短剣とちょっとした日常
▶名前 桜
▶年齢 16
▶身体能力
HP 320
MP 100
腕力 125
俊敏 82
防御 58
器用 110(+4↑)
魔力 52(+2↑)
運 30
▶戦闘スキル
▶支援スキル
▶常駐スキル
【環境適応】
【猛毒無効】
【家事】
【持久力増加】
【剣術】
【短剣術】
【盾術】
【格闘術】
【暗視】 new
【投擲術】 new
▶魔法
「ははは…もう笑うしかないな」
そのまま『迷宮』から出てきた私たちは私のステータスを確認していた。ちゃんとスライムに投げた武器が当たったのと、暗闇で見えるようになったことから新しいスキルは増えていることはわかっていたけど…なぜか古場さんは落ち込んでいた。スキルが増えるのは『迷宮』の中で行動するのに有利になるし、強くなっていけば奥へと行けるようになるのだからいいことのはずなんだけど。
「まあいいや。とりあえず戦闘訓練は終わりな。この先『迷宮』に入るのも自己責任だから注意しろよ。で、今日貸してやった装備はそのままやるわ」
「はあ…」
「ああそれと、もしこの先奥へと行くのなら階層やモンスターの情報、それと何か異常があっりしたら連絡して来いよ。なんにせよ、慣れるまでは慎重にな?」
「わかりました」
古場さんは言うことを言い終えると手をひらひらと振りながら帰っていった。気のせいかその背中には影が落ちていたかのようにも見えた。
「あ…」
初期装備をこのまま貰えたのはよかったんだけど、よく考えたら武器は『迷宮』の天井に刺さったままだ。中をもう少し見て見るにしても武器がないのは心もとない。とりあえずその武器だけは回収しておきたい。
「なんだまた中入るのか?」
「忘れ物」
「気をつけろよ」
門番さんと会話を交わしゲートをくぐる。坂を下り平坦へ。違和感を通り抜け少し進むと天井に突き刺さった短剣が目に入った。ついそのまますぐ入ってきたがどうやってこれを回収しようか。
「よっ ほっ」
ジャンプしてみるが普通に届かなかった。足元から天井まではどうだろう? 4-5メートルくらいはあるかな。私が手を伸ばして立つと大体2メートルくらい…2-3メートルのジャンプって普通に出来るものなんだろうか。
「ふむ」
私は来た道を少し戻りくるりと体をむきを変える。そのままで届かないのなら勢いをつければいい。助走をつけて飛び上がれば多少は距離も伸びるだろう。狙いを定め私は走り出した。
「…くっ」
惜しい気がする。さっきよりは飛べた気がする。これは再チャレンジだ。
「はっ」
おおっ 指先が軽く短剣の柄に触れる。後少し。
「やぁ…っ」
私の手ががっちりと短剣を掴んだ。そして私という重みが追加されたことで短剣は天井からするりと外れる。よし、これで武器も取り戻せたね。ちゃんともう1つの回収は忘れない。
『迷宮』を出てステータスを見ると【跳躍】というスキルが増えていた。
次の日、今日からは1人で『迷宮』へと入るつもりだ。だけどまずは学校へ行かなければならない。『迷宮』へ入るのは帰ってからになる。家事をちゃちゃっとすませ自転車にまたがり家を出発した。昨夜、ちょっとモンスターについて勉強したことを思い浮かべる。思ったよりも種類とかもいるらしい。スライムは系統としては最弱。そうじゃないと困る。入り口から最強のモンスターとかゲームだとしても詰んでいる。
自転車を指定の場所へと止め教室へ。いつ見てもがらんとした教室だ。自分の席に座り、今日の授業の確認をする。まあ…確認をするほどの教科はないのですぐに終わる。毎回順番が違うだけだ。
1日の授業が終わり、私はスーパーによってから家へと帰る。相変わらず野菜が高い。『迷宮』の影響か今の土の状態があまりよくないらしく、野菜の成長が悪い。だけど一部のスキル持ちのおかげで一定量はキープされているので助かっているのだ。この人たちがいなくなった後は考えたくもない。それを考えると『迷宮』を攻略するしないは別としてスキルだけは獲得しておくべきなのかもしれない。私だって便利なスキルを貰えて助かっている。帰りのペダルが軽い。登校時にスキルが増えていた。【脚力増強】いいことだ。
家につき荷物を片付け、夕食の下ごしらえをしておく。今では以前よりも楽を出来る食品は売っていないのでほとんどのものが自分で用意しないといけないからだ。まあそう言われても私はその便利だったころの料理の仕方を知らないからこれで普通。
下ごしらえも終わったので私は装備を確認。念のため防刃スーツはちゃんと着て置き、剣帯を腰に付ける。もちろん忘れず短剣も2本差してある。ヘルメットはどうしようか? 昨日少し壊れてしまった。今日は直撃だけを避けるために帽子をかぶっていこう。近いうちに冒険者用品店に何があるのか見に行った方がいいのかもしれない。それと今回は拾ったものをしまえるようにリュックを背負う。これで手で持ち帰ることをしなくて済む。
準備を整え『迷宮』がある裏庭へ。今日の門番さんは昨日と違う人だった。名前は知らないけど一度顔をあわせたことがある。ぺこりと頭を下げてからゲートをくぐった。見慣れ始めた道を歩き中へと進んでいくと初めてこの『迷宮』に人がいる場面に遭遇。なぜか違和感があるところを入ってすぐのとこで立ち止まっているので、その横を通過しながらちらりと様子をみると…
「だ、大丈夫ですか?」
私がそう声をかけないといけないと思えてしまう状態に見えた。