…良いが……。
腰を抜かさない様にな── 」
円基先生
「 ぅわぁ゛ぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!
ひぃやぁ゛ぁぁぁぁぁ~~~~!!!! 」
[ 部室 ]の中に入って女子生徒の死体を目にした途端、円基先生は情けない悲鳴を上げながら、一目散に走って[ 部室 ]から出て行ってしまった。
数分前の逞しい円基先生は何処へやらだ。
厳蒔眞勇
「 シュンシュンが居ないな。
黒い糸みたいなのが続いてるって事は、この女子生徒を襲った怪異の居場所が分かったのかも知れないな。
キギナも探さないといけないし──。
その前に現場の様子を撮っとくか 」
[ 部室 ]の戸に戻ったオレは、スマホを動画にしてから[ 部室 ]に入り直す。
女子生徒の死体の状態と周囲の様子を確り撮る。
勿論、写メも忘れずに撮った。
厳蒔眞勇
「 ふぅ…………カメラマンって大変だな。
上手く撮れてると良いんだけど……。
帰ったらマオキノとセノコンに頼んでみよっと。
それにしても天井にまで血痕が飛び散ってるなんてな──。
どんだけ強い力をした怪異なんだよ…… 」
女子生徒の首から上──頭は[ 部室 ]の何処にも見当たらない。
女子生徒を襲った怪異が喰べたのかな。
飛び散っている大量の血は、首から噛み千切った時に噴き出した血だろうか。
女子生徒の身体は、有り得ない力で捻られている。
右腕と右足は左回りで捻られていて、左腕と左足は右回りに捻られている。
強い腕力で捻られたのか、両腕,両足には痕らしきモノがくっきりと残っている。
完全に捻られているから、骨はボキボキに折れてしまっているんだろう。
怪異が両腕,両足を捻った時にも血は出ていたみたいだ。
人間の仕業ではこんな事は出来やしないから、十中八九──。
厳蒔眞勇
「 他の生徒から被害者が出ない内に怪異を何とかしないとだな。
怪異の事は陰陽師のシュンシュンに任せるとして──、オレはキギナを探すか 」
キギナが校内で迷子になるとは思えないんだよな……。
ホッチ先生も探さないといけないってのに──。
………………行方の分からないホッチ先生が女子生徒を襲った犯人じゃないよな??
[ 部室 ]を出たオレは、ホッチ先生とキギナを探す為に4階を再度見回ってから、階段を駆け下りて3階へ向かった。
◎ 訂正しました。
逞しい ─→ 逞しい