✒ 先生を探せ! 1
──*──*──*── 1階・廊下
厳蒔惷囹
「 いやぁ~~。
まさかキギナがハゲテル校長に謝罪するとはねぇ。
動画に撮ってれば良かったな~~。
パパンに見せれたのに実に残念な事をしたよ 」
厳蒔キギナ
「 アンタさぁ、何様ぁ?
陰陽師風情が死神の私に喧嘩、売ってんの? 」
厳蒔惷囹
「 だったら何だよ。
死神風情が、異形になった僕に勝てるとでも思うのかよ 」
厳蒔キギナ
「 フン!
本来の能力を封じられてるくせに大口叩いてんじゃないわぁ 」
厳蒔眞勇
「 はぁ~~…………2人共、喧嘩しない!
キギナが壊した銅像の件はセロに報告した後で相談するから、そのつもりでいるんだぞ 」
厳蒔キギナ
「 どうしてもセロフィートにチクらないと駄目なの? 」
厳蒔眞勇
「 駄目に決まってるだろ。
銅像を元通りに出来るのはセロしか居ないんだからな。
それより──、『 “ 七不思議の怪 ” について調べてた 』って言ってたよな。
パシリになりそうな男子生徒を探してたんじゃないのか? 」
厳蒔キギナ
「 パシリ探しは序でよ、序でぇ。
私だってちゃんとマオの役に立ちたくて、内緒で頑張ってたのぉ~~ 」
厳蒔惷囹
「 ハン──どうだかな。
魂を狩れそうな学生に唾でも付けてたんじゃないのかよ 」
厳蒔キギナ
「 はぁ~~ん?
馬鹿なの惷囹?
学校で魂を回収する訳ないでしょ!
でも──、面白い生徒なら何人か見付けたわよぉ~~ 」
厳蒔眞勇
「 面白い生徒? 」
厳蒔キギナ
「 そっ!
私の手柄だからね★ 」
厳蒔惷囹
「 本当かよ?
パチこいてんじゃないだろうなぁ~~ 」
厳蒔キギナ
「 はぁぁぁぁん?
パチじゃないわよ!
死神の眼力を舐めんじゃないわ。
死神の眼球は特殊なの。
眼力を通して私に見えるモノは、アンタ達には見る事が出来ないモノなのよ。
私を敬いなっさぁ~~い! 」
厳蒔眞勇
「 キギナの目には何が見えてたんだ? 」
厳蒔キギナ
「 フフン!
蝶よ 」
厳蒔惷囹
「 はぁ?
蝶だってぇ?
蝶が飛ぶ時期は過ぎてるだろ。
頭、大丈夫かよ 」
厳蒔キギナ
「 馬鹿なのは、アンタだから!
昆虫の蝶じゃないわ。
私の目には “ 蝶に見えてるだけ ” よ。
他の死神の目には違うモノに見えてるかもね── 」
厳蒔眞勇
「 死神しか見えない蝶か──。
“ 七不思議の怪 ” に関係あるのかな? 」
厳蒔キギナ
「 そんなの知らないわ。
私に見えてる蝶は、碧のよね。
生徒に群がってる蝶も居れば、数匹しか止まってない蝶も居るの。
生徒の近くを飛んでる蝶も居るし── 」
厳蒔惷囹
「 キギナにしか見えない蝶か。
不便だよな。
セロフィートに頼んで、僕達にも見える様にしてもらえないのか? 」
厳蒔眞勇
「 それもセロに相談してみるよ。
ところでホッチ先生、[ 職員室 ]に来なかったよな。
どうしたんだろう? 」
厳蒔キギナ
「 ホッチ先生って誰よ? 」
厳蒔眞勇
「 【 奇蹟調査検証部 】の顧問先生だよ。
遲野細倫先生って言って── 」
厳蒔キギナ
「 あぁ──、影の中に何か住み着いてる教師ね 」
厳蒔眞勇
「 ん?
今なんて?
影の中に住み着いてる?? 」
厳蒔キギナ
「 あれ?
アンタ達には見えなかったの?
マジでぇ?
死神にしか見えないのかしらね? 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュンには見えてたか? 」
厳蒔惷囹
「 一々影なんか見ないからな。
だが──影ってのは≪ 異界 ≫への通り道としては最適では有るな。
だも、ホッチは間違い無く人間だぞ。
異形の類いでも無ければ、怪異の類いでも無いのは確かだ。
法力を感じないからな、術師ですら無いぞ 」
厳蒔眞勇
「 なのに影の中に何かが潜んでいる……。
よし、ホッチ先生に会って確認してみよう 」
厳蒔惷囹
「 でぇ、肝心のホッチは何処に居るんだ? 」
厳蒔眞勇
「 そうだよな……。
取り敢えず、4階の[ 部室 ]へ行ってみよう。
最後に見たのは[ 部室 ]に鍵を掛ける為に部員に帰宅を促してたんだし 」
厳蒔惷囹
「 一応、校内に式を飛ばしとくか。
見付けたら合図が来るから転移すれば良いしな 」
厳蒔キギナ
「 出来るなら朝からやっときなさいよ 」
厳蒔惷囹
「 あのなぁ、式に使う依り代を誰が人形に切ってると思ってんだ。
時間と紙代が掛かるんだぞ!
式隸を使った方が安上がりなんだよ 」
厳蒔キギナ
「 はぁ~~?
稼いでるくせに、ケッチぃわねぇ 」
厳蒔惷囹
「 唯人形に切れば良いってもんじゃないんだ。
人の苦労も知らない甘ちゃんが、偉そうに言うんじゃない 」
厳蒔キギナ
「 苦労ぐらいしてますぅ~~ 」
厳蒔眞勇
「 ………………言い合いは “ 禁止 ” って言ったよな? 」
厳蒔キギナ
「 い…言い合いなんてしてないわぁ 」
厳蒔惷囹
「 きょ…兄妹のスキンシップじゃないかよ。
勘違いするなって、な? 」
全くもぅ……。
シュンシュンとキギナは反発し合う磁石みたいだな。
先が思いやられるぅ~~。
取り敢えず、オレ達は階段を上がって4階に在る[ 部室 ]へ向かった。