⭕ 七不思議の怪 1
──*──*──*── 教室
全校朝礼が終わり、教室に戻って来ると窓から見える[ 校庭 ]にパトカーが停まっている。
今や生徒の誰もがパトカーが[ 運動場 ]に停まっていても騒いだりしない。
スマホを取り出して、パトカーをバックに写メを撮る生徒や動画を撮る生徒も居れば──、興味が無いのか飽きたのか、友人と御喋りに花を咲かせる生徒も居る。
[ プール ]で溺死していた生徒達の事件の真相も犯人も明らかになってないんだから、警察が出入りをしていても何等おかしくない。
1限目の終わりを告げるチャイムが鳴る。
オレは2限目の準備を始める。
2限目を告げるチャイムが鳴ると担当教科の先生じゃなくて、担任教師が[ 教室 ]に入って来た。
担任教師の話では2限目,3限目の授業は中止、再度[ 体育館 ]に集合する事になり、全校集会が始まる迄[ 体育館 ]で待機する事になった。
クラスメイト達はザワついている。
「 また[ 体育館 ]に戻るの? 」とか「 マジかぁ~~。めんどぉ~~ 」とか「 逸そ帰らせてぇ~~ 」とか様々な不満や文句が[ 教室 ]に飛び交う中、副学級委員,風紀委員長,副風紀委員が中心となり、クラスメイト達を静まらせつつ、後ろに並ぶ様に誘導する。
並び終えると[ 教室 ]から出て、廊下を静かに歩きながら[ 体育館 ]を目指した。
──*──*──*── 体育館
続々と[ 体育館 ]に生徒達が集まって来る。
全校生徒が集まると、[ 体育館 ]のスライドドアが閉められる。
壇上には大きな白いスクリーンが上から下へ下がって来る。
生徒達がザワザワしている。
何を見せられるのか気になるみたいだ。
真っ白いスクリーンに映し出されたのは、我等のハゲテル校長先生で、どうやら[ 体育館 ]で待機させる生徒達にハゲテル校長先生の有り難迷惑で退屈な話を聞かせようという魂胆らしい。
ハゲテル校長先生の話に興味の無い生徒達は、睡魔に身を委ねて眠りに落ちてしまった。
安眠効果は抜群だな。
厳蒔キギナ
「{ ねぇねぇ。
何でまた、[ 体育館 ]に集まる事になったのかしら? }」
厳蒔惷囹
「{ 何でって──。
生徒が死んだからに決まってるだろ }」
厳蒔キギナ
「{ 生徒が死んだ?
また生徒が死んだの?
どういう事なのよ? }」
厳蒔惷囹
「{ 式隷曰く──、全校朝礼をサボって出席しなかった生徒が居ただろ。
その生徒達が全員、首吊り自殺をしたらしいぞ }」
厳蒔キギナ
「{ はぁ?
首吊り自殺ぅ?
それ、マジなの? }」
厳蒔惷囹
「{ あぁ、マジさ。
自分の首に縄を掛けた後、[ 屋上 ]の手摺に縄を縛り、仲良く全員で飛び降りたらしい。
下の花壇には、[ 屋上 ]からブラ下がってる生徒達から垂れ流されてる糞尿で台無しになってるよ }」
厳蒔キギナ
「{ 全校朝礼中に全校朝礼をサボった生徒を[ 屋上 ]に集めて、首吊り自殺させるなんて──。
私の獲物を狙う奴が校内に居るって事ぉ!? }」
厳蒔惷囹
「{ お前なぁ。
学校の生徒は狙わないんだろ。
悔しがるなよ }」
厳蒔キギナ
「{ べ…別に悔しがってないわよぉ!
依頼で来てなければ、生徒達の魂は私が回収してたのにぃ~~!
キィィィィィイ!!!! }」
厳蒔惷囹
「{ お前、根っからの死神だな。
式隷に探らせてはいるが、犯人の特定は未だ出来ていない。
警察と教師達が[ 屋上 ]で生徒の遺体を引き上げてる最中だ }」
厳蒔キギナ
「{ 怪異でしょ。
怪異で決まりよ。
それより、アンタの式隷は一部始終を見てたんでしょ?
何で傍観させてたのよ?
アンタなら式神を飛ばして生徒達を助けれたんじゃないのぉ? }」
厳蒔惷囹
「{ 寝惚けるなよ。
僕等が受けた依頼の中に、【 生徒を助けろ 】なんて入ってないだろ。
生徒が何人犠牲となって死のうが、【 依頼の解決 】のみを任されてる僕等には何等関係の無い事さ。
僕等には何の非も無いし、責められたり文句を言われる筋合いは無いねぇ。
第一、僕等は人間の味方じゃない。
人間を助ける義理も責任も皆無なのさ!
依頼を解決させれさえすれば、全校生徒が死ぬ事になったて、知った事じゃ無いねぇ }」
厳蒔キギナ
「{ ハハン。
マオには聞かせれない言葉ねぇ~~。
でも、私も同感よ♥️
死神だって人間の味方じゃないもの。
魂を狩る使命が最優先の死神だもの。
人間を助ける必要なんて欠片も無いわぁ }」
厳蒔惷囹
「{ マオには生徒達が “ 首吊り自殺させられた ” って事は黙っとけよ }」
厳蒔キギナ
「{ 分かってるわよ。
私、口は固いわよ★ }」
オレが座ってる場所から、シュンシュンとキギナが座っている場所までは距離が有る。
一般的な人間なら声を潜めた内緒話の内容は聞こえたりしないもんだけど、残念な事にオレの聴力は案外と良かったりする。
そんな訳で、離れた場所で声を潜めて内緒話をしている内容は丸聞こえだったりするんだ。
………………御免な、シュンシュン,キギナ……。
オレには全部、聞こえちゃってるんだ……。
何も聞いてない、知らない振りをし続けようと思う。
“ 主人の優しさ ” ってヤツだ。
怒るに怒れない、責めるに責めれない内容だからだ。
オレにはシュンシュンとキギナを諌める資格は無いに等しいからな。
◎ 訂正しました。
たすけれたんじゃないのぉ? ─→ 助けれたんじゃないのぉ?




