✒ 転校生 1
──*──*──*── とある高等学校
担任教師
「 はい!
それじゃあ、転校生に自己紹介してもらいます。
左から順番に宜しくね 」
???
「 はぁ~~い!
厳蒔キギナでぇす。
皆ぁ~~、仲良くしてね★
私の専属パシリ、募集中よ♥️ 」
???
「 僕は厳蒔惷囹だ。
仲良くしてやるから有り難く思え!
怪奇や心霊に関する悩みが有る生徒は、友情価格で相談に乗ってやるぞ 」
???
「 初めまして、厳蒔眞勇です。
オレの事は気軽に “ 眞勇 ” って呼んでください。
シュンシュンとキギナとは似てないけど三つ子で──、オレが兄です。
キギナは妹になります。
2人共根は良い子だから、普通に接してほしいかな…… 」
担任教師
「 はい。
自己紹介、有り難う。
席は後ろに用意してあるから、好きな場所に座ってね 」
厳蒔眞勇
「 分かりました 」
担任教師
「 はい、ではホームルームを終わります。
1限目の古典の授業は自習になりました。
他のクラスは授業だから静かに自習をするように!
副学級委員,風紀委員、クラスのまとめ役、宜しくね 」
日直
「 起立── 」
日直らしき生徒が号令を掛けると生徒達が一斉に立ち上がる。
日直
「 礼──。
着席── 」
日直らしき生徒が「 礼 」と言うと、生徒達は黙礼をする。
日直らしき生徒が「 着席 」と言えば、生徒達は静かに着席をした。
担任教師が「 散会 」と言って[ 教室 ]から出て行くと、着席していた生徒達が立ち上がり、教壇の右横に立ってるオレ達に近付いて来た。
転校生が珍しいのか──、似てない三つ子が珍しいのか──、生徒達は実に興味津々な表情をしている。
色々と聞きたい事があるんだろうな。
生徒達は容赦無く質問を投げ掛けて来る。
怒濤の質問攻めに疲れそうだ。
質問の嵐って、こんな感じなのかも知れない。
10分の休憩時間が終わると1限目を告げるチャイムが鳴った。
1限目は自習の筈なのに、生徒達は知らん顔みたいで着席する様子はない。
生徒達は各々が仲の良いグループに分かれて話をしている。
厳蒔眞勇
「 自習の意味ぃ~~ 」
厳蒔惷囹
「 自習って何するんだ? 」
厳蒔キギナ
「 自由時間の事じゃないかしら? 」
厳蒔眞勇
「 1限目は古典の授業だから──、古典に関する自主勉強をするに決まってるだろ 」
厳蒔惷囹
「 古典ねぇ。
誰も教科書を開いてないけどな 」
厳蒔キギナ
「 スマホ触ってる子も居るし、ゲームしてる子も居るし、音楽を聴いてる子、漫画を読んでる子も居るわ。
皆自習を満喫してるわね~~。
私は専属パシリになってくれそうな男子を勧誘して来るわ♥️ 」
厳蒔眞勇
「 勧誘って……。
[ 教室 ]の外には出るなよ。
授業中なんだからさ 」
厳蒔キギナ
「 分かってるわよ 」
キギナは席を立つと1人で男子生徒達が集まっている方へ移動して行った。
厳蒔眞勇
「 シュンシュンはちゃんと古典の自習するだろ? 」
厳蒔惷囹
「 必要ないねぇ。
一通り教科書を読んでみたが、内容は≪ 和圀 ≫と大して変わらないんだよな。
歴史的人物の名前が違うぐらいだ。
どうにでもなるさ 」
厳蒔眞勇
「 そ…そうなんだ? 」
厳蒔惷囹
「 マオこそ、どうなんだよ。
≪ エルゼシア大陸 ≫に古典なんか無いんだろ。
お前こそ、真面目に自習した方が良いんじゃないか? 」
厳蒔眞勇
「 オレの場合は≪ 日本国 ≫で暮らす際に、セロから教育水準に見合った知識を叩き込まれたからな~~。
大学生レベルの問題までなら解けるかな 」
厳蒔惷囹
「 相変わらずのスパルタだな。
なら、学年末テストで全教科満点は余裕で御手の物って事か? 」
厳蒔眞勇
「 どうかな?
テストの内容に依るんじゃないかな。
別に全教科満点を取れなくても問題無いし 」
厳蒔惷囹
「{ 然し、本当にこの学校で間違い無いのか?
比較的に新しく出来た高校だろ。
この御時世に “ 七不思議の怪 ” なんて馬鹿らしくないか }」
厳蒔眞勇
「{ 陰陽師がそれ言っちゃうか?
転校生として “ 一時入学 ” させてもらったんだから、依頼は解決させないとだろ }」
厳蒔惷囹
「{ 令和が終わって何年経ってると思ってるんだ。
陰陽師ブームは完全に去ってるんだ。
旧校舎が在るなら兎も角…… }」
厳蒔眞勇
「{ 確かに……。
旧校舎の類いは令和の時代に完全に取り壊されて無くなったもんな。
でも、異形や怪異は令和が終わっても存在してるんだ。
夜な夜な学校に忍び込んで何かしてるのかも知れないだろ }」
厳蒔惷囹
「{ ≪ 異界 ≫と通じる場所が無いかも探らせてみるか。
とは言え、≪ 異界 ≫に迷い込んだが最後──。
人間は自力で抜け出す事が出来ないからな、速攻で怪異に喰われるのがオチだが }」
厳蒔眞勇
「{ 校内で “ 行方知れずになった生徒 ” や “ 神隠しに遭った生徒 ” の噂は無いみたいだから、今のところ生徒が≪ 異界 ≫に迷い込んだケースは低そうだよな…… }」
厳蒔惷囹
「{ そうだな。
校内の偵察をさせてる式隷が、何等かの異変を感知すれば知らせてくれるさ。
僕等が態々歩き回って調査する必要はないねぇ }」
厳蒔眞勇
「 そうだな…… 」