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カルタゴ帝国奪還作戦 その16

獅子将軍アドバンスとの戦いが避けれぬ事になったジャンは

戦う事を選択する。

大陸2強の1人を前にジャンが命がけの勝負に挑む。


「完全に相手の予想を裏切った体当たりだと思ったのだが、全く効いていないとはな」

ジャンは全くの無傷であるアドバンスを見て、苦笑せざるを得なかった。


「誇れ、我の攻撃を避けてみせた事を、我の体に触れた事を、な」

アドバンスは、アドバンス流の賛辞をジャンに送る。


「くそっ、いちいち苛立たせてくれる奴だな」

ジャンはそう言うと、アドバンスの目の前に立ちはだかる。

アドバンスは、ジャンを見つめるが微動だにしなかった。


「ジャンが、アドバンスの前に立ちはだかるが、

 アドバンスはまったく攻撃を行う気配を見せない。

 これはジャンに攻撃を仕掛けてこいと言う事か!!!!!」

レオが自分の予測で話を進める。


「面白いな、アドバンス将軍。

 遠慮なく仕掛けさせてもらうとするか!!!」

思いっきり力を入れた拳でアドバンスの腹を目掛けて打ち込む。


(カァアン)

甲高い音が鳴り響く。

「なんとぉぉぉおおお、今の一撃をアドバンスの鎧が受けきる。

 これは何と頑丈な鎧なのか!!!!!

 強靭な肉体を持っているアドバンス、そして、

 アドバンスが装着している頑丈な鎧、

 アドバンスには、死角が存在しないのか、

 まさしく、最強に一番近い男だ!!!!!!」

レオは実況に熱が入っていく。


「ちょっと、アニキが可愛そうすぎる実況じゃないですか」

グリフォンがレオの実況に不満を述べる。


「待て、空飛ぶ愚者よ。愚者はまだ攻撃を終わらせるつもりはなさそうだぞ!!」

ナディアがジャンの行動を見守りながら、応援する。


「その鎧、どうやら名のある名匠の作品だな。

 一流の名声を持っている奴は、着ている物まで一流か。

 面白すぎるな!!!!!!」

ジャンはそう言うと、右蹴りでアドバンスの左足側面を蹴り上げる。


(ガッ)

足の部分にも鎧の装着を行なっていた為、まともなダメージは期待できなかったが、

腹回りの装甲の厚さとまではいかないのか、若干のダメージを与える事に成功していた。


「これはアドバンス、ジャンの攻撃が効いているのか、

 顔を歪めている!!!!!」

レオが興奮して大声で叫ぶ。


「アドバンスが動いたぁああ!!!!

 右拳を振り下ろした。

 ジャンはそれをまともに受ける気だ!!!!!」


(ガゴッ!!!)

ジャンはアドバンスの右拳を左頬に受け、さらに振りぬかれる。

「ジャン、顔がもげてしまうぐらいの一撃を受けた!!!!!」


「今の一撃をまともにもらったら首から上が無くなるな、これは」

ジャンは寒気を感じながら、左拳を握り締めて、アドバンスの右頬に打ち込む。


(ゴッッ!!)

次はアドバンスの顔が跳ね上がる。


「おっとぉおお、ジャンもやり返す。

 しかし、アドバンスの膝は折れない!!!!!

 すぐさま、アドバンス体勢を整えて、右拳を打ち込む!!!!」


(ガゴッ!!!!)

アドバンスの右拳がジャンの左頬を捕らえ、

そのまま、地面に叩きつけられる。


「なんと、身長が低いが巨体である事に変わりない体が

 アドバンスの攻撃で、ジャンの体が大きく跳ね上がった!!!」

レオが叫ぶ。

ジャンの体は3度跳ね上がり、地面に転がる。


「アニキ!!!!!!!!!!!!!」

グリフォンが叫ぶ。


「愚者・・・・・・・・・」

ナディアは息をのんだ。


ジャンの手がピクリと動く。


「ま・・・さか、ここまで、実力の差が・・・・・・あるの・・・か」

フラつきながら立ち上がるジャン。


「意識を断ち切ったハズだが、まだ立つか」

アドバンスは息1つ切らせていなかった。

ただ、ジャンから目を離さない。


ジャンの口から血が滴っていた。

鼻血もとめどなく流れ、服を赤く染めていた。


「アニキ・・・・」

グリフォンは目を背けたくなる気持ちをグッと堪える。


「ジャンは満身創痍だ。意識も飛んでいる可能性もあるぞ!!!

 立つ事がやっとの体で、まだ、闘志は消えていない。

 一歩一歩、フラつきながら、それでも、アドバンスに向かっている!!!!!!!!」

レオは泣きそうになるのをグッと堪えて、実況を続ける。


「くっ・・・・・、おい、愚者よ、お前の力はこんな物じゃないだろ!!!!!!

 自分で選んだ戦いだ、何が何でも勝て!!!!!!!!!!

 いつかライオンマスクよりも強い男になるのだろが!!!!!!!!!!!!!!」

ナディアがありったけの大声で叫ぶ。


「な・・・でぃ・・・・あ・・・・・」

ジャンはナディアの声を聞いて、頭を垂れながら立ち尽くしていた。


「な・・・でぃ・・あ・・・・・、ナ・・ディア・・・、ナディア!!!!!!!」

何度もナディアの名前を呼んで、自分の意識を取り戻そうとする。


「そうだ、愚者。

 お前の示す正義は、こんな所で消える物なのか。

 弱き人を守るには、倍強くなければいけない。

 この村を守るのなら、100倍、いや、1000倍強くならなければいけないんじゃないのか。

 すべてを守るのだろ。

 なら、力を振り絞れ!!!!!!!!!

 ここが愚者の輝く場所なんだろうが!!!!!!!!!!!」

ナディアが声を振り絞って、ジャンに向かってエールを送る。


「ぅ・・・・う・・ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ジャンが咆哮を上げる。

咆哮が終わったと同時に、力を振り絞ってアドバンスに向かって走り出す。

アドバンスは黙ってジャンの出方を伺っていた。


「ナディア姉さん、そろそろ決着がつきますよ」

グリフォンはジャンから目を逸らさずに呟く。


「そういえば、なぜ、愚者達は人外の力を使わないのだ。

 それを使えば、遅れを取らないだろ」

「さすがはナディア姉さん、僕達の力を知っていたんですね」

「だから、300年以上生きているのだ。

 大体、人か、人外かなどは、匂いでわかる」

「鼻が良いんですね」

「空を飛ぶ愚者よ。茶化すな」

ナディアはグリフォンを見る。

グリフォンはわざとナディアの方を見なかった。

「師匠の教えで、人同士の戦いなら人外の力を使わずに、人として戦え。

 その先の力は、人外の物に使い戦え・・・と」

「アドバンスとやらは十分、化け物クラスだけどな」

「僕もそう思ってます」

「なら、愚者に言ってやれ」

「無理ですよ。アニキは人外の力を手に入れても、人の力を身につけようと日々努力しています。

 人外の力を使いこなすには、本来の肉体と精神を鍛える必要があると言うのが師匠の教えです」

「そうか、師匠の教えだったのか」


「アドバンス!!!!そろそろ勝負を決めよう」

ジャンがありったけの力を込めて叫ぶ。

「面白い、まだ、見せる力があるのか」

アドバンスの口端がつりあがる。


ジャンがアドバンスに向かって、今日何度目かの走り出す。

「今までと同じような攻撃では、俺はビクともしない」

アドバンスの攻撃範囲に入る前に、ジャンが空を飛んだ。

「アニキが・・・とんだ・・・・」

グリフォンはジャンの普段の攻撃タイプではない事に驚いた。


「おおっと、ジャンがアドバンスの頭上を高々と飛んでいる!!!!!」

ジャンはアドバンスの頭上手前から降下を始める。

「アドバンス、先ほどの手痛い一撃のお返しだ!!!!!!

 倍は吹っ飛べよ!!!!!」

ジャンは叫びながら、左拳を振り上げながら、アドバンスに向かって突っ込む。

「面白い、俺の顔面を打ち抜いてみろ」

アドバンスが右拳を握りこみ、自分の攻撃範囲に入ってくるジャンを待っていた。


「勝負だ!!!!!」

ジャンが左拳を振り下ろす。

「上等!!!!!!」

アドバンスが飛び込んでくるジャンを握りこんだ右拳で迎撃した。

(ゴンッッ)

鈍い音が一面に響くと同時に、2人の腕が跳ね上がった。


「こんな事がありえるのか。

 拳同士の勢いを殺せず、お互いの腕が跳ね上がる!!!!!」

レオは目の前で起こった事をすべて、実況して1つでもだれかの心に残るように心がけていた。


「あ・・・ど・・・・・ば・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・・す!!!!!!!!!!!!」

先ほどとは、反対の手で拳を作って、アドバンスに向かって右拳を振り下ろす。

負けじと、左拳を固めて打ち上げる。


(ゴンッッッッ)

先ほどよりも痛い音を響かせる。

「なんと、これもお互いの拳が跳ね上がって引き分けだ!!!!」

レオが叫んだ。


「遠い引き分けで命を拾っな」

アドバンスがジャンに向かって言い放つ。


そのアドバンスの目に映るのは、顔を引いた状態でアドバンスに向かって飛び込む。

「なっ・・・・・・・・・・」

一瞬、目の前に迫っているジャンを見て、固まってしまった。

そして、その意味にアドバンスが気付いて、その場を離れようとして気付いた事があった。

「足に受けた攻撃の影響で、足が動かない」

アドバンスの目の前にジャンが飛び込む。


「ジャンは、このやりとりさえ考えた布石を、今まで打ってきていたのか。

 足へのローキックで相手の機動力を奪い、最後は両腕を犠牲にして、

 この攻撃を狙っていた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

レオが叫ぶ。


ジャンの最後の攻撃は、頭を思いっきり引いた状態からの頭突きだった。

(ゴッ!!!!!)

なすすべもなく、頭突きを直撃で受けたアドバンスが肩膝を地面に付けた。

(トン・・・・・・)


「おおおお、アニキ、アドバンスの肩膝を地面に・・・・・えっ!?」

グリフォンの目に、気を失ったジャンが映りこんだ。

(ドサッ)

ジャンは地面に落ちると、動かなくなった。

意識を失ったのだった。


「こ・・・これは、壮絶な戦いだ!!!!!

 勝者なし、この試合、勝者が存在せず!!!!!

 しかしながら、アドバンス側の提示ルールでは、

 ジャンの勝利になります!!!!!!!」


その場に居合わせた人々からざわめきと、歓声が入り混じった異様な雰囲気になっていた。


次回更新予定日は2016年7月8日の12時ごろです

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