song7 15の夜7
謝られると、ボクが何か、だだをこねている子どものような気がするんだ。せっかく桂より何か経験値が高いものがあると思っていた矢先、そこでまた上塗りしてくるなんて。
やめてくれ。想像を超えないでくれ。上を行かないでくれ。
そう、願っていたが、桂は
「なんだ?どうした?手がぴくついてるぞ?」
そう。ボクの、欠点とも言うべき、ある癖までも気がついた。追い込まれると出る癖。自分で制御できるものでもない癖。
「ああ、何でも無いよ。小さいころから、ね、なんだか知らないけれど、こうなるときがあってさ、気持ち悪いだろ?」
「いや、全然。俺の親父なんかさ、酒飲みだから、酔うと人が変わってさ、白目とか向くしさ、それに比べたら、たいしたことないよ」
(そんなもんと比べられても・・あ・・)
いつのまにか、おさまった・・・
きっと、今の桂の親父さんの話でだろう・・え?わざと・・・なのか?
「ん?どうした?二人とも?何かあったのか?」
達也だけが、よく分かっていなかった。
「で、桂は謝ったところで、結局どうするつもりなんだ?」
と、話を進めようとする達也。
「あ、ああ、そうだったな。とりあえずさ、ここにいよう。そして、俺たち3人だけじゃなくて、他にも呼ぼう」
「え、えっと」
「どうした?」
「そうだぞ。ここはいい場所じゃないか?」達也も賛同した。
「確かにここに来れば家出同然だと、ボクは言ったけどさ、これ以上人数増えたら、困るよ」
「何で?」達也は、浅はか。
「まあ、そうか」桂は思慮深い。「じゃあ、近くの公園は?」
確かにあそこならば・・そう思ったけれど、この季節は、少々寒い。雨でも降れば、次の日の朝には、水たまりも凍るくらいだ。
「食料とかどうするんだ?」
当時はコンビニとかはない時代。田舎だから、ファストフードもない。
「仕方ない。菓子でも買い込んでいくか、それと・・・」
体を温めると言えば、火とそれから、背伸びをして酒だと思っていた。