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シロモフ転生  作者: あめふらし
33/60

33話 モフモフと終わった陰謀

 俺の放った一撃を、アレクは余裕の面持ちで避けようとする。だが、俺の狙いは魔王の籠手ではなくアレク自身だ。少し魔王の籠手からずらして俺はしっぽフレイルを振り下ろす。

「!!」

 そして俺の攻撃が、魔王の籠手を付けていない方、左肩に命中する。するとアレクの体は命中した部分がさらさらと砂の様になり、分解されていった。俺のしっぽは抵抗なくアレクの左肩から脇までを分解し、離れたアレクの左腕もさらさらと砂の様に分解されていく。

 思った通りだ。アレクが魔王の籠手でしか攻撃して来なかったのは、それ相応のリスクがあった、聖獣たる俺に触れると砂になって分解されるからだったのだ。

 そしてゆっくりとだが、砂になっていく箇所は増えていく。さらさらと分解されるのが切断面から徐々に侵略していった。

「くっそ! やられたぜ! まさか俺の弱点を見破られるとはな!」

 そういって悔しそうにするアレクだが、そこにはニヤリと笑う不気味な表情もあった。

「まぁ、よくないが。今回は消えざるを得ないようだな。だが覚えて置けよ珍獣。四天王たる魔人は永久に不滅だってことおな! キヒヒヒヒ!!」

 そこまでいうとアレクの体は全て砂となって消えてしまった。

 そして魔王の籠手も地面に落下するのと同時に、砂の様に消える。

 砂は風に流され、どこかへと消えていく。

 それと同時に無数の青白い光が空から流星のように降り注いだ。

 その一つがヒスイに入ると、ヒスイはバッと起き上がって、目を覚ました。

 どうやらこの青白い光は、アレクに吸い取られたこの町の魂の様だ。

 ということは無事、事件は解決し皆の魂は元に戻ったことになる。

「きゅーちゃん! 無事だったのね!」

 目が覚めたヒスイが俺を抱きしめる。それはぎゅっと抱きしめる感じで少し息苦しい。

「きゅー(大丈夫だから、放してくれ)」

そして数十分もすると、ネクロもやってきた。

「いやはや、水路を四つほど破壊したのに魂が戻らないときはどうなるかと思ったよ。でも町の人が目覚めたという事は、やってくれたようだね。きゅーちゃん。心から礼を言うよ」

 そういうネクロはらしくなく、ありがとうと俺の頭を撫でた。

 



 事件から一週間が過ぎた。その間には色々ごたごたがあった。まず今回の件の後始末だ。事情の説明やら、水路や広場の修理やらと一週間の間大忙しだった。俺も協力したが、ちゃんと力に成れただろうか心配だ。どうやら俺には病を治す力の延長線上として元気を出す力があるらしい。なので工事現場で瓦礫を拾い集めたり、周りを鼓舞したりしたのだが……それで本当に力になれただろうか。

 ネクロはこの町の陰謀を一察知し、事件を止めた一人者として今までの厄介者のイメージは払しょくされ英雄扱いされていた。さらには王族に功績を、王宮での研究者、王宮錬金術師に認められた。これで金に糸目をつけず研究が出来ると喜んでいた。

そして俺は王族にどうかこのサザンロックの守護獣になってくれないかと言われたが、断った。俺には空島へ帰る使命があるからと話し、何とか納得してもらった。

そして別れの時がやって来た。




「きゅーちゃん、危険は冒さないでね。寂しくなったら帰ってきていいんだからね」

 そう言って俺を抱きしめるのはヒスイだ。目端に涙粒を貯めて、名残惜しそうになでなでしている。

 そうされてもう三十分は経つだろうか。

「きゅーきゅー(心配しなくても大丈夫だからヒスイ。安心してくれ)」

「ほら、いつまでもこうしていちゃ、きゅーちゃんも旅立てないだろ。その変にしておこうか、ヒスイ」

 そう宥めるネクロも涙粒を目に貯めて我慢している様子が見えた。姉として気丈にふるまっているのだろう。

 俺も名残惜しいが何時までもこうしている訳には行けない。

 俺はヒスイの手元を離れてバイバイと手を振る。

「きゅーきゅー(そっちも元気でやってくれよな)」

「きゅーちゃん、元気でね」

「きゅーちゃん、元気でな」

 そう言ってヒスイとネクロが俺に手を振り返す。そこには俺が作ったお守りがあった。

あの時魔人アレクが言った、スケールスという言葉の意味が気になりネクロに聞いてみた所、スケールスとは鱗粉という意味だと教えてくれた。そしてネクロと二人でいろいろ試してみた結果。俺は体毛を自由自在に生やし、伸ばし、抜けさせることが出来るということが分かった。

そして本来の聖獣の戦い方として、小さい抜け毛を空中に漂わせそれを何らかの方法で使用するということなのではないか、というのがネクロの見解だ。例えば白銀の毛を空中にばらまけばそれだけで無数の針となり相手を襲うだろう。スケールスとはそういう意味だったのだ。生憎ブレスは出来なかったものの、スケールス能力、毛を生やし、伸ばし、抜けさせることは自由自在にできたので、俺の毛を織って小さいお守りを作ったのだ。

見た目的には白いモフモフしたハンカチだが、その効能は確かにある。二人が危険となった時必ずや助けてくれるだろう。

こうしてサザンロックでの長いようで短い二週間は終わった。

そして俺は天空の島を目指し、旅立つのであった。


第四章 完

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