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異世界でも僕はアナボりたい!!  作者: 狐月 かぶと
第一章
3/19

憤怒の怪鳥

次の日の早朝、かあさんに出かけてくると挨拶をし、バードミー島に向かった。列車とバスで片道二日掛かる街をさらに半日歩いて着くとされる山だが、全力ダッシュすれば三時間程度で着くのだ。鍛えておいてよかった。前世だと半日は掛かっていただろうし、本当に異世界様々だよ。魔力最高!


 そんなこんなでバードミー島に着いた僕は怪鳥を探しに向かった。怪鳥のせいなのか、人っ子一人もいなかったので忍び込むに苦はなかった。どんどん上に登っていくにつれて霧が濃くなっていき、道に迷ってしまった。道中で動物や人の骨と思われるものがあちこちに転がっていたことを考えると、このあたりに怪鳥がいることは明間違いなさそうだ。思い切って大声を出して怪鳥を呼び出してみることにした。


「おーい。怪鳥くーん。出ておいでー。出てこないと食べちゃうぞー。」


 まあ、出てきても食べるんだけどねー。


 すると、とてつもない鳴き声と共に、大きな足音がこちらに近づいてきた。気づくとそこには、深緑色の羽を持つざっと五メートルはあるであろう巨体に、真っ赤な頭に立派な鶏冠、鳥らしからぬまるで丸太のような足に鋭い爪を持つ、鶏がいた。


 「これは大物だ!」


 「異常に発達した大胸筋にたくましい首!」


 「まるで全身が鎧を纏っているかのような筋肉!」


 「この鶏一匹でどれほどの数のサラダチキンが作れるだろうか!?」


 「これはいいタンパク質になる!」


 と興奮しているところに、怪鳥はすかさず鋭利な爪で切りつけてきた。咄嗟に避けたが避けきれず、上着の一部が裂かれてしまった。


 「やってしまった…。」


 と嘆く僕に、怪鳥は続けて攻撃を仕掛けてくる。大きな体にも関わらず素早い動きに度肝を抜かれたが、すぐさま僕も反撃に出る。力強く握りしめた拳を怪鳥の腹部に繰り出すと、メキメキっと音を立て怪鳥は吹っ飛んでいき、後ろの大樹に叩きつけられた。凄まじい鳴き声が森に響き渡る中、畳み掛けるように怪鳥の顔面と足にそれぞれ一撃ずつパンチを繰り出した。たまらずよろける怪鳥が僕に向けて、嘴を広げ、魔力を込めたビームのようなものを発射した。僕はそれを華麗に避けたが、その際、被弾した木々や地面が溶けていた。


 「マジか…。受け止めようとしなくてよかった…。」


 上空に飛び出しとどめの踵落としを怪鳥の頭にお見舞いした。すると怪鳥はピクリともせず絶命した。霧が晴れ美しい木々が姿を現した。清々しい勝利を噛み締めた。


 ここで早速用意していた簡易調理キットを取り出し、怪鳥を食べてみる事にした。プリっとしたお肉はまさに一級品と呼べるほどに身が閉まっていてとても美味しかった。お腹の満腹になり、そろそろ家に帰ろうと身支度をしようしたその時、僕の体に変化が起きた。みるみるうちにエネルギーが筋肉へと変換され、力がみなぎってくるのを感じたのだ。僕はこの世界で手に入れた『筋肉の声』を聞く力で、この肉の成分を筋肉達に聞いてみることにした。するとこの怪鳥の胸肉には従来のプロテインの何万倍ものタンパク質があることが判明した。こんなものがこの世界にあったなんて、この胸肉があれば今まで以上に筋肉を育てることができるじゃないか! と歓喜したのも束の間、この森には怪鳥は一匹しかおらず、伝承にも複数体見つかった報告がない。再び絶望する僕だったが、突然、怪鳥の死体から大きな卵が出てきたのだ。


 手を当てて、調べてみると、怪鳥の雛が入っていたのだ。詳しく筋肉達に聞いてみると、どうやらこの怪鳥は不死性を持っており、倒されてもしばらくすれば再生すると言うものだった。いわゆる不死鳥ならぬ。不死鶏だったみたいだ。僕はこの卵を育てて、養鶏場をつくれば、このタンパク質を永久的に取り続けることができるのではないかと思い、僕はその卵を持ち帰り、近くの森の頂上に養鶏場を作り、最強のタンパク質の安定供給を実現したのだ。これでプロテイン問題を解決した僕は、さらにトレーニングに励んでいくのであった。

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