ストリーマー2話FpBフューチャー
ストリーマー2話FpBフューチャー
FpB。FPS1人称視点ゲームの傑作、BFバトルフィールドシリーズを産み出したEAエレクトリックアーツが2つに分裂して設立されたゲーム開発会社。
FpsBastion。1人称視点砦と言う意味だが、EAの次を担うと言うダブルミーニングでも有る。
EAは。感情ではなく、事実に基づく建設的な議論を求めてきた。それに対して、プレイヤーの感情こそ重視すべきだと主張するスタッフが対立した。
EA経営陣は、感情を重視すればゲームはプレイヤーのわがままにより迷走すると確信し、分裂とFpBの設立を黙認した。
結果。EAの思惑は外れた。技術的にプレイヤーのわがままに対応できなかった開発ソフトとハードは、突如劇的な進歩を遂げたからだ。流体コンピューターの実用化を、日本の町工場が成功させたのだ。
FpBの設立リーダー、ジョニーヒルマンは株とデリバティブを自身で運用し、10万ドルを日本円で50億にし、この町工場に全額投資していた。ソフト開発も先行して、他の追随を許さない。EAの開発理念は過去の栄光に埋もれた。
グラフィックは、もはや肉眼と区別がつかなくなった。その為視野のどこかに¨CG¨と入れる事が義務化された。
ソフト開発は、感情重視になり。あらゆるわがままが製品化された。
高城は持っていなかったが、着弾スーツが発売されている。冷却機能を持った伸縮全身タイツで、着弾した所に¨パンっと¨エアーが入るようになっている。さらに、10軸のパワードスーツ状の中に入り、全身を使い指も使いプレーするボディシミュレーターまで開発されている。リコイルまで反映され、体格や体重、握力。銃身の保持や姿勢でリコイルが変わる仕様も検討されている。
高城は、FpSフューチャーと呼ばれる新作発表イベントに、メールで突然招待された。
招待基準は発表されていない。しかし、YouTubeストリーマー(ゲーム実況者)なら、10万人以上のチャンネル登録者が条件と言われている。高城の登録者は2万8千だ。
しかも、今年はアメリカではなく日本の高知県南国市高知空港緑の広場一帯に、仮設会場を作り開催すると公式ホームページに記載された。
高城の自宅から車で30分の場所だ。
会社で仕事をしていると、社長が呼んでいると総務部長がきた。
社長室に行く。
「高城。武市知事だ知ってるね?」
「はい。いらっしゃいませ。高城です」
満面の笑顔の武市知事が手を差し伸べてきた。握手する。
「いやぁ~高城さん。えふぴーえすふゅーちゃー出場おめでとう!」
「えっ?はぁ…どうも」
「これから記者会見があるんですよ。仕事中突然で申し訳ないんだが、来て貰いたいんだが?」
高城は社長を見た。
「仕事は才谷部長に言っとくから。すぐ行きなさい」
知事の秘書2人に押されて、公用車に押し込まれた。
記者会見が終わり会社に戻ると、才谷部長が笑顔で近寄ってきた。夜7時を過ぎている。
「高城。仕事は片付いた。帰っていいぞ」
「申し訳ありません」
「いいさ。警備全般ウチに来た。総額9千万の仕事だぞ」
「何でウチに来たんでしょう?」
「詮索するな。防衛省筋だ」
社長は防衛省出身だった。