song5 15の夜
教師の話しぶりに似てる桂。何だろう、むかつく。ここはさ、君たちの根城でもない。
ボクは、そう・・・
君の言うとおりプライドがある。君たちには立派な親がいる。ボクにも親がいるが、母親は尊敬できるけれど、父親ははっきり言って、どうなのかと思う。
大人の世界に首を突っ込むなと言われても、こうなってしまった境遇を受け入れるのもまたボク自身。いや、もっと言えば、兄もそうだった。
確かに、他人の家の家庭環境など分かるはずもないだろうし、知りたくもないだろう。
他だ、ここに、こうして、好き勝手に出入りできることを考えたとき、ボクの家庭が、一種特異な家庭だと、想像はたやすいだろうに。
そういう配慮、遠慮・・・。
友達という言葉では片をつけられない何かがあるはずだろう。それが今、ボクの壁になっている。そしてそれが、プライドというならば、甘んじて受け入れる。
あ・・・
分からないからか・・・
経験値が・・・そうか、こんな経験してないから、他人事だからか・・・
だとすれば、平気な顔で、ちょっと賢く生きている、いや、要領よく生きていられるこの桂は、
まだまだ子どもなのか・・・。
「ボクからいいか?」
「何だよ、珍しい」桂は少し上から目線。
「ここにいる時点で、君たちはほとんど、家出同然だと思うんだけど?」