⭕ 七不思議の怪 6
シュンシュンは式隸達に黒いゴミ袋を割り当てる。
仮に “ 何か ” が起きたとしても犠牲になるのは式隸達だ。
ふ…不憫過ぎる……。
霄囹
「 よし──。
先ずは、お前からだ。
開けてみろ 」
シュンシュンに命令された式隸は、おずおずとしながら黒いゴミ袋を開ける。
黒いゴミ袋を開けた式隸は中身をシュンシュンに見せる。
マオ
「 何が入ってるんだ? 」
キギナ
「 バラバラにされた人間の身体だったりしてぇ~~ 」
マオ
「 キギナ、冗談でも言うなよ…… 」
霄囹
「 残念だったな、キギナ。
死体の部位じゃないぞ 」
キギナ
「 そうなの?
此処迄したらバラバラ死体の部位が御約束じゃない。
期待外れね 」
マオ
「 ………………これって、動物に似せて作ったヌイグルミかな? 」
黒いゴミ袋の中に入っていたのは、小型犬,猫,鶏,兎,モルモットだった。
マオ
「 何の為にヌイグルミなんかを作って、ゴミ袋に入れて[ 中庭 ]に埋めたりしたんだろう?
手の込んだ事をする奴も居たもんだな 」
キギナ
「 これってヌイグルミなのぉ?
どんな素材を使ったら、本物に見間違えるヌイグルミを作れるのよ? 」
霄囹
「 良く見ろよ。
これはヌイグルミじゃなくて、剥製だ。
絞めた動物を剥製にしたんだ 」
キギナ
「 普通は殺した動物をゴミ袋に入れて埋めるもんじゃないの?
ご丁寧に態々剥製にして埋めるって…………イカれた思考回路してんじゃないのぉ? 」
マオ
「 趣味で剥製を作れるなんて凄いよな。
もしかしたら、専門の剥製師(?)に依頼したかも知れないけどさ 」
霄囹
「 剥製の動物は器── “ 入れ物 ” として使われてるみたいだな 」
マオ
「 どういう事だよ? 」
霄囹
「 これ等は呪物の一種って事さ 」
マオ
「 呪物ぅ?! 」
キギナ
「 きっしょキモぉ~~。
じゃあ、その中には別の “ 何か ” が入ってる……って事なの? 」
霄囹
「 そういう事だな。
腹を開ける前に動画に撮っとくぞ 」
シュンシュンは式隸達に命令して、黒いゴミ袋の中から剥製を出させる。
式隸達に剥製を動かさせて、シュンシュンは角度を変えて動画を撮った。
霄囹
「 こんなもんか──。
動画はキノコンにプリントしてもらうとして──、剥製の腹を切って開けろ! 」
シュンシュンに命令された式隸達は、言う通りに動物の剥製の腹を開ける。
剥製の腹の中から出て来たのは────。
霄囹
「 次は黒塗りされたコレだな 」
マオ
「 これだけ黒いゴミ袋じゃないよな。
何か理由が有るんだよな? 」
霄囹
「 5つの黒いゴミ袋に入っていた呪物は、コイツの呪力を強化させる役割と維持させる役割を担う為に作られた物だ。
コイツが呪物の本命だな 」
キギナ
「 勿体振らなくて良いから早く開けちゃいましょうよ 」
マオ
「 キギナ……さっきからテンションが無駄に高いよな…… 」
霄囹
「 死神族なんて存在自体がオカルトだからな 」
マオ
「 ははは…… 」
霄囹
「 黒塗りの箱を開けろ 」
シュンシュンに命令された式隸は以下略──。
黒塗りされた入れ物の中に入っている物を式隸が取り出してくれる。
マオ
「 これって…………生首の人形かな? 」
キギナ
「 違うわよ。
剥製にした生首でしょ 」
霄囹
「 どっちも違うな。
これは死蝋化された生首だ 」
マオ
「 しろう化された生首??
しろうって?? 」
キギナ
「 こんな時こそ、スマホの出番よ!
検索先生に教えてもらいましょ。
しろう……とは──。
出て来たわよ 」
マオ
「 へぇ~~。
死蝋って漢字なんだな 」
キギナ
「 剥製の中に入ってた両手と両足と●●●はコイツのかしらね? 」
マオ
「 …………両手足と陰部も綺麗だし、死蝋にされた物を使った……って事か? 」
霄囹
「 DNA鑑定すれば判明するだろ。
よし、これ等を《 学校 》の捜査をしてくれてる警察にプレゼントしてやろう 」
キギナ
「 優しいじゃないのよ、霄囹。
此処に放置──残して行くのかと思ったわ 」
霄囹
「 おぃおぃ、そんな事をしたら処分され兼ねないだろうが。
捜査を頑張ってくれてる警察への手向けってヤツさ! 」
マオ
「 捜査してる警察を困らせたいだけじゃないのか?
どうやって警察にプレゼントするつもりだよ? 」
霄囹
「 [ 警察署 ]の中に “ 捜査本部 ” ってヤツを立ち上げて捜査するだろ。
転移陣を使って其処へポイしてやるのさ。
現場の写真を同封してな! 」
マオ
「 でもさ、呪物なんだろ。
警察に任せて大丈夫かな? 」
霄囹
「 知らないねぇ。
これで新しい “ 七不思議の怪 ” が1つ増えたな★
5つ目だったか? 」
マオ
「 シュンシュン、くどいぞ 」
霄囹
「 分かった分かった。
作らないって── 」
キギナ
「 でもでも、7つまで後2つでしょ。
何か七不思議っぽい事件、起きないかしら?
逸その事、私達で起こしちゃう?
事件は起こすモノでしょ★ 」
マオ
「 もう既に起こしてるだろ……。
無実のクズ教師を殺害犯に仕立て上げたじゃないか。
怪異に襲われた女子生徒の殺害犯としてな! 」
キギナ
「 1つでっち上げだんだから、2つも3つも同じじゃない。
やっちまいましょ★ 」
マオ
「 駄目だからな! 」
霄囹
「 そろそろ、帰るか。
キギナは飛んで《 事務所 》に帰れよ 」
キギナ
「 レディに優しくないわねぇ。
まぁ、良いわ。
明日、《 事務所 》に来なさいよね! 」
キギナはフワッと宙に浮くと、シュンシュンとオレに手を振って飛んで行った。
マオ
「 はやぁ~~。
颯爽と帰っちゃったな 」
霄囹
「 式隸にはこのまま校内の調査をさせるとして──、《 裏野ハイツ 》へ帰るぞ 」
シュンシュンは転移陣を発動させてくれる。
明日、出勤して来た教師が[ 中庭 ]の有り様を見たら腰を抜かすだろうな。
記念樹の場所も勝手に変えちゃったからな~~。
◎ 訂正しました。
陰部のも ─→ 陰部も




