45話 モフモフと大会の始まり
翌日、俺たちは大会に出場するため闘技場に向かっていた。フランの肩に乗って俺は町を進む。
「……不安になって来た。本当に優勝できるのかな~?」
周りを見渡すと屈強そうな魔物とその魔物使いで溢れている。
だが、俺だって見かけによらず強いと評判の聖獣だ。負ける気は毛頭ない。全員蹴散らして、世界樹のリンゴリンをいただくのだ! 後ついでにフランの宿も助けよう。
俺はお金には興味も必要もないからな。
会場に着き、俺たちはルールを確認した。予選はバトルロイヤルだ。リングの上で戦い、戦闘不能か場外に言った者は負けとなり、最後に残った一匹が勝ちとなる。
本戦の枠は八か所、つまり八回バトルロイヤルが行われるという事だ。俺はその中で七番目のバトルロイヤルらしい。バトルロイヤルの魔物は大体二十から三十匹程度。大きさとかそういうので調整しているらしい。
闘技場には魔術師によるバリアが張られ、観客は安心して戦いを見ることが出来る。
「歓声が聞こえる。早く私たちもいかなきゃ」
試合の参加者は無料で観客席に座ることが出来る。俺たちは適当な席を見繕い座った。
闘技場ではこの大会の主催者である王族が、開廷の言葉をしゃべっていた。
何でもここら一体を収める王様は魔物がだいぶん好きらしく、珍しい魔物には目がないとか。それで珍しい魔物や強い魔物見たさにこの大会を開いたのだと。
優勝賞品は百万ゴールドだが、もし期待以上の戦いを見せてくれればそれ以上も出すのもやぶさかでないらしい。
随分太っ腹な王様だ。名前もハルフトリーノ・エンゼルンと太っ腹そうな名前だった。ちなみにハルフトリーノが名前でエンゼルンが国の名前かつ苗字だ。
ハルフトリーノのあいさつが終わると早速大一回戦が始まるようだった。
「うわぁ、めちゃくちゃ強そうなのいっぱいだよ」
闘技場の中心を見ると今にも暴れそうな巨大な象や、羽の生えた飛んでいるワニ、三つの角が生えたペガサス、などたしかに強そうなのがいっぱいる。
「きゅっ!?(あれは!?)」
「どうした、こむぎこ?」
俺の目線の先は一匹の魔物にくぎ付けとなった。あれはサタンコングだ。あいつの獰猛さは直に体験したから良く知っている。あいつを手名づけるとはこの戦い、一筋縄ではいかなそうだ。
一回戦の戦いが始まるとそこから先はサタンコングの一方的な戦いだった。象を薙ぎ払い、ワニを場外に突き落とし、馬を跳ね飛ばす。
十分後には予選の一回戦が終わりサタンコングが勝った。
「……こむぎこが注目していたゴリラが勝ったが、こむぎこ。あれに勝てるのか~」
不安そうに言うフラン。大丈夫だ、勝てるって。初めてサタンコングと出会った時から俺はかなり成長している。大丈夫だよ……たぶん。
そこから二回戦、三回戦、と進んでいく。二回目は猫の獣人の奴隷が勝利した。三回戦は良く分からないクラゲの様な召喚獣が勝利した。四回戦は大きな怪鳥が勝利した。五回戦は……。
「まさかあいつが出場していて、しかも本戦に出るなんて」
フランが忌々しく言う先には一人の男と一匹の魔物がいた。それは緑色の鱗をテラテラと輝かせる巨大な蛇の魔物だった。確かウロボロススネークとかいうAランクの魔物だったか。
「クソ旦那め、必ずこむぎこがぶっ飛ばしてやるからな」
ほう、フランの親子に借金を擦り付けたとかいうお父さんがあの人なのか。よく見るとハンサムでそれなりにかっこいい容姿をしている。ふーん、でも借金を返すために大会に出場しているんだろう、少しだけ見直したぜ。
「甘いな、こむぎこ。今あの男が借金を返すために出場してると思ったな」
「きゅー(良く分かったな)」
「それは間違いだ。あの男は借金を私たちに押し付けて、賞金は別に独り占めするつもりだ。私にはわかる」
そうなのか? 本当ならそうとうのクズヤローという事になるが。
六戦目はこの国の王子であるアキフトルーノがドラゴンを引き連れて勝利した。
そして俺たちの七戦目が始まろうとしていた。
「そろそろ私たちの出番か、いくぞ! こむぎこ!」
「きゅー!(了解!)」




