表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シロモフ転生  作者: あめふらし
1/60

1話 空から落ちたモフモフ

 落ちてる。いや、落ちた。

 墜落して、そのショックで俺は自我を取り戻した。というべきか、前世の記憶を取り戻した、と言った方がいいかもしれない。

 俺の前世は日本にいるごくありふれた、どこら辺にでもいるような男子高校生だった。だが……確か交通事故か何かにあって、よく思い出せない。前世の記憶を取り戻したと言ってもおぼろげだ。

そして現世の記憶もおぼろげだ。この体が幼いからなのか記憶がはっきりしない。だから、前世の記憶を取り戻した俺がこの体の主導権を握れたわけだが。

 現世の記憶で分かることは、俺は人間ではなく空に浮くファンタジーな島に住む動物で、一人で勝手に散歩をしているところをいきなり強い衝撃が襲い、空島から落ちて墜落、そしてそのショックで前世の記憶を取り戻したという事だ。

空に浮くファンタジーな島、そこに俺は白いモフモフとした細長い生物、たぶん同種族と暮らしていたことも覚えている。

これは転生という奴だろうか。衝撃の体験なのにあまり冷静さを欠いていないのは、いきなり転生、ではなく前世の記憶を取り戻すという形で転生したからかもしれない。

さて、記憶の整理も出来たところで次は現状の整理をしよう。

 辺りを見渡すとどうやら深い森の様だ。俺がいる場所が小さいクレーターの様になっていて、相当上から落ちてきたのだと分かる。上の方を向くとゴマ粒の様に空に浮くしまが見える。

 めちゃくちゃ遠い、よくあそこから落ちて無事だったな。普通だったらミンチよりひでぇや、な状況になっていたはずだが……。

 クレーターをよちよちと四足歩行で歩き、這い出る。というか俺の体の確認を忘れていた。丁度近くに水たまりがあったので、鏡として利用して確認してみる。

 数十分後、俺は今の体がどうなっているか理解した。どうやら俺は相当不思議生物の様だ。

まず俺は白いモフモフとした体毛に包まれたカワウソの様な生物である。ただ地球のカワウソと違うのが、尻尾が長いという事だろう。俺の全長は六十センチくらいの大きさなのだがその半分が尻尾だ。さらに不思議なことに尻尾のサイズが胴体と同じぐらいに太い。なんかあれだ、ポ○モンのオ○タチの真っ白いバージョンみたいな感じだ。白い短めの動物のマフラーにぴったり、そんな感じである。

 外見はそんな愛くるしい、ペットショップで見かけたら買いたくなるような感じだが、他にも特徴がある。それはかなり体が柔らかいということだ。

 顔をフクロウのごとく横に百八十度回転させるのはお手の物で、十回転ぐらい余裕できる。深く息を吸い込むと風船のように体が膨らむ。ぽよん、ぽよん、ぽゆん、と丸く膨らんだまま跳ねると面白い。

あっ、水たまりに落ちてびちゃっと濡れた。絹の様な柔らかい体毛が台無しじゃないか、ちくしょう。

 それにしても、今まで確認して分かったこの体は白くてカワウソに似ていて、柔らかくゴムの様な性質も持っているという感じだが、どうやってクレーターなんぞ作ったのだろう。というか天空の島に住んでいる生物なのだから、羽の一つでも生えているかと思ったが、それらしきものは一切ない。

 俺は天空を見上げるそこにはやっぱりゴマ粒の様に天空の島があった。あれが俺の故郷で帰るべき場所なのだろうがどうすればいいのか分からない。

 全ての状況が確認できたところで俺は今後、どうするのか決めようとした。そして木になっているリンゴの様な赤い果実を見て決定した。

 そうだ、ご飯食べよう! っと。

 最大の目的は故郷に帰ることなのだろうけど、腹が減っては何とやらだ。さっそく木に登って試食するとしよう。

 と、その時だった。異変が起きたのは、急に森の奥の方が騒がしくなったかと思うと、木々をなぎ倒して巨大なゴリラの様な生物が現れた。

 それの体毛は燃えるように赤く、悪魔の様な二本の角を頭から生やし、三メートルはありそうな巨体を雄たけびを上げながら震わしていた。

 その目は血走り、みるからにやばそうである。

 もしかしなくても俺、死んだ?

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ