25話 モフモフとマリーと別れ
「きゅーちゃん。殺人鬼を倒してくれてありがとう。これでやっと成仏できる」
マリーの方をみると、甲板から生えていた無数の腕が光の欠片となって、空に消えていくところだった。これが成仏ということだろう。
マリーも足から徐々に光の欠片となって消えて行っている。
「きゅーちゃんとの日々、三週間って短かったけど楽しかったよ」
「きゅー(こっちもだ)」
あれ? 何かが俺の目からあふれ出し、視界が歪む。雨粒が俺の頬を伝っていった。
「泣かないで、きゅーちゃん。私はもとより死んでいる存在。最後にきゅーちゃんと会えて本当によかったと思っているんだから」
そういうマリーの顔は笑顔だ。今から消えていくというのに、恐くはないのだろうか。
「心配そうな顔して、大丈夫だよ。それよりも最後の別れは笑顔で見送ってほしいな。きゅーちゃん」
そういわれて、俺はごしごしと顔を手でぬぐう。
「きゅーきゅー(幽霊に言うのも何だが、達者でな)」
「うん、そっちこそ。天空の島に無事帰れるといいね」
そういうマリーはもうほとんど消えかかっていた。うっすらと残ったマリーが最後の言葉をいった。
「バイバイ、きゅーちゃん。本当にありがとう」
そういって笑顔でマリーは光の欠片となって、空に消えていった。これでマリーは成仏できたのだろうか。いや、きっとできたに違いない。
そして光の欠片は、俺に降り注いだ。そして俺の体に魔力が満ちるのを感じた。気が付くと俺はフワフワと宙を浮いていた。そしてどてっと甲板に落ちる。
今のは……一体?
「これは驚いた。本当に幽霊の存在は聞いていたけど本当にいた何てな」
声のする方を向くと、そこにはデリラが驚いた様子で呟いていた。他のメンツも驚いた表情をしている。どうやら最後の光景は皆に見えていたらしい。
なんか、恥ずかしいな。
それを見上げると嵐は去り、雨はやみ終わっていた。
晴天の空が俺たちを照り付ける。
「殺人鬼は居なくなった。と同時に船長もいなくなってしまった。今からは私が船の指揮を執る。皆のもの面舵いっぱい!」
そうファボック副船長、いやファボック船長が号令をかけると、船は東の大陸を目指して動き出した。
あれから一週間、とうとう俺が乗っている船は東の大陸に着こうとしていた。
マリーが空に消えた後、俺は殺人鬼を倒した英雄として大人気だった。特にデリラからは気に入られて、人目も気にせず俺を抱きしめてなでなでするようになった。他にも俺が賢いと見るやボードゲームのルールを教えて、俺とゲームしようとした奴もいた。全部俺が勝ったけどな。
そして俺は短い間だけ、魔力を纏い空をふわふわとゆったりだとだが飛べるようになった。これはマリーが最後にくれた魔力のおかげだろう。きっかけは掴めた時期に俺は自由自在に空を飛べるようになるだろう。それがいつになるのかは分からないが。いつかきっとそんなとき来る。ような気がする。
「はぁ~、名残惜しいね。きゅーちゃんは天空の島を目指すんだろ。だったらここでお別れか~」
デリラが俺を抱きしめて、なでなでする。
「東の大陸に着くとすぐに水の都と言われる王都、サザンロックに着くよ。元気でね、きゅーちゃん」
こうして俺は東の大陸に到着し、東の大陸の王都の一つサザンロックに辿り着いたのだった。
第三章 完
完全にネタ切れです。これからどうしよ。




