✒ 奇蹟調査検証部
──*──*──*── 部室
ガラッ──と音を立てて、[ 部室 ]の中に入る。
室内の中には【 奇蹟調査検証部 】の部員達が、コの字に並べている机を前にして何かをしている。
厳蒔惷囹
「 何だよ、普通の生徒の集まりだな。
怪しい仮面で顔を隠して黒いローブでも着てるのかと思ってたんだが…… 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュン……変なドラマや映画の見過ぎじゃないか? 」
厳蒔惷囹
「 そんな訳ないだろ 」
厳蒔眞勇
「 あの、入部したくて来たんですけど──。
遲野先生から聞いてませんか?
赤ジャージ先生が遲野先生に『 伝えとく 』って言われたんですけど…… 」
部員
「 あぁ──、入部希望の生徒だね。
あれぇ、2人……だったかな? 」
厳蒔眞勇
「 3人です。
オレ達、三つ子なんです。
妹は都合が悪くて── 」
部員
「 了解。
入部者は3名だね。
入部届けを渡すから書いてくれるかな 」
厳蒔眞勇
「 分かりました 」
部員の生徒に入部届けとペンを受け取ったシュンシュンとオレは、空欄に名前を記入した。
キギナの入部届けはオレが記入した。
部員
「 どうも。
じゃあ、ホッチが来たら渡しとくよ。
先ずは自己紹介しようか 」
厳蒔眞勇
「 ホッチ?
遲野先生の事? 」
部員
「 そうだよ。
細倫だから “ ホッチ ” ね。
皆そう呼んでるから、君達も “ ホッチ ” って呼べば良いよ。
【 奇蹟調査検証部 】のルールだからね。
──皆、注目ぅ~~!
今日から我等の【 奇蹟調査検証部 】に入部してくれた2名の勇者だ!
簡単な自己紹介を始めるぞ 」
部員が呼び掛けると他の部員達が一斉にシュンシュンとオレへ視線を向けて来る。
見た目は至って普通の生徒達なのに、何で避けられているのか分からない。
外見は普通に見えても中身がガチマジにヤバいとか??
部員達の自己紹介が終わって、シュンシュンとオレの自己紹介が終わった頃に、顧問の遲野細倫先生──ホッチが[ 部室 ]に入って来た。
部員達のリーダー的存在でもある部長の彬沢臣汰は、ホッチ先生にシュンシュンとオレが記入した入部届けを手渡す。
遲野細倫
「 君達が円基先生の言っていた生徒だね。
入部してくれて有り難う。
他の部から敬遠されている部活動だけど、君達は大丈夫なのかな? 」
厳蒔惷囹
「 何の問題も無いな!
敬遠される理由は知らないが、どうでもいい 」
厳蒔眞勇
「 ははは……。
【 オカ研 】が先々月に廃部したって聞いて、【 奇蹟調査検証部 】に入部する事にしたんです。
それがクラスに知れ渡っちゃって──、転校初日にクラスメイトからハブられちゃいました…… 」
厳蒔惷囹
「 別に困らないだろ。
所詮はガキじゃないか。
成長途中の未熟なガキ共にハブられたって痛くも痒くもないだろ 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュンに友達は出来るのかな…… 」
厳蒔惷囹
「 友達だぁ?
僕にとっての友達は、専属のATMになってくれる僕だけの下僕さ! 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュン…… 」
厳蒔惷囹
「 こら、残念な子を見る様な目をするな! 」
遲野細倫
「 2人は入部しても大丈夫そうだね。
【 オカ研 】とはね、何故か相容れない関係だったんだ。
3年生が卒業してからも暫くは活動していたんだけど……、最低でも部員が5名揃わないと[ 部室 ]は没収されて、廃部が確定する事が決定事項でね……。
新入生が入学して来ると部活への勧誘が始まるんだけど、【 オカ研 】に新入部員は集まらないまま廃部になってしまったんだ。
有り難い事に【 奇蹟調査検証部 】は新入部員が多くて、廃部となった【 オカ研 】の[ 部室 ]をそのまま使わせてもらっているんだよ。
【 奇蹟調査検証部 】は男子部と女子部に分かれて活動しているんだ。
男子と女子とでは興味を持つスピリチュアルの種類が異なるからね。
スピリチュアルって種類が多くてね、顧問にはなってるけど、僕にも分からない事だらけだよ。
因みに男子部が使っている[ 部室 ]が【 オカ研 】が使っていた[ 部室 ]だよ。
【 オカ研 】関連の資料や書籍はそのまま残してあるからね、自由に見て良いし、借りて帰っても良いからね。
持ち帰る時は、本の裏に挟んでいる図書カードを記入して、カードBOXに入れるのがルールだから、確り守る様に。
下校のチャイムが鳴ったら[ 部室 ]の鍵を掛けるから、速やかに帰宅するのもルールだよ。
分からない事が有れば、部長と副部長に聞けば良いからね 」
厳蒔眞勇
「 有り難う御座います、ホッチ先生(////)」
遲野細倫
「 ははは。
部活動の時は、唯の “ ホッチ ” で良いよ。
部活動以外では “ 先生 ” を付けて呼んでくれるかな。
校長先生,教頭先生,生徒指導の先生がね、怒ると怖いんだ。
[ 部室 ]の鍵を掛けるのは顧問の僕がするからね 」
厳蒔惷囹
「 マオ、【 オカ研 】の資料が残してあるなんて、ラッキーだな。
早速、オカルト関連の資料を見させてもらおう。
“ 七不思議の怪 ” について書かれている資料を探そう 」
マオ
「 そうだな 」
シュンシュンとオレは、オカルトに関する資料や書籍を調べる事にした。
【 奇蹟調査検証部 】に入部したのに、おかと違いな事をしてる感が半端無いよな。
下校時間を告げるチャイムが鳴り始めた。
スマホで動画配信を楽しんでいたホッチ先生が、椅子から腰を浮かせて立ち上がる。
顧問なのにスマホで動画を見て笑ってて良いのかな??
「 [ 部室 ]を閉めるぞ。忘れ物は無いか確認してから撤収~~ 」って、男子部に呼び掛けたホッチ先生は、男子部の[ 部室 ]の戸を開けると[ 廊下 ]へ出て行った。
右隣に女子部の[ 部室 ]が在るから、帰宅する様に言いに向かったんだろう。
厳蒔眞勇
「 シュンシュン、オレ達も[ 部室 ]を出よう 」
厳蒔惷囹
「 そうだな。
参考になる様な事は書かれて無かったな。
資料を読んだ限りじゃ、【 オカ研 】が廃部になっても仕方無いって思えたよ。
使えない資料ばっかりだ 」
厳蒔眞勇
「 高校生の作った資料だからな。
書籍は学校とは無関連のばっかりだったし──。
前途多難かな 」
厳蒔惷囹
「 頼りは式隷だけか 」
シュンシュンとオレは後片付けを済ませてから[ 部室 ]を出た。
右隣に在る女子部の[ 部室 ]からも女子生徒が次々に[ 廊下 ]へ出ている。
女子生徒の人数は、明らかに男子生徒よりも多いじゃんか。
厳蒔惷囹
「 ホッチ、じゃあな 」
厳蒔眞勇
「 ホッチ、さよなら 」
遲野細倫
「 あっ待って!
2人共、[ 職員室 ]で待っててくれないかな。
[ 部室 ]鍵を掛けたら、僕も[ 職員室 ]へ戻るから 」
厳蒔眞勇
「 分かりました 」
厳蒔惷囹
「 あんまり待たせるなよ 」
何でか分からないけど、シュンシュンとオレは1階の[ 職員室 ]へ移動する事にした。