35話 モフモフとお届け物探し
「えっと、お届け物はね。具体的な物は何かって言うのは聞いていないの。ただ私は小さい箱をある人物に届けてほしいっていうのが師匠の言ったことなの」
小さい箱か、いったい何が入っているのだろうか。
「えっとそれで小さい箱は、黒色でこぶし大の大きさで封印が施してあるんだけど」
とロルルが辺りを見渡す。それに伴って俺も辺りを見渡すもそれらしきものはない。
というか封印が施してあるってやばいやつじゃないだろうな。
「とりあえず辺りを探ってみようと思うの」
ロルルがすくっと立ち上がり、箒を片手に持つ。
そして地面を見ながら歩き出した。
俺もそれに従って、辺りを歩きながら探る。
しばらくするとそれらしきものが見つかった。
「こ、これは私のお届け物。……だけど」
黒いこぶし大の箱は見つかった。されども封印らしきものはちぎれて、中身は空っぽだった。
きっと落ちた衝撃で箱は空いて中身がどこかに行ってしまったのだろう。
これは困った。ロルルが中身を知らないとなれば何を探せばいいのか分からない。
「あわわわ! どうしよう中身は結構危険なものって聞いてたのに」
ロルルがあたふたと慌てる。その間に俺は箱を注意深く観察した。よく見ると箱の内側は円形になっており、中には球体が入っていたのではないかと推測できた。
だがしかしこれまた困った。ここは街道で野原に整備された土という環境だ。そしてゆったりとだが坂道になっているのだ。
もしお届けものの本体が球体だった場合、そこそこ遠くへいっているかもしれない。
俺はその事を身ぶり手振りでロルルに教える。具体的には自分が丸くなってコロコロしたあと、箱を指差した。
「なるほど、ふむふむ、箱の中身は球体の可能性が高いと」
理解してくれたようでほっとした。そして俺たちは坂道の下を探すことにした。その際中ロルルがこんなことを言ってきた。
「きゅーちゃん、もしよかったら私の使い魔になりませんか?」
使い魔の申し出か、しかし俺には天空の島にいくという目的がある。俺は首を横に降り断らせてもらった。
「むぅ。それは残念ですね。やっぱり誰かの使い魔何でしょうか?」
その言葉にも俺は首を横に降った。
「あれ、そうなんですか? だったらなぜ人の言葉が分かるのでしょう、謎ですね」
答えは聖獣だからなんだよなぁ。
どうやら魔女界隈では人語を理解するイコール使い魔みたいな風潮があるようで聖獣という発想には至らないらしい。
そんなこんなで探しているとついに俺たちは、例の物を見つけた!
それは拳よりいくらか小さい、人の目玉くらいの大きさをした宝石だった。暗く輝く黒い宝石で、それはなんとも禍々しく見えた。
いかにも危険っていうオーラが漂っている。
「なんかヤバそうですね。師匠にはもしものことがあっても素手では絶対さわらないようにって言われてましたけど」
その時だ。一匹の角ウサギが宝石の近くにやって来た。角ウサギとは名前の通り、角が頭から生えた魔物だ。危険度は最低ランクで、よく初心者の冒険者に狩られている。
「もぐっ」
「なっ!?」
「きゅー(食べちゃった)」
角ウサギは黒い宝石をエサと勘違いしたのか、丸のみにした。
その瞬間である。ビキビキと体が砕けるような音と角ウサギの悲鳴が辺りに響き渡った。角ウサギを見ると体の半分が黒い結晶に変化していた。
何なんだこれは!?




