第14話 彼の異能(side:アルマ)
あっという間に魅惑のぷりんを3つも平らげ、天に登るような気分になっていた私は、少しいつもとは違う様子の金の瞳の少年にようやく気付いた。
金色に輝く宝石を閉じ込めたかのような瞳は、彼の心を表すかのように憂いを帯びて、いつもより燻んで見える。
彼に見られていたことに気付いたとたん、ぷりんに夢中になっていたことに羞恥を感じて、急激に頬が熱をもち赤くなっていった。
彼の前でぷりんとはいえ食べ物に夢中になっていたことを少しだけ後悔したが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
彼の憂いの理由を知りたくて問いかけようとしたが、少し残る羞恥が邪魔をして問うのではなく窺うような反応をしてしまう。そんな私を察してか彼から話し始めてくれた。
「えーと、プリンを食べ終えたらいつも通りアプリをダウンロードしたんです。食べ物を冷やすアプリでした。それで、そのアプリを確認していたら、もう一個アプリを手に入れてしまって……」
「? 二つあぷりを手に入れたってこと?」
「はい、一つめは冷たい料理を食べたこと、つまりプリンを食べたことへの報酬です。二つめは今までに、実績を十個達成したことへの報酬でした」
「ぷりんを食べて報酬が貰えるのね……で、二つめは十個の実績達成への報酬か。なんか今までとは少し違うね」
「はい、実際に特別な報酬だと通知が来ました。確認してみたらその通りでして……」
「特別な報酬……、なんか内容を聞くのが少し怖いね」
彼の神造物は異世界人特有の異能の一部でもあるようで、伝え聞く通常の神造物と比べても異常な性能を誇っていた。
「はは……。まず名称は〈Achievement Record〉、特典記録です。その機能は、今までに手に入れた報酬がリスト化されて、報酬を一つ獲得するたびに身体能力などが強化されるみたいです」
「は?」
詳しく聞いてみると、手に入れた報酬ごとに強化項目が異なるが重複して能力が強化されるみたいだ。
今まで直接的に戦闘能力が強化されるあぷりが、魔法を創れるあぷりだけだったからおかしいとは思っていたのだ。何故かというと、歴史上に存在した異世界人の異能は、全て戦闘に特化していたからだ。
今までに文献に残っている異世界人は四名。
世界を自力で越えたと言われる渡り人。
突然に帝国の宝物庫に現れた転移者。
ふらふらと世界中を彷徨い漂う迷い人。
神々の大戦に利用するために召喚された英雄……。
この世界に紛れ込んだ彼ら異分子達は、例外なく桁外れに強力な異能を所持していた。
巨人と化す全身鎧を召喚する〝護宝機士
不可思議な鏡面を操る〝偏鏡領域〟
触れたものを泡へと変える〝de sabão〟
全てを切り裂く〝弑刀〟
そして——
行動するたびに能力が増える〝実績解除〟
彼の異能だけが少し異質だったのだが、今回の報酬で少しだけ理解できた。
彼の異能は万能型の成長特化というだけではなく、戦闘面でも成長特化なのだろう。最初からその片鱗はあったが、今回の報酬を得たことで一気に加速していきそうだ。
他の人には話せないことが増えていくことに少しだけ気が重くなったが、彼と二人だけの秘密が増えると思うと不思議と胸の高鳴りを感じた……。
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▼《Tips》
〈Magic Catalog〉
三十頁以上の異世界の冊子を読み切ったことに対する実績解除による報酬
神造物でもあり異能の一部でもあるTranscend Smartphone内にアプリとして付与された。
世界間カタログブックアプリ。
行ったことのある世界の触れたことがある商品を、ポイントを消費することで取り寄せることができる。ポイントの入手は実績の達成と害獣や犯罪者を討伐することで得られる。商品のラインナップは対象の世界への滞在年数に比例する。




