✒ 七不思議の怪 5
──*──*──*── 21時頃
──*──*──*── 高校・中庭
キギナとオレはシュンシュンの転移陣で[ 中庭 ]に不法侵入している。
記念樹を掘り起こす為、シュンシュンが式隸達に命令を出す。
式隸達は記念樹の周囲をせっせと懸命に掘り返してくれている。
記念樹は重くて持ち上げれない。
周囲の掘り返しが終わると、シュンシュンが陰陽術で記念樹を浮かせてくれる。
陰陽術でも魔法みたいに物体を浮かせる事が出来るなんて凄いな。
シュンシュン曰く、≪ 和圀 ≫の陰陽師が使っている陰陽術と≪ 日本国 ≫の陰陽師が使っている陰陽術は別物らしく、≪ 日本国 ≫の陰陽師が陰陽術を駆使しても異形や怪異を使役して式神にする事は出来ないらしい。
≪ 日本国 ≫の陰陽師が、≪ 和圀 ≫の陰陽術の仕組みを覚えても使う事は出来ないらしく、異形や怪異を使役して式神にする事も出来ないらしい。
≪ 和圀 ≫の陰陽師であるシュンシュン,幻夢さん,玄武さんも≪ 日本国 ≫の陰陽術を覚えても使う事は出来ないみたいだ。
記念樹を退けると穴がポッカリと空いている。
シュンシュンに蹴飛ばされて穴の中へ落とされた式隸達が再び懸命に穴を掘り始める。
式隸達に対するシュンシュンの扱いは手酷いもんだ。
暫くすると “ 何か ” を見付けた式隸が合図を出す。
式隸達は協力しながら見付けた “ 何か ” を穴から出してくれた。
シュンシュンが労いの言葉を掛けないから、オレが代わりに式隸達に労いの言葉を掛けた。
キギナ
「 あらぁ~~。
綺麗に黒塗りされてるわね。
何が入ってるのかしら? 」
霄囹
「 此処では開けるなよ。
他にも無いか徹底的に[ 中庭 ]を掘り起こして調べるんだ!
1つも見逃すんじゃないぞ! 」
そんな訳で、シュンシュンの命令に逆らえない式隸達は懸命に[ 中庭 ]の中を掘り返しまくる。
キギナとオレは邪魔にならない様に[ 中庭 ]から出て、イエローテープの外側で式隸達の奮闘振りを見ている。
シュンシュンは腕組みをして式隸達が作業をサボらないか監視している。
式隸達が掘り返した[ 中庭 ]からは、5つの黒いゴミ袋が出て来た。
かなり深い場所から掘り出されたみたいだ。
嫌な予感しかしないんだけどぉ~~。
マオ
「 シュンシュン、そのゴミ袋って── 」
霄囹
「 開けてみないと分からないな。
よし、他には無さそうなら撤収するぞ 」
マオ
「 シュンシュン、撤収するって、このままの状態にしてか? 」
霄囹
「 当たり前だろ。
安心しろよ、記念樹は元に戻しとくさ。
芝生と花は陰陽術でも戻せないから、このままになるがな 」
キギナ
「 [ 中庭 ]が “ 荒らされた ” って、事件になるわね。
ねぇねぇ、逸その事ぉ~~記念樹と祠の場所を入れ替えちゃいましょうよ。
祠は元々[ 中庭 ]に設置されてたんだから、元の場所に戻したって構わないでしょ 」
マオ
「 それをすると、ガチで事件に発展しそうなんだけど? 」
霄囹
「 面白いじゃないか。
よし、記念樹は祠が移転された場所に植え直してやろう。
お前等は穴を塞げ。
お前達は祠を此処まで持って来るんだ。
お前達は記念樹を植えれる様に祠跡に穴を掘るんだ 」
シュンシュンは転移陣を使って、浮いている記念樹を祠が置かれている場所へ移動させる。
祠を置く為に掘った穴を懸命に埋める式隸達──。
祠のある場所へ向かった式隸達の後を追って、キギナとオレも移動した。
──*──*──*── 校庭の隅
祠の置かれていた場所で式隸達が穴を掘りを進めている。
祠は別の式隸達が息を合わせて慎重に運んでいる。
ある程度の穴が掘れると、シュンシュンは浮いている記念樹をの根を穴の中へ入れる。
式隸達は記念樹が倒れない様に固定しながら掘った穴を埋め始める。
霄囹
「 手際が良いな。
どうだよ、[ 中庭 ]の中央に植えられていた筈の記念樹が、一夜の内に移転させた祠の場所に植え直された不可思議な現象が完成したぞ! 」
キギナ
「 これって “ 怪奇現象 ” って言うのかしら?
“ 心霊現象 ” って言わないのは確かよね 」
霄囹
「 ふっふっふっ──。
新たな “ 七不思議の怪 ” の誕生だな! 」
マオ
「 “ 七不思議の怪 ” を解決させる依頼を受けてるのに、作ってどうするんだよ! 」
霄囹
「 良いじゃないかよ。
これを機にだな、僕等で “ 七不思議の怪 ” を作り替えないか? 」
マオ
「 何馬鹿な事、言ってるんだよ!
そんなの却下に決まってるだろが 」
キギナ
「 えぇ~~。
面白いじゃないのよ。
【 生徒がプールで謎の集団溺死事件 】も新しい “ 七不思議の怪 ” の2つ目ね★ 」
霄囹
「 立ち入りの出来ない[ 屋上 ]で【 謎の集団首吊り自殺事件 】は新しい “ 七不思議の怪 ” の3つ目だな 」
マオ
「 シュンシュン,キギナ! 」
霄囹
「 冗談だって。
本気にするなよ、マオ。
ほら[ 中庭 ]へ戻るぞ 」
シュンシュン,キギナ,オレは[ 中庭 ]へ向かって歩く。
──*──*──*── 中庭
式隸達は記念樹が植えられていた場所に祠が置かれている。
祠の周囲は穴だらけだ。
キギナ
「 これ、どうすんの?
本当にこのままにして帰るつもり?
犯人が分からないままなら、【 謎の掘り起こされ事件 】も新しい “ 七不思議の怪 ” の4つ目ね! 」
マオ
「 キギナぁ~~ 」
キギナ
「 冗談よぉ~~。
ねぇ、それよりも見付けたゴミ袋の中身は何なの?
折角だし、開けて確かめましょうよ 」
霄囹
「 そうだな。
よし、結界を張るから待ってろ 」
シュンシュンは陰陽術で[ 中庭 ]全体に結界を張ってくれた。
結界の効果で “ 何か ” が結界内で起きたとして結界外に被害が出ない様にしてくれた。
シュンシュンはゴミ袋を自分で開ける事はしないで、式隸達に開けさせる気みたいだ。




