ストリーマー2話その4
ストリーマー2話その4
高城は、3人を見ながら笑った。
「ケガはないですか?」
ミヤケ先輩はビビりなので目を泳がせて答える。
「大丈夫だ。あ~何で停電した?」
ミヤケ先輩におっちゃんが言う。
「きっとヒューズだ」
おばちゃんが突っ込む。
「甘いね。わざとだよ」
「おばちゃん。どういう事?」
「麟太郎が、その懐中電灯で賊をおっ払ったんだよ」
高城はミヤケ先輩に暗視ゴーグルクラッシャーを返す。
「ミヤケ先輩、借りました。使い道が有ったので」
ミヤケ先輩は???の顔だ。
「どういう事よ?」
「今度ゆっくり説明します。戻らなきゃいけないので」
デモンストレーションは中止になった。
警備関係者も交えて、事実確認になった。
デモンストレーションの開始5分前から会場監視カメラが作動停止。その他の監視カメラ映像に不審者なし。ステージ床面から9mm弾を発見。
「使用銃はVP9長バレル ヤタガラス仕様と推測されます」
才谷部長が不気味に言った。
会議室が静まり返る。
獣医の銃と呼ばれるVP9。静穏性にすぐれ動物の安楽死用に開発された。表向きは。
裏向きには、至近距離での暗殺銃として知られている。
長バレル ヤタガラス仕様は、静穏性はそのままに600mの射程を実現した。ヤタガラスとは、特殊部隊の中の暗殺要人誘拐戦技研究部隊と噂されている。噂されていると言うのは、存在を偶然確認してしまった自衛官が行方不明や自殺を遂げ、取材を試みた内外のジャーナリストが、何故かアフガニスタンや中東の紛争地帯で誤射により死体で発見される事が相次いだ。
¨口に出すな¨とまで言われる部隊名。
「これ以上の調査は、関係者の安全上適切で無いと思われます。警視庁は事件性無しとの見解を示されました」
誰も微動だにしない。
「では。解散で」
一斉に全員が立ち上がり、あっと言う間に私語も無く立ち去った。
才谷部長は、残っている高城に聞いた。
「何で、判った?」
「ウチが田所光学に発注した、試作暗視ゴーグル覚えてますか?」
「光学照準アシスト機能試作。確かお前が不具合修正をするように言ってたやつか?」
「あれ。周辺電子機器に、わずかなノイズが入るんです」