⭕ 七不思議の怪 2
ハゲテル校長先生の退屈な映像が終わると、用の終えたスクリーンは上へ上がって行く。
シュンシュンとキギナの内緒話の内容に依れば──、警察と教師達は 【 集団首吊り自殺 】をした生徒達の遺体を引き上げ終えたらしい。
幾ら生徒とはいえ、ばっちい糞尿を垂れ流している遺体を引き上げる手伝いをしないといけない教師達は災難だと思う。
遺体に指紋とか付くと拙いだろうから、人手不足の警察が用意した指紋が付かない手袋や衣服が汚れないカッパみたいなのを借りて作業をしたかも知れない。
遺体に髪の毛が付かない様に専用のネットとか100均に売ってそうなシャワーキャップ(?)みたいなのを頭に被ったり、遺体に唾液が飛ばない様に専用のマスクを付けたりとか──。
作業を手伝う素人の教師達の為に、人数分を用意する警察も大変だろな。
生徒達の遺体は担架に乗せられ、[ 屋上 ]から[ 運動場 ]へ運ばれて、車か何かで[ 警察署 ]へ運ばれて行ったみたいだ。
良くもまぁ、2時間という短い時間で終わらせれたもんだと思う。
専門家やプロが多く投入されたのかな?
花壇は相変わらず生徒の遺体から排泄された糞尿で汚れていて、汚臭がするらしい。
花壇には出来る限り、近付きたくないな。
そんな事を考えていると、教頭先生が壇上に上がり、全校集会の挨拶を始めた。
教頭先生と入れ替わる様にハゲテル校長先生が壇上に上がり、全校集会が始まった。
ハゲテル校長先生は、新たに生徒が亡くなった事を全校生徒へ告げる。
今回、亡くなった生徒達は登校はしていたが全校朝礼に不参加だった生徒の14名だという事──。
全員が[ 屋上 ]で首吊り自殺を計った事──。
[ 屋上 ]の鍵は壊れており、ドアも開けられない様に厳重に封鎖してあり、[ 屋上 ]に入る事は不可能な状態だった事──。
にも関わらず、14名もの生徒達は、何故か[ 屋上 ]へ侵入し、首に縄を掛け、手摺に縄を縛り付け、自分から手摺を飛び越え、飛び降りていた事──。
ハゲテル校長先生にも教頭先生にも当然、他の教師達にも何が起きているのか分からず、混乱しているみたいだ。
生徒が1名,教師が1名,生徒が30名,生徒が14名も立ち続けに亡くなっている。
仕方無い事だと思う。
全ての事件が “ 七不思議の怪 ” と関連が有るのか早く調べないとだ。
シュンシュン,キギナと話し合わないと!
ハゲテル校長先生は、火曜日の祝日まで高校を休校にすると生徒達に伝える。
次の登校日は来週の水曜日で、休校日の間は全校生徒に限り、高校への立ち入りを禁止になった。
とは言え、教師達は休校日でも高校へ来ないといけないらしい。
全校生徒が順番に[ 体育館 ]から出て行く。
3年生が出ると2年生が出て行く。
1年生は最後に[ 体育館 ]を出た。
──*──*──*── 1階・廊下
厳蒔眞勇
「{ シュンシュン──、明日から火曜日まで休校になっちゃうけどさ、どうするつもりなんだ?
“ 七不思議の怪 ” の調査は中止するのか? }」
厳蒔惷囹
「{ 中止はしない。
休校になっても、校内の調査は式隸達にさせる。
闇呪術には姿を消す術だけじゃなく、声も漏らさない術が有るんだ。
それを使えば《 学校 》に忍び込んでもバレやしないし、堂々と調査が出来るってもんさ。
僕等には休校なんて関係無いぞ }」
厳蒔キギナ
「{ 私はパスして良いかしら?
推しのイベントが有るのよねぇ~~ }」
厳蒔惷囹
「{ 駄目に決まってるだろ!
お前の死神眼が必要なんだ。
ボイコットは許さないぞ!
サボってみろお前の大事な推しキャラグッズを焼却炉逝きにしてやるから覚悟しとけよ }」
厳蒔キギナ
「{ はぁぁぁぁぁぁん?!
私の推しキャラグッズに手を出してみなさい!
パパンに言い付けてやるんだからね! }」
厳蒔惷囹
「{ ハン、随分と御立派だな精神してるな、キギナぁ~~。
大ちゅきなパパンに泣き付かないと何も出来ないんだもんなぁ~~。
プッスゥ~~クスクスクスぅ~~ }」
厳蒔キギナ
「{ ムッキィィィィ── }」
厳蒔眞勇
「{ いい加減にしろよ。
何で仲良く出来ないかなぁ……。
キギナが居なくても何とか出来る様にセロに頼んでみるからさ。
ほら、眼鏡とかな? }」
厳蒔惷囹
「{ そうなったら、キギナは完全に御役目御免の役立たず確定だな!
僕は構わないぞ。
碧い蝶だの影に潜んでた “ 何か ” が見える様になるならな! }」
厳蒔眞勇
「{ キギナ、そんな訳だから眼鏡が完成する迄は協力してくれないかな? }」
厳蒔キギナ
「{ しょ…しょうがないわね。
主人のマオに免じて、今回は特別に推しキャラより優先してあげるわよ(////)
50万で手を打ってあげるわ! }」
厳蒔眞勇
「{ 50万って──。
ちゃっかりしてるなぁ。
まぁ、知らない誰かがこっそり隠して貯めてる裏金だからな。
無駄使いだけはするなよ }」
厳蒔キギナ
「{ マオぉ~~♥️
誰かさんと違って話の分かる主人で嬉しいわぁ♥️ }」
厳蒔惷囹
「{ 現金な死神だな }」
キギナは余程嬉しいのか、オレの左腕に抱き付いて、胸を押し当てて来る。
はぁ…………人間だったら嬉しく思うんだろうけど、人間じゃなくなったもんだから嬉しく感じないんだよな。
厳蒔眞勇
「 ところでキギナ。
専属のパシリになってくれる男子生徒とは出逢えたのか? 」
厳蒔キギナ
「 えぇ~~?
そんなの探す迄も無いでしょ~~。
もう居るしぃ 」
厳蒔眞勇
「 誰だよ? 」
厳蒔キギナ
「 誰って、お兄ちゃんに決まってるじゃないのぉ~~。
{ マオは私の財布でしょお~~ }」
厳蒔眞勇
「{ 50万は無しな! }」
厳蒔キギナ
「{ えぇっ!?
何でよぉ~~~~ }」
厳蒔惷囹
「 はっはっはっはっはあっ!!
ざまぁ無いな、キギナぁ~~ 」
厳蒔キギナ
「 惷囹ムカつくぅ~~ 」
──*──*──*── 教室
簡単なホームルームが終わった後は速やかに下校する事になった。
忘れ物が無いかを確認したクラスメイト達は、次々に鞄を持って[ 教室 ]を出て行く。
下駄箱の在る[ 正面玄関 ]へ向かって廊下を歩いて行く。
──*──*──*── 廊下
部活動も休止だから、オレ達も寄り道をしないで真っ直ぐに下駄箱の在る[ 正面玄関 ]へ歩く。
厳蒔惷囹
「 おっ、式隸からの合図だ!
マオ,キギナ、[ 校庭 ]の隅に設置されてる祠に行くぞ 」
厳蒔眞勇
「 祠なんて在ったのか? 」
厳蒔惷囹
「 在ったみたいだな。
[ 校庭 ]の隅なら誰にも気付かれなくても仕方無いかもな 」
厳蒔キギナ
「 ねぇ、下校しないといけないのに祠に寄り道して良いのぉ? 」
厳蒔惷囹
「 [ 校庭 ]に在る祠だぞ。
寄り道に入るかよ 」
厳蒔眞勇
「 少し立ち寄るくらいなら、先生も怒らないよ。
行ってみよう 」
そんなこんなオレ達は、[ 正面玄関 ]を出たら祠に向かう事にしたんだ。




