⭕ 登校日 3
──*──*──*── 正面玄関
シュンシュンの言う通り、暫く待っていると通常の廊下に戻り、下駄箱の在る[ 正面玄関 ]に着く事が出来た。
下駄箱から靴を出して、脱いだ上履きを下駄箱の中へ入れる。
靴に履き替えたら[ 正面玄関 ]を出て、悲鳴が聞こえた場所へ走った。
──*──*──*── 倉庫の壁
[ 校庭 ]から見える[ 運動場 ]で使う道具を入れる[ 倉庫 ]の壁に生徒の姿が有った。
確かに生徒の身体が壁に溶け込んで見える。
生徒は6名も居て、制服の生徒も居れば体操服を着ている生徒も居た。
何がどうして6名もの生徒達がこうなっているのか皆目見当も付かない。
ただ言える事は、人間の仕業ではないって事だけは確かだ。
これも怪異が関係してるんだろうけど……。
厳蒔キギナ
「 手遅れだったわね。
まぁ、こんな状態の人間を助けるなんて無理でしょうけどね 」
厳蒔眞勇
「 これで犠牲者は53人か── 」
厳蒔惷囹
「 おぃおぃ、クズ教師は違うだろ。
彼奴は生きてるんだからな。
怪異の被害者は52人だ 」
厳蒔キギナ
「 全校生徒って何名だっけ? 」
厳蒔惷囹
「 知らないねぇ。
800そこそこは居るんじゃないか?
然し、見事な迄の溶け込み具合だな。
下半身がどうなってるか[ 倉庫 ]の中からも見てみよう 」
厳蒔眞勇
「 中からって鍵が掛かってるだろ。
勝手に開けたらヤバいんじゃないか?
オレ達の姿は見えてない訳だし 」
厳蒔キギナ
「 良いじゃないの。
立ち入りが出来ない様になってた[ 屋上 ]で【 集団首吊り事件 】が起きた後なのよ。
鍵が掛かってた[ 倉庫 ]の扉が勝手に開いたのも立派な “ 怪奇現象 ” よ★
中に入って確かめたら直ぐに出れば良いのよ 」
厳蒔眞勇
「 ………………。
じゃあ、サクッと終わらせよう。
騒ぎにならない様に鍵を閉め忘れない様に! 」
[ 倉庫 ]の鍵はシュンシュンが陰陽術を使い、秒で解除してしまう。
[ 倉庫 ]の中から壁を見たけど、足は見えない。
外に出ている上半身,[ 倉庫 ]の壁,[ 倉庫 ]の中に下半身──って感じになってる筈なんだけど、何処を見ても下半身が無い。
シュンシュンは現場の状態を動画に撮っている。
厳蒔キギナ
「 ねぇ、下半身は本当に壁に溶け込んじゃって、同化してるんじゃないの?
仮に壁を壊して救出しても上半身だけになっちゃうわよ 」
厳蒔惷囹
「 いや、違うな。
下半身は校舎の何処かに出ている筈だ。
式隸達に探させている。
直に見付かる 」
厳蒔眞勇
「 あっ、廊下で式隸に指示を出してた!
下半身を探す様に言ってたんだな 」
厳蒔惷囹
「 必要な動画は撮ったから出るか。
教師が来る前に通報しといてやろう 」
厳蒔キギナ
「 惷囹やさしぃ~~ 」
厳蒔惷囹
「 序でに[ 中庭 ]にも招待してやるのさ。
向こうから嫌でも来させてやらないとな! 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュン…… 」
そんな訳で、シュンシュンは自分のスマホを使って警察署へ電話を掛けた。
陰陽術で声色を変えて話している。
陰陽術で声色まで変えれるとか吃驚だ。
[ 中庭 ]の中心に植えられていた記念樹と[ 校庭 ]の隅に置かれていた祠が入れ替わっている事──。
[ 中庭 ]が荒らされとおり、深い穴が掘られている事──。
そして6名の生徒が壁と一体化した状態で奇妙な死に方をしている事──。
通報が有った以上、警察は真意を確かめる為に嫌でも[ 学校 ]へ来て、捜査しないといけない。
シュンシュンは唯でさえ多忙な警察に鞭を打った訳だ。
厳蒔惷囹
「 よし、通報はした。
これで警察が来るぞ。
警察が到着する前に教師達が埋めてしまった穴を掘り起こせ!
[ 中庭 ]の芝生も荒らすんだ! 」
シュンシュンは新たに召喚した式隸達に命令を出す。
ジャージに着替えて、汗だくになりながら教師達が埋めた穴を掘り起こさせるとか鬼畜ぅ~~。
教師達の努力が水の泡だ。
頑張って埋めた深い穴が掘り返されて、芝生迄めちゃくちゃにされてる状態を式隸が見えない教師達が目撃したら、まさに怪奇現象だ。
立ち入り禁止の[ 屋上 ]に立ち入れる様にした犯人が、実は「 シュンシュンに指示された式隸達なんじゃないか 」って思えて来た。
言わないけどな。
厳蒔惷囹
「 これで警察は[ 中庭 ]の捜索もするだろう。
黒いゴミ袋も1つ置いといてやるか。
黒塗りの入れ物に入っていた死蝋の首も黒いゴミ袋に入っていた手首も男性モノだった 」
厳蒔眞勇
「 陰部も有ったしな 」
厳蒔惷囹
「 より呪術の儀式らしく見せるには──、胎児を加えれば良い。
こんな事も有ろうかと死蝋にした胎児を用意しておいたんだ。
コイツを黒いゴミ袋に入れて、7つ目の穴の中にポイしとく 」
厳蒔キギナ
「 穴を1つ増やすって事ね?
悪どい事するわねぇ~ 」
厳蒔惷囹
「 これは必要な処置だぞ。
此処迄しないと警察は重い腰を上げないからな。
“ 悪どい ” じゃなくて “ 善意 ” なのさ! 」
厳蒔眞勇
「 普通は犯罪だけどな~~。
警察が介入しても怪奇事件は解決しないぞ。
逆に余計な被害者が増えるだけだと思うけどな 」
厳蒔惷囹
「 そん事は良いんだ。
良いか、警察って組織は “ 名誉の殉職 ” とは切っても切れない職業だ。
“ 殉職する覚悟 ” の無い腰抜けの青二才は警察に向いてない。
公務員の給料は市民が徴収される税金から出ている。
市民を最優先にするのも、市民の安心,安全な生活を送れる様に努るのも公務員の義務だ。
市民が稼いだなけなしの給料から支払われる税金が有ってこその公務員の給料だ!
公務員は謂わば、市民の奴隷って事だ!
殉職結構!
市民の安心,安全な日常生活を守る為に、大いに殉職してもらおうじゃないか。
儚く尊い犠牲なくして、平和,平穏は保てないのが人間の社会なのさ! 」
厳蒔キギナ
「 殉職なんてそうそう無いと思うけど、犯罪発生率が≪ 日本国 ≫で断トツって言われる米●町では有り得る話よね。
“ 市民の奴隷 ” は言い過ぎだと思うけどねぇ~~ 」
厳蒔眞勇
「 銃殺されても文句は言えないかもな 」
厳蒔惷囹
「 良い子ちゃんぶって僕だけを悪者にするんじゃない! 」
厳蒔キギナ
「 それは兎も角、生徒達の下半身は見付かったの?
校舎の何処に出てるのかしらね? 」
厳蒔惷囹
「 式隸の分際でサボってるのか? 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュン、式隸達は頑張ってくれてるよ。
オレは “ サボる ” なんてしてないと思うな 」
シュンシュンの態度や扱いが悪いから、手を抜いてる可能性の否定は出来ないけど……。
厳蒔眞勇
「 どうせなら、式隸達に御褒美を与えてみたらどうかな?
喜ぶと思うし、士気も高まると思うんだけど── 」
厳蒔惷囹
「 式隸は甘やかせっか?
味を占めて付け上がられても面倒なんだよ。
消耗品の駒に御褒美なんて与える必要は無いねぇ 」
厳蒔眞勇
「 シュンシュン…… 」
厳蒔惷囹
「 僕等は警察が捜査を始めるのを見届けたら帰宅するぞ。
キギナ、父親と兄姉に影の事を聞いとけよ 」
厳蒔キギナ
「 分かったわよ…… 」
そんな訳でオレ達は、警察が[ 学校 ]に来て、捜査を始めるのを見届けてから帰宅する事になった。
暫くすると、パトカーがサイレンを鳴らしながら[ 校庭 ]へ入って来た。
停車したパトカーから警察官が出て来る。
校舎から教師達が「 何事か!? 」と飛び出して来た。
先頭を切って出て来たのはハゲテル校長先生と教頭先生だ。
ハゲテル校長先生と教頭先生は、後から外に出て来た教師達に向かって「 誰が勝手に警察に通報したんだ! 」と責め立てながら問い詰め始めた。
教師達は互いの顔を見合わせながら通報の件に関しては否定している。
警察官は「 通報された方の声は女性でしたが…… 」と言うと、女性教師達へ視線が集まる。
戸惑いながらも女性教師達は、警察に通報した件に対して否定している。
通報したのは変声したシュンシュンだから、女性教師達に心当たりが無いのは当然だ。
疑われている女性教師達を見ていて申し訳ない気持ちになって来ちゃったな。
何とかして、ハゲテル校長先生と教頭先生の犯人探しを止めさせれないかな……。
内心オロオロしながら教師達の様子を見ていると[ 中庭 ]から「 パンッ 」と言う音が鳴った。
警察官と教師達と一斉に[ 中庭 ]の在る方へ視線を向けた。
「 何の音だ? 」とか「 何かが破裂した音がしたぞ 」とか教師達は各々に声を発している。
再度、[ 中庭 ]の在る方から「 パンッ 」「 パンッ 」と連続で音が鳴る。
まるで発砲音を連想させる様な音だ。
教師達より先に警察官が動く。
[ 中庭 ]の方へ走り出した。
警察官に続いて教師達も走り出す。
厳蒔眞勇
「 シュンシュン、今の発砲音って── 」
厳蒔惷囹
「 あぁ、あれか?
全然[ 中庭 ]に行こうとしないから、式隸を3体破裂させたんだ 」
厳蒔眞勇
「 えっ……。
式隸を破裂って──、殺したって事か? 」
厳蒔惷囹
「 式隸だぞ。
破裂させたぐらいで死ぬかよ。
奪った真名は健在だからな。
何時でも呼び出せるぞ 」
厳蒔眞勇
「 ………………そ…そうなんだ……良かった(////)」
厳蒔惷囹
「 式隸を破裂させただけで大袈裟だな 」
厳蒔眞勇
「 普通は死んじゃったかと思うだろ!
手荒な真似しないでくれよ… 」
厳蒔惷囹
「 そんなの僕の勝手だろ。
ほら、僕等も[ 中庭 ]に行くぞ。
──キギナ、何してるんだ。
やけに静かだと思ったら黙って── 」
厳蒔キギナ
「 彼奴が居たのよ──。
影の中に入っちゃったけどね…… 」
厳蒔眞勇
「 キギナ、彼奴って? 」
厳蒔キギナ
「 惷囹が言ってた “ 特異体質の怪異 ” の事よっ!
彼奴影の中を移動してるんだわ……。
ホッチ先生の影に潜んでた奴かも知れないわ 」
厳蒔眞勇
「 じゃあ、ホッチ先生を[ 中庭 ]に落下死させた犯人── 」
厳蒔惷囹
「 おい、[ 中庭 ]へ行くぞ 」
厳蒔眞勇
「 そうだな…。
キギナ、兎に角[ 中庭 ]へ行こう 」
厳蒔キギナ
「 そうね 」
シュンシュン,キギナ,オレの3人は[ 中庭 ]へ移動した。




