第3話 ヴァイオレッドの女
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「───う~ん・・・・・・あれっ?僕は一体何を・・・そうだ!勝也君、勝也君は・・・」
辺りを見渡すと、いつもの通学路だった。
そして、隣には勝也君が倒れていた。
「勝也君、勝也君!」
「・・・うっう~ん、白青?・・・こっここは?」
勝也君が目を覚ました。
「通学路だよ。よかった、よかった・・本当に・・自力で、逃げてきたの?」
「何言ってんだ?最後、助けに来てくれたじゃねーか。わりぃ・・俺、裏切られたのかと思って・・」
えっ!?
「僕、そんな事・・・してない」
だって、僕さっきまで倒れてた、と思うから・・・
「謙遜すんなって、意識飛んでたけど、完全にお前の声だったぜ。・・・おっと、いけねもう七時半だ。じゃあ、また明日、本当にありがとな」
そう言って、勝也君は自分の家へと向かって行った。
・・・僕が救った
『友達を救える力がほしい・・・』
・・・まさか・・な
「そうだ、早く家に帰らないと、理亜が待ってる」
自分も家へと向かった。
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「ただいま~、理亜・・遅くなってごめんなー」
ん?なんか騒がしいな・・理亜、また友達でも呼んだのかな
そう思いながら、声がするリビングへと向かう。
「理亜~ただい───」
そう言いながら、入っていくと・・・
俺と同じぐらいの年の紫髪の美少女が理亜と話していた。
「あっ、お兄ちゃんお帰り~」
「帰ってきたか・・随分と遅かったな」
・・・いや、誰?
「お兄ちゃんにこんな美人な彼女さんがいたなんて知らなかったよ~。私てっきり、真菜さんかアリアさんのどちらかと付き合うのかと思ってたよ~」
はいぃぃ!?付き合ってるぅぅ!?
「何、惚けているんだ?・・・そうだったな、お前はいつも私を見て照れるんだったな。でも、いい加減慣れてくれないか?」
いや、慣れる慣れない以前に誰か分かんないんですが・・・
「ちょっとー、二人共~妹の前でイチャイチャしないでよ~」
「イチャイチャしてるワケじゃ「そうだな、じゃあ続きはお前の部屋で・・・な」
そう言って、ナゾの美少女と俺は自分の部屋に入った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
きっ気まずい・・・でも、
「あっあのう・・・誰なんですか、貴女?」
意を決して話しかけた。
「・・・やはり、記憶なし・・・か」
記憶?
「どういう「気にするな。それより、私が助けてやったんだぞ、お前達を・・・」
えっ!?
「ってことは、貴女が僕と勝也君を・・・」
「・・・まぁ、そういう事だ」
女は答える。
「それは、本当にありがとうございました。」
「別に、お礼するほどの事はしてないさ」
「いや、ありがとう・・・で、本題なんですが先程のことなんですが、どういうこと・・・ですか?」
これが本題だ。
「ああ、それについてお前に話があるんだ」
話?
「話ってなんですか?」
「ふっ、それは・・・この家に私を住まわしてくれないか、と言うことだ」
えっ・・・えぇぇぇぇぇぇ!?
「どっどういう事ですか!?すすす住むって。つつつつまり、同棲っていう・・・」
「あぁ、そういう事だ」
「そういう事じゃないですよ、どうしてですか?」
こっこんな美少女といいいい一緒に・・・
「どうしてか・・・ふーーん、私は命を狙われているんだ。だから、この家で匿ってくれ」
「そっそうなんですか!?・・・・・・分かりました、匿います」
「えっ!?」
そうと決まったら、理亜にも言わないと・・・
「アイツのいう通り、チョロい・・・」
何か言ってるようだが、聞こえない。
「・・・そうだ、名前・・・名前何ていうんですか?僕は・・」
「二重白青、そして、妹の理亜。私の名前は・・・そうだな、ヴァイオでいい」
「“でいい”って・・・まぁいいや。じゃあ、僕は、理亜にも・・・」
そう言って部屋から出ようとすると、
「では、お前に話すことはおわった。」
そうヴァイオさんは言い、何か黒い物を取り出した。
ドギュー--ン
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「俺の言った通りだろう」
「あぁ、チョロすぎて逆に焦ってしまった」
ヴァイオは微笑する。
「だが、俺はお前を信じたワケじゃない。わかってるな?」
俺はヴァイオに強く言う。
「わかってるさ、もう一人のシリア──────
─────時は、シリアが、チンピラ集団を壊滅させた時間まで遡る。
「中々やるな・・・それでこそ魔王だ」
俺は声がする方向へ振り向くと、
紫髪の女が立っていた。
────ッ!?、いつからそこにいた!?
「ふっ、安心しろ、私はお前の味方だ」
「味方・・・か、知らない奴にそんなこと言われて、はいそうですか。と、言うほど馬鹿じゃない」
そう言うと、女が笑う。
「ふっふっふっふっ、確かにそうだな。ここで信じる奴は馬鹿だ。だが、これならどうだ?・・・お前を生み出したのは、私だ」
────ッ!? まさかコイツが・・・
そう考えていると、女が黒い物体を取り出した。
「これは 闇の矢じり 。これを射抜かれた者はもう一つの人格が生まれ、裁きの力が与えられる。ただし、魔王の資格がある者のみ」
「資格がない者が射抜かれるとどうなるんだ?」
俺は質問する。
「死ぬ。射抜かれた者は即座に絶命する」
「随分と恐ろしいアイテムだな。で、俺はその資格がある・・・と」
「ああ、そしてお前にはやってもらいたいことがある。ちなみに拒否権はない」
やってもらいたいことか・・・・
「それは何だ?」
「言っただろう、裁きの力を得たと。お前にはその手伝いをしてもらう。そして、もう一つ・・・私をお前の家に住まわせる事だ」