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シロモフ転生  作者: あめふらし
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9話 モフモフと旅

第二章 始まり

 俺がお嬢様の屋敷を離れた後、俺は天空の塔を目指しひたすら東に進むことにした。トテトテと野原を歩くさまは、まさに小動物の散歩である。日差しが優しく照り付け、草花が風に揺れた。

絵になりそうな一枚だな、と内心で思いながら俺は歩き続ける。

ここで少しの旅と屋敷で分かった新たなるシロモフ珍獣フェルエーラの情報を語ろうと思う。何せ一人なのでやることが、一人で思いふけるぐらいしかできないのだ。

分かったことの一つ目としては聖獣ゆえなのかこの体は、排せつをしなくていいという事だ。これには俺も驚いた。どんなに水を飲もうと、果実を食べようとトイレに行きたくならず、本当にトイレに行かなくていいのだ。

二つ目は食事についてである。旅の途中で水も食べ物も見つからないことがあったが、それでもこの体は平気だったのだ。

これはどうやら俺の食料が水や食べ物ではなく、たぶん魔力と呼ばれるものなのだからと思う。

魔力は空気中にも微量に漂っているらしいので、それを体毛から吸収しているのだろう。その証拠かどうか分からないが、お嬢様に撫でられた時に元気の出る感じがした。きっと魔力を分けて貰っていたのだ。

とそんなわけで食料の心配がいらず、白銀の体毛のおかげで天敵が生息していない。一人旅でも安心と言う訳である。

今このように野原を無防備に歩いていても何の心配もない。一度深緑色の体毛の狼に狙われたことがあるが体を硬質化させていたら、いつの間にかいなくなっていた。こっちからは攻撃も動きもほとんどできないが、相手からも何もできない。まさに無敵である。QED、証明終了。

とそんなこんなで野原を抜け、森のエリアに入った。森は深く生い茂っており、注意深く足元を見ていないと転びそうである。

「きゅーきゅー!(あれは!)」

 しばらくして俺はあるものを発見した。それは美味しそうなリンゴの様な果実だ。正確な名前は知らないが、俺はあの果実が大好物なのである。食事の必要がないと分かっていても趣向品としてぜひ味わいたい。

 しかもそのリンゴの様な果実は地面に落ちていた。まるで食べてくださいと言わんばかりである。俺はトテトテと果実に近づき、果実を手に取る。

 その瞬間だった。ガシャンという音とともに胴体に鈍い衝撃が襲った。反射的に体毛を白銀色に変えたから無事だったもののどうやらこれは罠だったようだ。

 前世でも実物は見たことないが、ゲームで見たことがある。トラバサミってやつだ。

 それに胴体を捉えられていた。リンゴはトラップでおびき寄せるためのものだったらしい。白銀から元の体毛に戻すと一瞬でガシャンと切り込まれそうだ。想像しただけで恐ろしい。

 そんなわけで何も出来ず、待つことしばし夕暮れになってもまだ何もなかった。

(落ち着くんだ。俺。トラバサミを仕掛けたってことは、回収にくる人がきっといるはず、その時に助けてもらおう)

 そして夜更けの頃、ようやく人がやって来た。それは茶髪の日焼けした活発そうな女の子だった。背中に弓と矢筒を背負っており、いかにも狩人っぽい見た目をしている。きっとあの子がこの罠を仕掛けた本人だろう。

俺は助けてー、と声を上げた。

「きゅーきゅーきゅー!」

 その声に女の子は、

「え? 獲物が掛かってる。やったー!」

 え? 獲物が掛かってる? 獲物って、もしかしなくても俺?

 


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