71話 ルノに異変②
あんクマがセナと話していた時から数時間が経過したが、未だにルノの場所へは魔物はもちろんプレイヤーも誰一人来ていない
ルノ「帰るの!」
ルノはあれからずっとうつ伏せのまま足をパタパタさせて1人で駄々をこねていた
?「誰かいるの?」
ルノ「いや!」
その声とともに森の中から見た事のある人が出てきた
?「あれ?ルノちゃんだ、こんなところで何してるの?」
ルノ「知らない!どっか行って!!」
?「私だよ?涼花だよ、ルノちゃん?」
ルノの横で膝に手をついて顔を覗き込むように声をかけていた
ルノ「いや!」
涼花「どうしちゃったの?」
しゃがみこみ優しく声をかけた
ルノ「やらないの!」
涼花「何をやらないの?」
ルノ「……」
涼花(ルノちゃん、どうしちゃったんだろ?さっき会った時は普通だったのに)
ルノ「知らないもん」
涼花「何が知らないの?」
ルノ「知らない」
涼花「……」
(魔物に何かされたのかな?)
涼花はルノのことをじっくり観察していた
涼花(……あれ?)
「ルノちゃん、セナ先生に貰った刀はどうしたの?さっきは持ってたよね?」
ルノ「……取られちゃった」
泣きそうな声でそう呟いた
涼花「え!?取られちゃったの?」
とても驚いていた
ルノ「…うん」
うつ伏せの状態のまま小さく頷いていた
涼花「誰に取られたの?」
ルノ「……わからない」
涼花「大事なものなんでしょ?探さなくていいの?」
ルノ「いい、行かない」
涼花「どうして?」
ルノ「どっか行っちゃったもん」
涼花「ルノちゃんの刀を取った人が?」
ルノ「…うん」
涼花「じゃあ一緒に探そ?どんな人か覚えてる?」
ルノ「黒い人」
涼花「黒い服の人?」
優しくそう聞いた
ルノ「うん」
涼花「じゃあ一緒に探そうよ、手伝ってあげるから」
ルノ「いや!お姉ちゃん1人で頑張って」
涼花(…ん?………お姉ちゃん?…………ルノちゃんは私の事をお姉ちゃんなんて呼ばないよね。一応念の為に確認しておこ)
「ちょっといい?貴女は本当にルノちゃんであってる?」
ルノ「うん」
涼花「顔見せてくれない?」
ルノ「いや!」
涼花「そう、嫌なら大丈夫だよ」
(この耳としっぽに服、それからこの声は絶対にルノちゃんだよね、でもいつものルノちゃんと違う……どういうこと?)
涼花はルノの隣に座り込んで考え込んでいた
涼花「ルノちゃん、ここだと危ないから私と一緒に行こ?」
ルノ「いや!」
涼花「じゃあどうしたらいいの?」
ルノ「知らない!」
涼花(困ったわね、精神を壊す魔法を使う魔物がいるってセナ先生に教えてもらったけど、そんなのがここにいるのかな?じゃないとルノちゃんがこうなった原因ないよね?)
「ルノちゃんは何歳なの?」
ルノ「…5歳」
涼花(……え!?子供っぽかったから適当に聞いたら本当に子供なの?……中身が入れ替わってるとか?)
色々考え込んでいた
涼花(とにかくこの子は5歳って答えたから、見た目はルノちゃんだけど5歳の子供って考えたらいいかな?)
「歩くのが嫌なの?」
ルノ「いや!」
涼花「歩くのが嫌なら私がおんぶしてあげよっか?」
ルノ「……おんぶ?」
少し興味を持ったようだ
涼花「うん、私がおんぶしてあげるから一緒にルノちゃんの刀を探しに行こ?」
ルノ「……うん」
小さな声で返事をした
涼花「じゃあおんぶしてあげるから起き上がろうね?」
ルノ「うん」
涼花に言われてようやくルノは起き上がった、それに合わせて涼花も立ち上がった
涼花(やっぱり顔もちゃんとルノちゃんだよね)
「あらあら泣いてたの?目が腫れちゃってるじゃない、可愛いお顔が台無しよ?」
そう言ってハンカチでルノの目元に残っていた涙を拭っていた
ルノ「…おんぶ」
涼花「あぁそうだったわね……さ、おいで」
涼花はルノに背を向けてしゃがみ、ルノは涼花の背中に抱きついてそのままおんぶされた
涼花(かる!……え?ルノちゃんってこんなに軽かったの?びっくりしたぁ、帰ったら沢山食べさせないと、これはいくらなんでも軽すぎるわ)
「ルノちゃん、刀を取った人がどっちに行ったかわかる?」
ルノ「分からない」
涼花「そっか、じゃあ走るからしっかり捕まっておいてね?」
ルノ「うん」
ルノは涼花の首に腕を回してしっかり掴まった
涼花「もしルノちゃんの刀を取った人を見つけたら教えてね」
ルノ「うん」
涼花「じゃあ行くよー!」
そう言って涼花は走り出し、すぐに涙の森を抜けた
{ルノがリスポーンしたのは涙の森の真ん中辺りだよ}
涼花「ルノちゃん、大丈夫?」
ルノ「はやいはやーい!!」
涼花はかなりの速度で走っているため、ルノは涼花の背中でとても楽しそうにはしゃいでいた
涼花(落ちないか心配だったけど楽しそうならいいか)
それからかなりの距離を走ってきた頃
涼花(あ、勇者チームの1人はっけーん!)
「おーい!海斗くーん!」
草原の真ん中を歩いていた海斗に声をかけながら手を振った
海斗「どうかしたか?」
涼花「ふぅ……海斗くんは黒い服の人とか見なかった?」
海斗の下まで走ってきて、息を整えてから話し始めた
海斗「さぁ?俺は見てないな、それよりどうしたんだ?」
海斗は涼花におんぶされているルノを指さした
涼花「どうしてか分からないんだけど、ルノちゃんがルノちゃんじゃないんだよね」
海斗「そうなのか?見た目は普通だけど」
そう言って海斗はルノのことをまじまじと見ていた
ルノ「お兄ちゃんだれ?お姉ちゃんのおともだち?」
海斗「…お兄ちゃん?お姉ちゃん?……は?」
きょとんとして固まっていた
涼花「こういうことよ海斗くん。ルノちゃん、このお兄ちゃんはお姉ちゃんのお友達、一緒に刀を探してくれるって、良かったね」
ルノ「一緒に刀、探してくれるの?」
海斗「ルノがルノじゃないってことはよーくわかった、でも刀を探すってなんだ?」
涼花「ルノちゃんがいつも持ってる刀あるでしょ?」
海斗「あぁあるな……見た感じ今は持ってないけど、どうしたんだ?」
涼花「さっき聞いたら黒い服の人に取られちゃったんだって」
海斗「え!?マジで!?」
海斗もルノが刀を取られたことに驚いているようだ
涼花「うん、私がルノちゃんを見つけた時からルノちゃんはこうなってて、目が腫れてたからかなり泣いてたのよ。これはあくまで私の予想でしかないけど、刀を取られたせいでルノちゃんはこうなったんだと思うわ」
涼花は走って移動している際にルノがこうなった原因について色々考えていた
海斗「そうか、とりあえず俺も黒い服の人を探してみる、勇者チームを見つけたら共有しておくな」
涼花「お願い、私はルノちゃんをおんぶしてるからあんまり早く走れないけど、海斗くんなら早く行けるよね、私たちは涙の森から天の山の上の方から走ってきたの、だから海斗くんはここから伝説の森の方から地図の下をぐるっと時の森まで見てきてくれない?」
海斗「わかった、涼花はどこ行くんだ?」
涼花「私は探し物が刀だからなんとなく剣の山に行ってみる」
海斗「そうか、さっき行ってきたけど危ないから気をつけてな」
涼花「うん、海斗くんもね」
海斗「じゃあまた後で、もし何かあれば走って報告しに来る!」
そう言って海斗はすごい速さで走り去った




