17話 モフモフと海
第三章 始まり
俺は絶望していた。
山を越え谷を越えて早半年、すくなからず出会いと別れを経験し、旅を続けていた俺だが、大きな壁にぶち当たっていた。
それは目の前に広がる光景にあった。どこまでも続くマリンブルー、そう海である。俺はトコトコ、トテトテ、歩いて東の天空の塔を目指す途中で大陸の端に到着してしまったのだ。ここから先は飛ぶか、泳ぐしかない。だが、泳ぐのは危険だ。この旅でこの体は泳ぎが得意でさらに呼吸をする必要がないと判明している。
他にも色々なことが分かったが、とにかくそれは森の湖にリンゴの様な果実を落とした時の事である。慌てて湖に潜りリンゴの様な果実を回収したのはいいものの、巨大なネッシーみたいな魔物に丸のみにされそうになったのである。水の中は重力の影響が少ないために巨大になりやすいと前世のどこかで聞いたことがあった。巨大な魔物が多いという事は丸のみにされる確率も高くなるということだ。
そんな訳で飛ぶことは出来ないし、海を泳ぐのも出来れば遠慮したい。この体が泳ぎが得意と言っても渦潮や海流にのまれたら方角も分からなくなるに違いないし。
そういう事で俺は絶望していた。俺の旅はここで終わってしまうのか。
それでも俺は諦めきれず、海岸をそって歩いていた。
そして三日後、俺は港町に到着したのである。少しだけだが、希望が見えてきた。
俺は港で情報収集をし、東に行く船を探すことにした。
魚を恵んでもらっている猫に交じり、俺は魚を恵んでもらいながら人々の会話を盗み聞きした。あと魚がおいしい。
「おい、あの船どこ行きだったけ?」
一人の漁師が相方に尋ねた。
「確か、東の大陸行きじゃなかったか? それより猫に交じって変な生物がいる方が気になるんだが」
ほう、と魚を齧りながらあの船の方を見る。そこには立派な商船があった。今も商人と船乗りらしき人物が何やら荷物をもち運んでいる。
あと変な生物って俺の事じゃないだろうな。
まぁ、そんなことを気にしていても仕方がない。俺は東の大陸に行く船に勝手に乗船することにした。
ネズミのごとくこそこそと中に入る。
といっても入る方法は港と船を架けている板だけだ。すぐに見つかり、俺はつまみ出された。
「ほーら、お前が来る場所はこっちじゃないぞ。猫たちの方に行け。しっし」
と追い出されてしまう。
これには困った。どうしようもなくうろついていると。商人の一段と思われる一戸王がやって来た。そいつらは見世物小屋アブサムダウンという旗を掲げ、様々な魔物を檻に入れて運んでいた。
俺はその中の一つの空の檻にするりと入り込んだ。俺の体は非常に柔らかく本来は入られないような隙間を軽々と入ることが出来る。
まさか檻から出ようとする獣は居ても、檻に勝手に入って来る獣は想像にもしていないだろう。
そんなこんなで俺は檻の中だが、船に潜入することに成功した。




