28話 モフモフとネクロとヒスイ
もぐもぐと俺はリンゴリンを食べている。これはヒスイから与えられたものだ。
俺が台所にあったリンゴリンをじっとながめていると、ヒスイがとってくれたのだ。
「きゅー(やっぱりリンゴリンうめー)」
今俺はヒスイと一緒にキッチンにいる。お姉ちゃんであるネクロの方は、俺の記述が載っている本がないかと、家の地下室にいってしまった。
そこは物置兼研究所となっており、普段ネクロはそこにこもっているらしい。ヒスイによると最近は陰謀論を唱え始めて迷惑しているらしい。
陰謀論ってなんだ? と思いながらリンゴリンを齧る。何か不吉なことで俺が巻き込まれなければいいが。前世と違い現世はハプニングだらけだからな。
翌日、俺がヒスイのいるベッドの横で寝ていると、急にバタンとドアが開き、ネクロが入って来た。
「ふふふっ、徹夜したかいがあったというものだ。できたぞ!」
そういうと目の下に隈を作ったネクロは俺をひょいと抱き上げて、地下室に連れてきた。遅れて目を擦り眠そうなヒスイが降りてくる。
地下室は無造作に何かが書かれた紙や蔵書が積み上げられており、強引にスペースを作ったように真ん中に空間があり、そこの地面に何やら魔法陣が書いてあった。
ネクロはつかつかと地下室の真ん中まで来ると、地面の魔法陣の中心に俺を乗せた。
「よし、これでいいはずだ」
「ふぅあ~、お姉ちゃん。朝早くから一体何なの? この魔法陣は?」
「これはだな。簡単に言えば、聖獣と会話するための魔法陣だ。昨日文献を調べてみた所、この珍獣が実は聖獣じゃないかという事に私は気づいた。そこで作り出したのが、この魔法陣だ。もし本当に人語を理解しているならこれで会話できるはずだ」
おおっ、それはすごい!
「何それ! きゅーちゃんと会話できるの!? それに聖獣って!?」
「どうやらフェルエーラという三大聖獣の一つの種族の幼体かもしれないのだ。大人は人語を喋れるし、人の姿にも慣れるらしいが、本当かどうか。それで調べるために私が徹夜して作ったのがこの魔法陣と言う訳だ。さぁ、きゅーちゃん! 何かしゃべってみるんだ」
そう言われて俺は、何をしゃべろうかと悩む。そして数秒後、機械音性の様な声で俺のきゅーという声が翻訳された。
「リンゴリンを食べたい」
その反応を見たネクロは歓喜と言った感じで大はしゃぎをした。具体的にはその場でピョンピョンしていた。
「やったぞ! 私の研究が上手くいくとは! 初めてかも知れない!」
初めてなのかよ! と俺は心の中でツッコミを入れた。
「やったね、お姉ちゃん! あときゅーちゃんには後で、リンゴリンをあげましょうね!」
「そうか、ありがとう」
とこれは俺のセリフだ。
と言ったところで、俺はネクロから質問攻めにされた。そのほとんどの事は俺、というかフェルエーラのことだ。特に隠すことはないので俺は、全部洗いざらい知っていることは教えた。そして俺の天空島に帰るという目的も話した。
「そうか、一週間後の皆既日食を見た後に旅立つのか」
「えー、そんなー家のペットとして暮らさない? きゅーちゃん」
「それは無理な相談だな。俺にも心配している親がいるかもしれない」
「そっか、それなら仕方ないね。そうと決まっているなら一週間でいっぱい思いで作らないとね」
そうヒスイが呟く。
そしてその横でネクロが何やら神妙な面持ちで佇んでいた。
何か考えているようだ。そう言えば俺に質問攻めにしてからずっとこんな感じな気がする。そして決意したような顔になると、
「魔人っていうのを知っているか?」
とネクロが俺に問いかけた。




