第1話 転生
目が覚めると俺は光に包まれていた。
ここが死後の世界ってやつか・・・本当に何もない。
体が妙に軽い。俺は霊にでもなったのだろうか?
でも、転生せずにこのまま霊で生きていくのも悪くないな。もう死んでるけどな(笑)
それは冗談として俺は新たに転生できるのだろうか?
そう思っていると一人の人間?神様?が俺のいる方に近寄ってきた。顔は光で見えなかったがそいつは俺に何かを話しかけているようだった。
「・・・君が運命に選ばれた人間か・・・」
声を聞く限り男っぽいのだが彼は確かにそう言った。
てか運命に選ばれた人間って厨二病かよ。と俺は密かに心の中で思った。すると彼は、
「君、今僕の事を厨二病と思っただろ」
ギクッ…何でこいつは俺の考えてることが分かったんだ?こいつは一体何者なんだ?
「僕の名前は*****。僕はここで神様をやっている。これが君の質問に対する答えだよ」
ん?名前の部分はよく聞こえなかったが確かに神様をやっているとかこいつは言ってたよな?
「僕は神様をやっている」だって(笑) 今時の厨二病患者でもそんなこと言わないぜ。しかも俺より若そうな奴が神様って信じられる訳ないでしょ(笑) 笑すぎて腹痛い。
でも、こいつは何で俺が心の中で思ったことが分かるんだ?
「それは僕が神様だからさ」
は?まただ。また俺の考えてた疑問に答えてきやがった。超能力とかそういう類か?と俺は思っていると彼がとんでもないことを言ってきた。
「君にはある世界を救う勇者になってもらう」
え?勇者?百歩譲って神様は信じるとしても勇者になってもらうって(笑)俺が言うのもあれだけど、こいつゲームの世界とリアルの世界が区別できてない様子だな。たまにいるんだよなぁこんな奴。ゲームのやりすぎで2次元と3次元の区別がつかなくて犯罪とか起こすやつ。まあ俺も人のことをとやかく言えるような人間ではないがな。
「全部聞こえてるよ。2次元と3次元の区別がついてないこんな奴って。他にも聞こえたが今までこんなことを言うやつなんて君が初めてだよ」
えっ…こいつ何で・・・本当に神様なのか?だとしたらヤバイ。俺は今まで何て事を・・・
「まあ今までの無礼は許してあげるけどこれからは怒るからね」
「分かりました。でも世界を救うとは一体どういうことなのです?」
「私からはあまりは話せない。君が転生して生きていけばいずれこの言葉の意味が分かるようになるだろう。そしてまたこの場所に来ることになるだろう」
「流石にもうこんなところには来たくありませんよ」
「それもそうか……おっともうお別れの時間のようだね… 次の世界は頼んだよ」
彼がそう言った瞬間俺の立っている真下の地面がふっと消え俺は落ちていった。
まさかこんな短期間で2回もこんな高所から落ちていく感覚を感じることになるとは想像もしてなかった。
ヤバイ、漏れそう(汗)
でも、本当にこの落ちた先に俺の新しい人生が待っているのか。
半分嬉しく思ったが残り半分は怖かった。何か得体の知れない動物とかに転生したらどうしよ。
でも、世界を救うか…こんな体験滅多にできることじゃないしやってやろうじゃないか。そう俺は落ちていきながら思った。
そして落ちていくにつれ俺の意識が遠のいていった。
ーーーーー
目が覚めると俺は仰向けに寝ていた。起き上がろうとしたが起き上がれなかった。体中が痛い。
てか前世の記憶が残ってるんですけど・・・忘れたいが為に飛び降りたのにこれだったら飛び降りた意味がない。
それに世界を救えってなんだよ。痛すぎるんだよ。
ハイハイ言ってたら調子に乗りやがって。戦争を止めろとかでも言いたいのか?
思い出しただけで腹が立ってきた。まあそれはいいとして俺はどうなったんだ?と思っていたら目の前にひょこっと金髪の美少女が現れた。
「やっと目を覚ました!」
耳元で彼女は大声でそう言った。幸い使ってる言語は日本語のようなものみたいだ。でも耳元で叫ばれたせいか耳がまだキンキンする。
「誰…ですか?」
すると、その美少女は泣き始めてしまった。なにか悪い事をしたのだろうか?全然思い当たる節は無い。
だったら何でこの女の子は泣いているんだろう?前世では生まれて18年間女の子と話した事がいじめの時しかなかったから対処に困る。
「やっぱりあんな無茶をさせなかったら良かった。そうすればこんなことにならなかったのに」
「俺は一体何をしていたんですか?」
そして彼女からいろいろな説明を受けた。どうやら俺の名はハルシオン・ルーカスと言うらしい。
この世界は魔物が出るらしく俺は魔物(雑魚)にやられて気を失ってたらしい。まあそのドジでマヌケな奴が死んでその代わりに俺がこの体に転生したということか。
「本当に大丈夫?あれだけすごい事故だったから記憶が途切れてもおかしくないね…」
あれだけの事故?どんな事故だったのだろうか?気になった俺は彼女にいろいろな事を聞いた。事故とは何だったのか?魔物とはいったい何なのか?俺はどういう人間だったのか?それらを彼女は嫌がらずに一つ一つ丁寧に教えてくれた。
彼女によると俺は「ナイト」と呼ばれる職業らしくて、相当弱かったらしいのだが度胸試しとかいう先輩からのイジメで弱い魔物の群れ(Fランクモンスターとこの世界では呼ばれているらしい)に1人で放り込まれたらしい。だが、そこにCランクのモンスターが偶然いたらしくそれを知った先輩達が大急ぎで俺の元に駆けつけた時には俺はボロボロになって倒れていたそうだ。
彼女の話によると、この世界には主に
「ナイト」 「ランサー」 「ガンナー」 「ヒーラー」 「アルケミスト」 「ウィザード」 「エンハンサー」
7つの下位職と4つの上位職
「パラディン」 「ハイウィザード」 「プリースト」
「レンジャー」
と呼ばれる職業があるらしい。(それ以外にも存在するという噂話はあるらしい)
パラディンはナイト、ランサーの上位職。
ハイウィザードはウィザードの上位職。
プリーストはヒーラーとエンハンサーの上位職。
レンジャーはガンナーの上位職となっているらしい。
因みにアルケミストと言うのは錬金術士、ウィザードは魔法使い、エンハンサーは付与魔法みたいなものらしい。
それぞれの職にはランクがあり、
下位職はF<E<D<C<B<A となっておりAになると上位職になるという仕組みになっているらしい。
上位職は下位職と違いF<E<D<C<B<A<S<SS<SSSとなっておりSランク以上の上位職を持っている人は1人=国家勢力に匹敵するらしい。
上位職とモンスターのランクは似たようなものでSSSの次にGODが存在するらしいがそんなのは基本出ないらしい。そんなバンバン出られたら困る。
彼女が言うには、俺はナイトのFランクで年は18歳。家族はいなく、WorldSavior というギルドに入っていて、意味は世界の救世主という意味だ。世界の救世主って痛い。あの神様ほんとに痛すぎかよ。
「本当にごめんね…これからはこんなことが起きないようにするから」
身に覚えもないから謝られてもって感じだが、とりあえずハイハイ言ってたらいいか。でもこんな弱そうな体に転生したが俺にやれることは出来るだけやってやろうじゃないかと改めて思った。そして、俺はまた眠たくなってきたので眠りについた。
こうして俺のドタバタした1日がようやく終わった。