14話 モフモフと一人前の狩人
矢がフォレストタイガーの喉元に命中し、フォレストタイガーは苦しそうな声も上げられずに絶命した。
コンビネーションの勝利という奴だ。
「ふぅ、一時はどうなるかと思ったけど、きゅーちゃんのおかげで何とか無事だったわね」
「まったくだ。俺としたことが、一匹目のフォレストタイガーを狩れたことで油断していた」
「でも、きゅーちゃんのおかげでピンチは去ったんだし結果オーライでしょ。これで私も一人前の狩人だね!」
「そうだな、罠の設置や他にも学ぶことはたくさんあるが、弓に関してはかなりの腕前だ。これもきゅーちゃんのおかげか」
「そうだね、本当にあの時、きゅーちゃんに出会えてよかったよ!!」
そういうとウルカが俺を抱きしめる。お嬢様やウルカによく抱きかかえられていた俺だが、ダイレクトに抱きしめられるとなんか照れる。
「きゅーきゅー」
「よし、ではフォレストタイガーの毛皮を証として持って帰ろうか、俺ときゅーちゃんが見張っているからその間に、ウルカは毛皮を剥ぐんだ。これも試練の一つだからな。なるべくきれいに剥ぐんだ。それと持って帰れるだけの肉もな」
「分かったよ、お兄ちゃん。じゃあお兄ちゃんときゅーちゃんは見張っていてね」
そう言われると俺はアルスの肩までよじ登り、アルスと一緒に見張りをすることにした。後ろから、あっ失敗したとか変なところ切っちゃったとか聞こえるが、気にしないでおこう。まだ一匹目だ。二匹目に上手くやるさ。
とその時だ。どこか遠くから聞き覚えのある雄叫びが聞こえた気がした。でもその雄叫びが何の雄叫びかは思い出せない。少なくともフォレストタイガーの雄叫びでないことは確かだ。でもアルスとウルカには聞こえていなかったようで、俺にも良く分からなかったので雄叫びの事は無視することにした。
すぐ後に、二匹目も上手く剥がせないよー、とか切っちゃいけないところ切っちゃったとか聞こえるこっちも無視することにした。
だがそんな訳にもいかず、ウルカからの毛皮を剥いだものを見ることになった。せっかくの戦果なのだが、ボロボロでまるで戦闘の後みたいだ。
喉に矢を貫通させて、綺麗に仕留めたのに。
その後、持って帰れるだけの肉を剥ぎ取った。残った分は森の魔物が食べてしまうだろう。
何事もなく俺たちは村へと帰り、ウルカの試練は終わった。
試練は戦果がぼろぼろだが、完璧に達成した。何せ二匹のフォレストタイガーを仕留めたのだ。
村では一人前の狩人が生まれたことを表し、宴が開かれることになった。もちろんメインはウルカが仕留めたフォレストタイガーの肉である。
フォレストタイガーの肉は薄く切られた後、串で刺されたのち、たき火で焼くという何とも豪快というか簡素な料理となった。
俺も勿論、ごちそうになる。薄く切った肉は柔らかく、すんなりと食べることが出来た。味付けも何もしていないが、元からの味が濃いので全く問題ない。前世の焼肉を思い出した。
「どう、きゅーちゃん。フォレストタイガーのお肉、美味しかった?」
「きゅーきゅー(おいしかったぜ)」
と俺は首を縦に振る。リンゴの様な果実も上手いが、フォレストタイガーの様な肉も又美味しい。
「そっか。ならよかった!」
ウルカが笑顔を見せる。今回の試練は大成功だな。そう思った矢先、宴をぶち壊すほどの一言が村の入り口から響いてきた。
それは俺が聞き覚えのある叫び声と、もう一つは焦る村人の声だった。
「大変だぁああ!! サタンコングが出たぞぉおお!!」




