52話 モフモフと大会の終わり
ウルルガとの戦闘が終わった後、俺たちは闘技場の人々を救った英雄として表彰されることになった。凄いものが見れたとハルフトリーノも大喜びで、さらに百万ゴールドをフランは貰っていた。このお金でフランと母親は宿を改築するそうだ。
俺の戦いぶりを見てまたアキフトルーノ王子が俺に告白してきた。また断った。言葉が通じるなら俺はオスのつもりだからと答えたい。
そこから三日間俺はこの町に滞在することにした。
フランに俺の毛で作った布団をあげたり、闘技場の修復の手伝いをしたり。三日間はそれなりに忙しかった。
そして別れの時はやって来た。
いつまでいるとまた名残惜しくなる。
俺はそういうことでフランに何とか別れのジェスチャーをした。これには二時間ほどかかった。俺がどこかに行ってほしくないという願望もフランにあったかもしれない。
「そうか、こむぎこは行ってしまうのか……」
残念がるフラン。だが俺には天空の島に帰らないといけない目的があるのだ。
それが終わったらここに帰って来るのもいいかもしれない。
そういえば今まであった人たちは今頃どうしているだろうか、天空の島に帰った後は、今度は逆に西のお嬢様の屋敷を目指す旅をしても良さそうだ。
「できれば家で飼いたいと思っていたが、こむぎこは聖獣らしいからな。何かなすべきことがあるんだろう。止めはしない。きっと魔人がらみ何だろうけど」
その言葉で俺は魔人の事を思い出した。狂暴凶悪の四天王の内、三人は倒した。倒したのだが気がかりなこともある。そもそもあいつらの目的ってなんだ? 魔王に関するものを集めたりしているようだが……気がかりだな。今度は四人目の魔人に合うのだろうか。その時はあいつらの目的を聞きだしても良さそうだな。
「えっと、お前には世話になったからな。礼なんてこれぐらいしかできないけど」
そういってフランは世界樹のリンゴリンを俺に手渡した。サイズがリンゴではなくメロンほどもある巨大なリンゴリンだった。
そう言えば俺が大会に出た理由は世界樹のリンゴリンを食べるためだったんだ。この三日間と魔人のせいですっかり忘れていた。
「きゅー(ありがたくいただくぜ)」
俺は貰うと早速齧りつく。
しゃくっ……。
「きゅー!(うまい!)」
普通のリンゴリンの旨みを何倍も凝縮したかのような味、濃厚でそれでいてくどくない甘み、どれをとっても最高のリンゴリンだ。
俺は理性を忘れて世界樹のリンゴリンをムシャムシャと食べた。途中でフランが食べたそうにしている目線が気になったので一欠けらあげた。
「お前ってリンゴリンがらみでは強欲なんだな~」
何とでもいうがいい。俺はリンゴリンのためなら大抵のことはするのだムシャムシャ。
あっと言う間にリンゴリンはなくなり、食べ終わってしまった。
ああ、もっと食べたかったな。
さて、世界樹のリンゴリンも味わったことだしそろそろ行くか。
そう思うと俺は宿屋の扉に手を掛けた。
「もう行ってしまうのか~、こむぎこ。じゃあ、最後にいっておきたい。私たち親子を救ってくれてありがとうな、こむぎこ。いつでも帰ってきていいんだからな」
「そうね、あなたのおかげで宿屋の改装までできちゃったものね、かたくりこちゃん」
「いや、母さんこむぎこだってば」
「あら、そうだっけ」
「きゅー(俺はどっちでもいいけどな)」
こうして俺は宿屋を立ち、またもや天空の塔を目指すことにした。
さて次はどんな出会いが待っているのだろうか。
第六章 完




