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超負け組でも抗い続けてるんですけどっ!?

<和>と<倭>は、やがて和と邪馬壹朝廷、そして和と日本へ


挿絵(By みてみん)

 





 普通に考えれば、詰んでるんだよな、<まつろわぬ民>。

 

 とはいっても、俺達一族は<まつろわぬ民>などではなく、自分達こそが正統な<和義の治証(ヤマト)>を継承する<和の民>と自認している。


 <漢>の後ろ盾で<倭>として蔑まれながら認められたと誇る父系大王(おおきみ)一族の勢力や、<唐>の後ろ盾で朝廷を乗っ取った中臣(ふじわら)一族などの勢力に媚を売らず。


 <和義の治証(ヤマト)>に反する大王なんてものも認めないというのが、母系正統<和>国を継承する俺達の一族だ。


 <和義の治証(ヤマト)>は、大和の語源となった古の盟約で、大陸や海洋諸国から渡来して来た多民族がひしめく古代移民国家だった和合洲国(ヤマト・アイッ)が作り上げた、憲法のようなもので、<iiaomai martys zoe>を基とした外来語だ。


 王政社会以外を交流できる相手と認めない<漢>との間に立つ仮初のはずの大王(おおきみ)を実際の国主として頂こうとする朝廷こそが、和を乱すとして、俺達は対抗してきた。


 元々俺達の一族はその<和義の治証(ヤマト)>で選ばれた最後の祭主というかシャーマンの盟守(ムスビ)の一族だったが、武力革命で国を追われ、とうとう賎民と呼ばれるほどになってしまった有史以前からの負け組だ。


 まあ、農業技術も、製鉄技術も、治水や縫織技術も持たない法制と神道倫理を司る一族だったそうだから、権謀術数を操る大陸の連中に陥れられるのは当然といえば当然だろう。


 敵だった一族の盟主は大王(おおきみ)を名乗り、部族の祀る御霊(みたま)(')という概念に変えて<記紀>で差別し、階級制度で軍制を敷いたのに、こっちは<和義の治証(ヤマト)>を頑なに護り、祖祀(スメロキ)として全ての部族と御霊(みたま)を平等に扱った合議制だったからな。


 軍国主義の戦うための制度で差別をして兵に死ぬ事を強制できる国と、平和主義の制度で差別をせず、兵に死ぬ事を強制せずに勇気ある志願に頼った国だと、戦えば有利なのは軍国主義の国だ。


 そして血統主義で純血を貴いとする血族と全ての血に貴賎はないとする混血を尊いとする一族では、戦うための団結を得られやすいのは血統主義の血族だ。


 

 それでも最初の頃は、未だこの島の正統な統治者勢力を名乗れてたけど、<和義の治証(ヤマト)>を曲がりなりにも掲げていた大和朝廷が、白村江の戦いで負けて大陸勢力に乗っ取られ、密教系仏教を呼び込んで、カナ文字の基になった古い言語を廃し、公用語を漢字とするなんて時代になると、もう勢力とも呼べなくなった。


 20世紀でアメリカに負けた日本が辿ったのと、ほぼ同じような傀儡政権が朝廷となったわけだ。


 つまり、俺達一族からすれば、有史以来、日本は外国に乗っ取られ続けた負け組で、その事を隠して誤魔化し続けたという事になる。


 まあ、そう主張する者は、皆、滅びたのが前世までの世界なんだが……。


 同じように大王(おおきみ)を名乗った一族も、クーデターや暗殺や不倫で、結局内部から大陸系氏族乗っ取られて滅ぼされた。


 朝廷は大陸と半島からの渡来民による傀儡になったと声をあげても、<和義の治証(ヤマト)>自体が実質的に破られて長くなり、俺達の一族に求心力がないせいで、<和義の治証(ヤマト)>勢力は瓦解。


 俺達一族に味方した部族は、散り散りに分裂して、<山の民>や<偲び>や<河原者>などの賎民として、<和義の治証(ヤマト)>を捨てて、自分達の出自を忘れて生きる事を選んだ。



 俺達を滅ぼそうとする征夷大将軍の制度を利用した武家部族が力を持ったおかげで、かろうじて滅ぼされずに<まつろわぬ民>という敵として利用され続け。


 そして、利用されていると知りながらも抗い続ける不器用な頑固者だけが最後に残り滅ぼされる。


「正直者がバカを見て、裏で悪事を働く偽善者が政治を乗っ取り、平和は争い合い奪い合う事を生業にする奴らに踏みにじられる…………俺達はそれに抗うバカってか」


 思わず、口からそんな自虐的な台詞がこぼれた。


 『恩讐のアテルイ』とは、そういう一族の異端児で生き残りであるアテルイが、風魔に拾われ、やがてフリーの忍となり影の歴史の中、信長や秀吉や家康の暗殺に関わる伝奇青年アクション漫画だった。


 今世の俺が生きているのは、そんな史実に近い厳しい世界。


 前作とは別のリアルな現実の殺し合いを描いた世界だ。


 前世では『イェーガー²』という青年誌に近い雰囲気の少年バトル漫画の世界だと理解して納得するのに時間を費やしたが、今度は同じ失敗をしてはならない。


「そうだな、今度こそ……」


 この世界は、前世のような曲がりなりにも法治国家という概念がある世界ではなく、ほぼ前々世の戦国時代に近いパラレルワールドだ。


 裏設定としては、『イェーガー²』の千年前の世界。


 幸せになるのは前世よりも更に難しい。


 だが、<志念>能力が知られてない世界だから、そこに活路がある。


 <志念>能力を一度は目覚めさせたのだから、また覚えられるはずなのだ。


 <志念>は、肉体に宿る<波気(デュナム)>を燃料としているが、その使い方や精度や威力は、精神で制御される。


 精神の在り方が武闘系、射撃系、属性系、傀儡系、召喚系、呪法系の六系統の得意系統を決め。


 天派は理性を使い、地派は情念を使って修行をして力を覚醒させる。


 イメージとしては、右道や左道に分類される仙術とかが元ネタだ。


 少なくとも俺と漫画家は、(')(')(')(')(')(')


 前世の経験からすると原案者特権で設定を書き換えるチート能力なんてものはなくても、創った当時の設定はそのまま生きていた。


 だから、とりあえず<志念>能力を覚えよう。


 うん、それが第一歩だ。


 ただ、問題は何のためのどんな能力にするか

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