✒ 先生を探せ! 2
──*──*──*── 3階・階段
厳蒔惷囹
「 おい、こんな所に鏡なんて有ったか? 」
厳蒔キギナ
「 はぁ?
いよいよ呆けたの惷囹~~。
学校の階段なんだから、鏡くらい設置されてるに決まってるでしょ~~ 」
厳蒔惷囹
「 黙れよ、キギナ。
鏡の場所を言ってるんだ 」
厳蒔眞勇
「 どうだったかな?
覚えてないや 」
厳蒔惷囹
「 鏡も≪ 異界 ≫への通り道に使われるんだよな。
≪ 鏡面世界 ≫って言ってだな── 」
厳蒔キギナ
「 そんな話どうでも良いわ。
早く4階へ行きましょうよ 」
厳蒔惷囹
「 分かった分かった。
せっかちな奴め 」
厳蒔眞勇
「 “ 七不思議の怪 ” に階段の鏡って入ってたかな? 」
厳蒔惷囹
「 廊下の怪や階段の怪は有った筈だな。
鏡の怪は “ 七不思議の怪 ” に有ったり無かったりかもな 」
大きい鏡の前を通過して階段を上がり切る。
──*──*──*── 4階・廊下
厳蒔眞勇
「 ──廊下には誰も居なさそうだな 」
厳蒔惷囹
「 どの[ 部室 ]にも鍵が掛かってるだろうが、手分けをして探してみるか 」
厳蒔眞勇
「 そうだな 」
オレ達は[ 部室 ]の戸が閉まっているかを確認しながら、[ 部室 ]の中も覗いてみる事にした。
厳蒔眞勇
「 戸は閉まってるし、中にも居なさそうだな。
戸は中から鍵を掛けれない作りになってるから── 」
厳蒔キギナ
「 マオ──!
惷囹──此方に来て! 」
キギナの甲高い声が4階の廊下に響く。
厳蒔眞勇
「 どうしたんだ、キギナ 」
厳蒔惷囹
「 キンキン声で呼ぶなよな 」
厳蒔キギナ
「 [ 部室 ]の戸が開いてたのよ。
怪しいでしょ 」
厳蒔惷囹
「 顧問が閉め忘れただけじゃないのか? 」
厳蒔眞勇
「 いや、それは無いんじゃないか。
顧問が不在の場合は、部活動は中止になる決まりだし。
生徒が[ 部室 ]の鍵を借りれるのは、顧問が学校に来ていて、尚且つ放課後になってからだ。
然もだ、[ 部室 ]の鍵を借りれるのは部長若しくは部長が不在時の副部長だけ──。
取り敢えず、管理が徹底されいるのに[ 部室 ]が開いてるのは変だろ 」
厳蒔惷囹
「 先に式隸を入らせる。
待ってろ 」
シュンシュンは呼吸するみたいに陰陽術を使う。
廊下に陰陽陣が現れると式隸が出て来る。
式隸は無言で[ 部室 ]の中へ入って行った。
厳蒔惷囹
「 入っても大丈夫そうだな 」
厳蒔キギナ
「 信じて良いのかしらぁ? 」
厳蒔眞勇
「 大丈夫だよ。
ほら、式隸が手を振ってくれてるし 」
厳蒔惷囹
「 何かを見付けたみたいだな 」
厳蒔キギナ
「 何かしら? 」
厳蒔眞勇
「 入れば分かるよ 」
オレ達は順番に[ 部室 ]の中へ足を踏み入れた。
──*──*──*── 部室
厳蒔キギナ
「 っ──、これって…… 」
厳蒔惷囹
「 …………酷い事しやがる 」
厳蒔眞勇
「 …………人間の仕業じゃないよな 」
厳蒔惷囹
「 あぁ──。
こいつぁ、怪異の仕業で間違いない。
この校舎には間違い無く、怪異が居る── 」
厳蒔キギナ
「 この死体、どうすんのよ。
[ 職員室 ]に戻って残ってる教師に伝えるの?
警察に通報されて、4階への立ち入りが禁止になるんじゃない? 」
厳蒔眞勇
「 オレ達が此処で知らん顔したら、明日の放課後までこのまま放置になるかもな 」
厳蒔惷囹
「 式隸に喰わせるか?
死体の隠蔽は出来るぞ。
血痕は消せないがな 」
厳蒔キギナ
「 大量の血が残ってるのに死体だけが無かったら、怪奇現象になるわね~~ 」
厳蒔眞勇
「 第1発見者になっちゃうな……。
とは言え、放置は出来ない── 」
厳蒔惷囹
「 キギナ、お前が[ 職員室 ]へ戻って教師を連れて来い。
僕は死体を調べる。
怪異に襲われたなら痕跡を辿れる筈だ 」
厳蒔眞勇
「 キギナ、頼めるか? 」
厳蒔キギナ
「 分かったわ。
優しいキギナ様が、行ってあげるわよ 」
キギナは[ 部室 ]から出ると階段を目指して廊下を走って行った。
厳蒔眞勇
「 シュンシュン、陰陽術で分かるのか? 」
厳蒔惷囹
「 任せろよ。
陰陽師にとって呪術は友達だからな! 」
厳蒔眞勇
「 それって『 ボ◯ルは友達 』なんじゃ── 」
厳蒔惷囹
「 一々チャチャを入れるなよ。
フフン!
僕の闇呪術から逃げられると思うなよ!
見付けたら式隸に下してコキ使ってやる! 」
厳蒔眞勇
「 未だ増やすんだな…… 」
シュンシュンは闇呪術を使う。
黒い “ 何か ” が死体に絡み付くと細い糸みたいになって勝手に動き始めた。
厳蒔眞勇
「 それにしてもさ、キギナ遅いな。
何時になったら教師を連れて来るんだ? 」
厳蒔惷囹
「 校長の銅像の頭を壊した奴だぞ。
信じてもらえてないんじゃないかぁ~~ 」
厳蒔眞勇
「 キギナに任せたの間違いだったかな。
オレが行けば良かったんじゃ…… 」
厳蒔惷囹
「 キギナと一緒に[ 部室 ]で待つなんて、僕は御免だぞ。
キギナに行かせて良かったんだ 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュンとキギナを一緒にしたら喧嘩しそうだもんな 」
30分経ってもキギナは戻って来ない。
[ 職員室 ]へ行くのに迷う要素なんて無いしなぁ。
これは様子を見に行った方が良いかもな。
厳蒔眞勇
「 シュンシュン、オレも[ 職員室 ]へ行って来るよ。
死体と怪異の事は任せても良いかな? 」
厳蒔惷囹
「 あぁ、何処に隠れてるか突き止めといてやるよ。
行って来い 」
厳蒔眞勇
「 有り難な、シュンシュン。
助かるよ 」
1人で[ 部室 ]を出たオレは、近くの階段を駆け下りて1階へ向かった。