✒ 呼び出し
──*──*──*── 廊下
一体全体何の用で呼ばれたのか分からないけど、嫌な予感しかしない。
未だ日は暮れて無いけど、少しでも早く《 裏野ハイツ 》へ帰って、セロに会いたいってのに──。
厳蒔眞勇
「 [ 職員室 ]かぁ……。
オレ達、何かしたのかな? 」
厳蒔惷囹
「 呼び出し食らう様な事なんてしてないに決まってるだろ。
クラスメイトからハブられてるだけで、今日は至って普通に学生生活を送ってたじゃないかよ 」
厳蒔眞勇
「 そ…そうだよな!
その通りだよ。
シュンシュンとオレは呼び出し食らう事なんて何もしてない筈だ! 」
とうとう[ 職員室 ]の前に着いてしまった。
戸を開けるのに躊躇していたオレの代わりにシュンシュンが戸を開けてくれた。
厳蒔惷囹
「 失礼しまぁ~~す 」
厳蒔眞勇
「 し…失礼しますっ 」
やや緊張気味なオレとは違って、シュンシュンは微塵も緊張してないみたいだ。
──*──*──*── 職員室
厳蒔惷囹
「 さてと──、何処でホッチ先生を待ってりゃ良いんだ? 」
厳蒔眞勇
「 誰か居るな 」
???
「 来たか──。
君達は厳蒔キギナ君の兄だね 」
厳蒔惷囹
「 そうだが?
随分と偉そうな態度だな。
お前は誰だよ 」
厳蒔眞勇
「 こら、シュンシュン!
この人は校長先生だぞ!
失礼な言葉遣いは厳禁だからな 」
厳蒔惷囹
「 ………………。
{ この禿げちゃびんがか }」
厳蒔眞勇
「{ シュンシュン──。
幾ら事実でも “ 禿げちゃびん ” なんて声に出して言ったら駄目だぞ }」
厳蒔惷囹
「{ 分かってるって!
僕だって其処まで馬鹿じゃな── }」
???
「 いい加減に解放しなさいよぉ!
この禿げちゃびんっ!!
頭が禿げてると心も狭いのね! 」
厳蒔眞勇
「 キ…キギナ?!
何でキギナが[ 職員室 ]に居るんだよ? 」
厳蒔キギナ
「 マオ?
惷囹も──。
何で[ 職員室 ]に居るのよ?
ハッハァ~~~ン。
さては、アンタ達も揃って、やらかした口なのねぇ~~ 」
厳蒔惷囹
「 お前と一緒にするな 」
厳蒔眞勇
「 キギナは何で[ 職員室 ]に居るんだよ? 」
厳蒔キギナ
「 え?
あぁ~~~~とね?
[ 校庭 ]に校長の銅像が建ってるじゃない? 」
厳蒔眞勇
「 在ったかな?
御免な、記憶に無いや… 」
厳蒔惷囹
「 目に入る場所に設置されてるぞ。
邪魔なんだよな、場所が悪いんだ 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュン、校長先生の前で言うのは── 」
校長先生
「 コホン!
厳蒔キギナ君がね、校長の像に付いていた首を破壊してくれてだね── 」
厳蒔眞勇
「 えぇっ?!
校長先生の像の首を壊したぁ!?
キギナ、何してんだよぉ 」
厳蒔惷囹
「 やらかしたな、キギナ。
何か問題を起こすと思っていたが、まさか転校初日にやらかすとはなぁ~~。
こりゃ、保護者の呼び出し確定だな 」
厳蒔キギナ
「 え゛っ?!
保護者ってパパンじゃないわよねぇ! 」
厳蒔惷囹
「 セロフィートに決まってるだろ。
あぁ~~あ!
セロフィートの雷が落ちるなぁ~~ 」
厳蒔眞勇
「 ………………キギナが壊した首を元に戻せば、問題は解決するんじゃないか? 」
厳蒔惷囹
「 それな!
元通りにすれば、証拠隠滅が出来る訳だ 」
厳蒔眞勇
「 でも、その前にキギナには、する事が有るだろ 」
厳蒔キギナ
「 する事ぉ?
それって何よ?
像を直せるなら早く直してほしいんだけどぉ 」
厳蒔眞勇
「 キギナ!
先ずは校長先生に “ ごめんなさい ” だろ!
ちゃんと謝ったのか? 」
厳蒔キギナ
「 マオ、話を聞いて!
違うのよぉ~~。
故意に壊したんじゃないのぉ!
態とじゃないのよ!
私も被害者なの!
信じてぇ~~ 」
厳蒔眞勇
「 どんな事情が有っても、壊したのは事実なんだろ。
だったら “ ごめんなさい ” しないとだろ。
ちゃんと謝罪する! 」
厳蒔キギナ
「 私は悪くないのぉ!!
私が謝る必要なんて無いのよ 」
厳蒔惷囹
「 超絶質の悪い問題児だな、キギナぁ。
さっさと三つ指ついて謝れよ、キギナぁ~~ 」
自分を正当化して、校長先生への謝罪を拒否るキギナに対して、シュンシュンが煽る煽る。
[ 職員室 ]の中は険悪なムードに包まれていた。
厳蒔眞勇
「 こら、シュンシュン!
キギナを煽るんじゃない!
キギナ、オレも一緒に校長先生に謝罪するから、ちゃんと “ ごめんなさい ” するぞ 」
厳蒔キギナ
「 い…嫌よ……。
私はねぇ、“ 七不思議の怪 ” について調べてたのよぉ!
銅像が壊れちゃったのは不可抗力なの!
私も被害者だからっ、謝る必要なんて無いでしょ? 」
厳蒔眞勇
「 キギナ、無理矢理三つ指つかせて、謝らせても良いんだぞ 」
厳蒔キギナ
「 ──校長先生、銅像の頭を壊しちゃって、御免なさぁ~~い! 」
オレが声色を変えた途端にキギナは校長先生に向かって素直に謝ってくれた。
初めから素直に謝ってくれたら良かったのにな、全く……。
オレもキギナの兄として、校長先生に頭を下げて謝った。
キギナには後で詳しい事情を聞かないとな。
因みにシュンシュンはと言うと、不本意な謝罪をして不貞腐れているキギナをニヤニヤしながら見ていた。